臨床検査のピットフォール
造影剤投与後の臨床検査値の解釈に注意
熊倉 久夫
1
1北関東循環器病院血管病センター
pp.160-161
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543206348
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はじめに
臨床的に頻繁に用いられる画像診断用の造影剤は,画像診断の情報量を増すために使用されるものである.これらのX線造影剤やMRI造影剤を投与した患者から検査直後に採血した場合,臨床検査値にはなんらかの影響が現れるのか.あるいは,X線造影剤やMRI造影剤を投与した翌日に採血した場合の影響はどうなのか.こうした問題は,臨床の現場ではしばしば経験する.
患者の治療経過の評価のためや経時的な病態の変化を確認する目的で,短い期間に繰り返し同じ検査を施行することが必要となる疾患が非常に多い.また,患者が外来検査を受けに来る場合では,血液検査と複数の画像診断検査を同日に実施することが日常頻繁に行われている.しかし,造影剤の添付文書の「臨床検査結果に及ぼす影響」にはわずかな記載があるのみで,造影検査の実施間隔や検査順に関する記載はほとんどない1).
今回は,造影剤の体内動態,臨床検査値への影響,適切な採血時期について考えてみたい.
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