技術講座 生理
—step up編—Martin-Gruber吻合存在下の正中神経および尺骨神経伝導検査
田中 理
1
1横浜市立脳卒中・神経脊椎センター検査部
pp.462-468
発行日 2017年4月1日
Published Date 2017/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206824
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Point
●Martin-Gruber吻合(MGA)は,前腕における正中神経から尺骨神経への運動吻合枝で第一背側骨間筋(FDI)を支配することが最も多い.
●MGAが存在すると,正中神経刺激により短母指外転筋(APB)から記録した複合筋活動電位(CMAP)振幅は,手関節刺激に比べて肘関節刺激のほうが高振幅となる.また,尺骨神経刺激により小指外転筋(ADM)から記録したCMAP振幅は,手関節刺激に比べて,肘関節刺激で振幅が低下する.伝導ブロックを否定できる場合はMGAの存在を考慮する.
●MGAが疑われる場合には,正中神経の運動神経伝導検査(MCS)施行時に,APB導出に加えてFDIやADMから同時記録を行うことにより,その存在を確認できる.
●MGAが存在しない場合と,する場合での,正中神経および尺骨神経MCSの波形変化を理解する.
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