増刊号 病理組織・細胞診のための日常染色法ガイダンス
1.基本となる日常染色法
ヘマトキシリン・エオジン染色
河又 國士
pp.630-637
発行日 2001年6月15日
Published Date 2001/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905839
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目的
光学顕微鏡を用いて病理組織学的診断を行うには,細胞および組織構造の形態的全体像をよく理解する必要がある.このため,細胞や組織の構成要素を平均的によく表現できるヘマトキシリン・エオジン染色(Hematoxylin-Eosin stain, HE染色)が利用されている.
よく染色されたHE染色標本では,ヘマトキシリンで細胞核が濃青紫色から藍色に,軟骨基質,粘液の一部,石灰化巣,微生物の一部,好塩基性物質なども青紫色から淡青色に染まる.一方のエオジンでは細胞質,種々の線維成分,赤血球や好酸性物質,顆粒などが淡赤色から濃赤色に,コントラストよく染め分けられる.また一部の成分は両者の色調をとるものもある.単純な染色のわりに構成要素を濃淡の差で表現し,多くの情報を提供する.日常の病理組織学的検査に必須の染色で,この染色なしでの病理診断はあり得ないところから,一般染色または普通染色という.
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