medicina 55巻3号 (2018年3月)

特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方

平岡 栄治
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 皆様もご存じの通り,日本ではどの国も経験したことのない未曽有の高齢社会となってきている.高齢者は多数の疾患を合併していることが多い.例えば,「COPD,糖尿病,高血圧,胃がんの既往がある認知症患者が心房細動を発症」といった症例にもよく遭遇する.こういった多疾患罹患患者を臓器横断的に外来診療する知識・スキルを持った総合内科医が今後ますます必要である.同じ患者が消化管出血に伴うtype 2心筋梗塞などで入院した時の管理も,臓器横断的に診療する「病院総合内科医」(hospitalist)が必要になってきている.

 厚生労働省による平成28年の死亡数に関する報告1)では,循環器疾患死亡数33.9万人,心疾患死亡数19.7万人(急性心筋梗塞3.5万人,心不全7.3万人)であり,平成26年の患者数に関する報告2)では,循環器疾患入院患者数24万人,外来患者数93万人である.循環器疾患のなかで,とりわけcommonとも言える心房細動患者数は,学会ガイドライン3)にまとめられた報告によると約71万人(2005年データ)とされる3).循環器専門医数は約1.3万人とされるが4),とてもすべての循環器患者を専門医だけでケアするのは不可能であろう.われわれ総合内科医も力をつけ,循環器専門医と協力し循環器疾患診療を行うことが今後ますます求められる.

特集の理解を深めるための29題

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急性期の現場では,よく「低左心機能かつ心房細動の急性心不全患者」に遭遇します.しかし,確立した治療がありません.その場その場で議論しながら治療を行っていますが,どのように治療を判断するかについて,ぜひ村川先生に教えてもらいたいと思っています.また,地域のクリニックなどで「新規の心房細動患者」が来院したとき,病院に送るべきか(送るにしても地理的に離れていることも多い),自分で診てよいか,どうしたらよいのか迷うことがあります.病院総合医や救急医,集中治療医そして家庭医などが遭遇するような不整脈の症例について,アドバイスをいただけたらと思います.(平岡)

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経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後には,一定期間の抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)の後に,1剤止めて1剤服用(SAPT)することが多いです.昨今の高齢社会では多数の疾患に罹患している高齢者にしばしば遭遇しますが,なかにはDAPT中でさらに心房細動のために抗凝固薬も使用(3剤)している患者さんが消化管出血で来院したり,手術が必要となることもあります.そこで,総合内科医や病院総合医(hospitalist)は,これら抗血栓薬の中止・継続についての知識をもっておく必要があると思います.本日は抗血栓薬に詳しい中川先生に,2017年の『欧州心臓病学会(ESC)ガイドライン』1)をもとにお話を伺います.(平岡)

冠動脈疾患患者に使用する薬 【抗狭心症薬】

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Question1

安定虚血性心疾患に対して,最初から血行再建は必要ですか?

 2007年,2009年に相次いで報告されたCOURAGE試験1),BARI 2D試験以降,安定虚血性心疾患に対する冠血行再建の有効性に関する大規模臨床試験が多く報告されるようになった.

冠動脈疾患患者に使用する薬 【抗動脈硬化薬】

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症例

45歳男性.会社の健康診断で総コレステロール(TC)220 mg/dL,HDL-コレステロール(HDL-C)40 mg/dL,中性脂肪(TG)150 mg/dL.喫煙歴なし.血圧120/70 mmHg.脂質異常症として内科外来に紹介受診された.

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Question 1

すでに冠動脈疾患がある場合(安定虚血性心疾患)のエビデンスについて,スタチンでどこまでLDL-Cを下げるのが正しいですか?

 冠動脈疾患がある患者においては,より強力なLDLコレステロール(LDL-C)低下作用を示すスタチン投与によって,より大きな心血管イベント抑制効果が得られる.大規模臨床試験のメタ解析の結果,LDL-C減少量と心血管イベント抑制効果との関係は直線的であることが示されている(図1)1,2)

 しかし,LDL-Cの治療目標値を設定してスタチン量を調整した介入試験は存在しないため,心血管イベントの予防を目的としたLDL-C低下療法において,「LDL-Cの目標値を設定すること」と「目標値を設定せずに強力なスタチンを投与すること」のどちらがより重要なのかは,いまだ結論に達していない.

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Question 1

スタチンの副作用に横紋筋融解症があると聞きます.実際に,筋症にはどのようなものがあり,その頻度はどれくらいですか?

スタチンの副作用

 スタチンに関連した筋症状(本稿では「スタチン関連筋症」とする)にはいくつかの種類が知られているが,今のところ用語の統一はされていない.2014年の『National Lipid Association Statin Muscle Safety Task Force』の提唱する定義では,スタチン関連筋症は表1の通りである1)

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Question 1

エゼチミブ,胆汁酸吸着薬,プロブコール,魚油(ω-3脂肪酸)にはどのような効果がありますか?

 各薬剤の作用機序,脂質への効果および主な副作用を示す.

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Question 1

PCSK9の作用機序を教えてください.

PCSK9の発見

 2003年,フランスにおいて家族性高コレステロール血症家系の解析から前駆蛋白変換酵素サブチリシン/ケキシン9(proprotein convertase subtilin/kexin type 9:PCSK9)遺伝子が同定され,その機能獲得型変異が原因となっていることが明らかになった.その後,機能欠失型変異も明らかになり,LDLコレステロール(LDL-C)値がwild typeと比べて低くなっていることが報告されている.

 それを受けて2006年には,アフリカ系米国人で機能欠失型変異のY142X変異とC679X変異がそれぞれ0.8%と1.8%に認められることを利用し,メンデルランダム化試験が行われた.その結果,機能欠失型変異を有している場合,LDL-C値は28%低下,冠動脈疾患の罹患率は88%低下していることが報告された1)

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Question 1

高中性脂肪血症は,心筋梗塞や脳梗塞のリスクになりますか? 食前値と食後値のどちらを治療判断基準として使用すればよいですか?

Answer 1

高中性脂肪血症は,心筋梗塞や脳梗塞のリスクとなる.治療判断基準としては,空腹時と非空腹時のいずれも有用であり,わが国では「空腹時の中性脂肪値150mg/dL以上」を高中性脂肪血症と定義している.

冠動脈疾患患者に使用する薬 【抗血栓薬】

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 冠動脈疾患患者に対する抗血小板療法の目的は,「心筋梗塞など虚血性イベントの2次予防」と「冠動脈ステント血栓症予防」の2つである.抗血小板療法を行うに当たっては,その必要性だけでなく,出血性合併症の発症リスクも含めた検討が必要となる.

 本稿では,2017年夏に改訂された『欧州心臓病学会(ESC)ガイドライン』1)を中心に,現在の抗血小板療法について解説する.

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Question 1

心房細動合併症では「DAPT+抗凝固薬」すなわち抗血栓薬3剤併用の適応となりますが,実際の出血リスクはどれくらいですか?

症例

78歳男性.慢性心房細動でリバーロキサバン内服中.

1カ月前に急性心筋梗塞で近くの救急病院に入院し,左前下行枝に薬剤溶出性ステントを留置し,DAPT(アスピリン,クロピドグレル)が開始となった.退院後に,かかりつけ医であるあなたの外来に紹介となった.

心不全,心筋症患者に使用する薬

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Question 1

収縮不全型心不全ではACE阻害薬,β遮断薬を必ず開始しなければなりませんか? 開始してはいけないときはありますか?

 アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とβ遮断薬は,収縮不全型心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)治療のなかで,長期予後に関して最もエビデンスがある薬剤である.可能な限りHFrEFではこれらの薬剤を開始する必要があると考えられるが,状況によっては開始を控えるべき場合もある.

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Question 1

心収縮力が保たれた心不全(HFpEF)があると聞きましたが,その病態はどういうものですか?

心不全の定義とHFpEF,HFrEF

 心不全は,「慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素需要に見合うだけの血液量を,絶対的にまた相対的に拍出できない状態」と定義されている.つまりその主体は,収縮能の低下を主体とした血行動態的な疾患群と考えられてきた.

 しかし,収縮能の代表的な指標である左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)で評価すると,収縮能が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)の頻度は年々増加傾向にあり,収縮能が低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)と同等の頻度であることが報告された1).さらにこの報告では,HFpEFの予後がHFrEFの予後と同様に悪いということも報告され,HFpEFの病態や治療がこれまで以上に注目されることとなった.

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 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM)はサルコメア遺伝子変異に起因した心筋疾患であり,多くは遺伝性を有する.一言にHCMといっても,左室肥大の場所のパターンや肥大の程度もさまざまであり,Maron分類では肥大の部位で分類される.

 特に,左室前壁中隔の肥大が著明になれば左室流出路狭窄を生じ,左室内圧の上昇,僧帽弁逆流を生じることがある.この病態を閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy:HOCM)と呼び,治療対象になりうる.肥大が左室全体に及ぶと,左室拡張能の低下,相対的な心筋虚血をきたす.

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Question 1

急性心不全では,フロセミドを投与しても適切な尿量が得られない時があります.持続静注がよいですか? 1回量を増やしたらよいですか?

 利尿薬抵抗性の心不全の治療に関して,単一の方法を推奨するに足るエビデンスはない.本稿では,フロセミド(ラシックス®)投与時に考慮する「持続投与vs.ボーラス投与」と「投与量の閾値・天井量」の2点についてまとめる.

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 心不全では,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化などによって体液過剰が発症する.心不全の体液過剰に対してはループ利尿薬が頻用されてきたが,フロセミドをはじめとするループ利尿薬は,強力なNa利尿効果を発揮して短時間で肺うっ血を改善する一方,慢性心不全患者の生命予後を悪化させる可能性が報告されるなど,ループ利尿薬の心不全管理における意義が再考されている.ループ利尿薬が心不全患者の生命予後に関与するメカニズムの詳細は不明であるが,神経体液因子の活性化,腎機能の悪化や電解質異常の関与が推測されている.

 心不全患者が増加するなか,これらの因子への影響が少ない利尿薬としてバソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタン(サムスカ®)が注目されている.

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 抗不整脈薬によるイオンチャネルの遮断作用を理解するためには,心筋細胞の電気活動について知る必要がある.図1は,心筋(心室筋)細胞個々の電気活動を示した活動電位波形と呼ばれるものである.

 きわめて簡略化してあるため詳細は成書を参照いただきたいが,心筋細胞の活動電位波形は第0〜4相に分けられる.心筋細胞は,Na-Kポンプ,Na-Caポンプ,Kイオンの移動により静止膜電位と呼ばれる負電位で電気的平衡状態となっており,Naは細胞外に,Kは細胞内に多い.第0相でNaチャネルが開放されると,Naイオンが細胞内に流入し,脱分極を起こす.次に,一過性にKチャネルが開放され第1相となった後,Caチャネルを介してCa2+が流入することで,第2相のプラトー相が形成される.さらに,第3相でCaチャネルの閉鎖とKチャネルの開放により再分極が進み,第4相で静止膜電位に戻る.活動電位波形は図1のように心電図波形に対応する.

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 下記のQuestionに対する回答は「ケースバイケース」である.

 回答の難しさの所以は,心房細動そのものの多様性と,心房細動を発症した患者背景の多様性にある.

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 心房細動の有病率は上昇の一途を辿り,医療機関により診断がついている症例に限っても,日本人の80歳以上の男性で約4%,女性で約2%と高い有病率となっており1,2),今や心房細動はcommon diseaseである.心房細動による心原性脳梗塞は,アテローム性脳梗塞やラクナ脳梗塞に比べると血栓が大きい場合が多く,半身麻痺や重度の高次機能障害などをきたす原因となり,QOLを著しく低下させる疾患である.

 心原性脳梗塞リスクは後述のCHA2DS2-VASc scoreで層別化され,抗凝固療法開始が検討されるが,RE-LY〔ダビガトラン(プラザキサ®)〕3),ROCKET AF〔リバーロキサバン(イグザレルト®)〕4),ARISTOTLE〔アピキサバン(エリキュース®)〕5),ENGAGE AF〔エドキサバン(リクシアナ®)〕6)といったワルファリンとの比較を行った大規模試験とそのメタ解析7)により,どの新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)も脳梗塞発症に関してワルファリンに対して非劣性が示され,脳出血発症に関しては有意に少ないという結果であった.そのため,『欧州心臓病学会(ESC)ガイドライン』8)では,基本的には心房細動に対する抗凝固療法にはNOACが推奨されているが,後述する消化管出血の問題,また,弁狭窄症や腎機能障害といった併存疾患,経済的な問題など多角的な視点でワルファリンかNOACかを選択すべきである.

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Question 1

レートコントロールに使用する薬剤(β遮断薬,Ca拮抗薬,ジギタリス,アミオダロン)の特徴を教えてください.どう使い分けたらよいですか?

β遮断薬

 主に,交感神経抑制作用,房室結節の伝導速度の低下,不応期の延長により,心房細動の心拍数を落とすことができる1).安静時,運動時ともに心拍数を落とす.陰性変力作用もあるため,心機能低下症例には少量から開始する必要がある.

 レートコントロール薬として,1st lineで使用することが多い.ただし,気管支喘息,重度の慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)のある患者に対しては,β1選択性の高いもの(ビソプロロール)を使用し,かつ慎重に経過をみる必要がある.

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Question 1

QRS幅の狭いリズム整の頻脈性不整脈の鑑別には,どういうものがありますか?

 narrow QRS頻拍は,洞調律時と同様,房室伝導を順行性に興奮するQRS幅100 ms以下の頻拍であり,上室性頻拍(supraventricular tachycardia:SVT)と定義される.

 narrow QRS頻拍の形態をとるリズム整の頻拍としては,洞性頻拍,心房頻拍,心房粗動,房室回帰性頻拍(atrioventricular reentrant tachycardia:AVRT),房室結節リエントリー性頻拍(atrioventricular nodal reentrant tachycardia:AVNRT)があり,さらに,接合部頻拍が鑑別として挙がる.これらの頻拍は,いわゆる変行伝導として右脚や左脚ブロックを伴う場合には,wide QRS頻拍となることもある.SVTは,心電図上,心房興奮を反映するP波と心室興奮を示すQRSとの関係がそれぞれ異なるため,両者の関係により鑑別可能である(図1)1)

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Question 1

幅の広い頻脈性不整脈の鑑別を教えてください.常に心室性ですか?

 幅の広いリズム整の頻脈(wide QRS regular tachycardia)では,①もともとwide QRS(完全右脚ブロック,完全左脚ブロック)の患者における上室頻拍(supraventricular tachycardia:SVT),②SVTの変行伝導,③心室頻拍(ventricular tachycardia:VT)を鑑別する必要があるが,基本的にはwide QRS regular tachycardiaを見たらまずVTであることを念頭に置くことが重要である.また,VTには血行動態が保たれ心不全徴候を伴わない“stable VT”が存在するのに対して,SVTのなかにもショックや失神を伴う例が存在することをよく認識しておく必要がある.

 3つの鑑別のポイントを以下に示す.

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Question 1

手術前に必ず中止しないといけませんか?

 すべての手技や手術前に中止する必要はない.2017年に米国心臓病学会(AHA)から発表された声明1)では,出血リスクを層別化し,出血リスク(表1)が血栓形成リスク(表2)より高い場合にのみ,抗凝固薬を中止するように勧めている.米国胸部学会(ACCP)のガイドライン(第9版)2)では,①心房細動があり,手術の3カ月以内に脳梗塞/一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks:TIA)を起こした患者,②CHADS2 scoreが5点以上で過去に抗凝固薬休薬中に血栓塞栓症を起こした既往のある患者,の2点を血栓形成の高リスク群としている.

 低出血リスクの手術症例では中止の必要はなく,中等度〜高出血リスクの手術症例では新規抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)を中止することになる.

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Question 1

機械弁の時と生体弁の時の抗血栓療法について教えてください.

NOACを使ってもよいですか?

人工弁には機械弁と生体弁がある

 心臓弁膜症の治療に人工弁置換手術があるが,その際に用いられるのが人工弁である.この人工弁には大きく分けて2種類あり,それが「機械弁」と「生体弁」である.

 機械弁は,人工材料から構成されている弁であり,現在の主流は二葉弁になっている(図1左).一方,生体弁はいくつかに分類されるが,臨床で通常使用されるのは,ウシやブタなどの他の動物種から作成した「異種生体弁」である(図1右).

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 静脈に血栓を生じて起こされる病態は,肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism:PTE)と深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)に代表されるが,これらの疾患は静脈血栓塞栓症(venous thromboembolism:VTE)と総称される.

 VTEの治療において,従来,わが国では未分画ヘパリン(unfractionated heparin:UFH)に引き続き,ワルファリンを使用することが一般的であった.一方,直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants:DOAC)やフォンダパリヌクスといった選択肢の登場により,外来治療や入院期間の短縮も可能となった.

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Question 1

急性心膜炎の鑑別疾患を教えてください.

急性心膜炎の鑑別

 急性心膜炎は,成人に発症した胸痛の鑑別疾患として一般的な疾患である.救急外来を訪れる胸痛患者のうち,心筋梗塞を除くと5%の頻度でみられる1).表1に,急性胸痛を呈する急性心膜炎の鑑別疾患を列記する2)

 急性心膜炎の特徴として,以下の4つの所見が特徴的である.

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Question 1

血糖コントロールの改善によって,本当に心血管イベントや細小血管合併症は減少しますか?

臨床試験で示されたリスク低減

 血糖コントロールの改善が心血管イベントや細小血管合併症を減少させることは,複数の臨床試験で示されている.

 英国で行われた新規発症の2型糖尿病患者を対象としたUKPDSでは,ランダム化比較試験(RCT)の期間中における心筋梗塞の減少は,p値0.052で有意差は出なかったが,細小血管合併症はhazard ratio(HR)0.75(95%CI 0.60〜0.93)で減少した1).RCTの終了後10年の解析では,スルホニル尿素(SU)薬-インスリン群とメトホルミン群の両者で心筋梗塞の減少が確認されている2)

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Question 1

最近,SGLT2阻害薬,GLP-1アナログやDPP-4阻害薬といった薬が出てきていますが,どういった機序で血糖が改善しますか?

Question 2

これらは糖尿病の合併症を減らしますか? 特に,心筋梗塞や心不全発症は減りますか?

心血管疾患予防薬 【高血圧症】

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Question 1

治療抵抗性高血圧の原因を教えてください.

治療抵抗性高血圧の定義

 治療抵抗性高血圧は,クラスの異なる3種類の降圧薬を内服しても降圧目標まで下がらない状態を指す.また,高血圧は「外来血圧」と「家庭血圧または24時間血圧」の両方で評価することが望ましく,外来血圧のみが高い白衣高血圧では必ずしも降圧薬の増量は必要ない.

 降圧目標は年齢や基礎疾患によって異なるが,別項を参照いただきたい.

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Question 1

血圧治療の目標設定はどうすればよいですか?

高血圧の定義

 現在,高血圧ガイドラインは複数あり,しかも各々で目標は異なるうえに,症例に応じても変わってくるため,非常に悩ましい.

 直近の新しいガイドラインに,『米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)ガイドライン』(表1)がある1).今まで,高血圧の定義は「140/90mmHg以上」と定義されていたが,このガイドラインでは,「130/80mmHg以上」に引き下げられた.

心血管疾患予防薬 【コラム】

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 心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患に対するアスピリンの二次予防(再発予防)効果は,多くの研究で示されている1).一方,心血管疾患のない患者におけるアスピリンの一次予防(発症予防)効果はと言うと,少々旗色が悪い.

 本稿では,国内外のガイドラインや主要論文を通じて,アスピリンの一次予防に関するエビデンスをまとめていく.また,一次予防目的のアスピリンの適応を日本人においてどう考えるべきかについても考えていきたい.

連載 フィジカルクラブpresents これって○○サイン!?・12

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60代女性.週に3回維持透析を受けており,腹痛・下痢で入院中.緑内障と白内障のため,右眼のかすみあり.朝回診に行くと,「昨晩から急に,見えていた左眼がほとんど見えなくなった」と訴え,左視力は光覚弁であった.

左右の眼球に交互に光を当てると…

【動画】(時間:36秒)

http://mv.igaku-shoin.jp/medicina/5503h01(2020年2月29日まで公開)

連載 目でみるトレーニング

連載 心電図から身体所見を推測する・6

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 心電図には心臓以外の情報も多く含まれている.本連載第4回までの胸部,腹部などの異常所見では心臓の位置関係に変化を及ぼす可能性があったが,今回は少し離れた四肢の情報を心電図から探っていきたい.

連載 Inpatient Clinical Reasoning 米国Hospitalistの事件簿・20

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「謎はすべて解けた!」

 意気揚々とICUに戻り,その解説をしようとレジデントを捕まえた私を待っていたのは,驚愕の事実であった….

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 本書のタイトルを見て,ナンパなどと不謹慎!と感じる方も多いことだろう.さて,本書の内容が真面目か不真面目か読み進めてみよう.

 著者は漢方を愛する三人のカリスマ医師.

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 その時(1983年)の情景はいまだに鮮明に僕の記憶の中に残っている.当時僕は関西のある病院でバックアップもないまま,ひとりでPCIを行っていた.大阪で開催されたクローズドの冠動脈造影のための症例発表研究会において,その当時はあり得なかった右冠動脈の慢性完全閉塞に対するPCIの症例シネを呈示した.それに対する反応は驚くべきものであり,その会を仕切っておられた「エライ」先生お二人が,僕のことを「どこの馬の骨が」と言われて口撃されたのである.そして,僕に引き続いて光藤和明先生も,PCIの症例を呈示された.残念ながら内容までは覚えていないが,素晴らしいPCIであった.しかしながら,驚くべきことに彼のPCIに対しても,またもや「エライ」先生お二人は口撃された.当時若造であった僕たちは,これらの口撃に対して反論することもできなかった.僕は光藤先生が廊下に出てこられるのを待ち受け,「あんなこと言ってひどいよねえ」と訴えた.

 これが本書の著者であられる光藤先生との初めての出会いであり,生涯の友との出会いだったが,思えばこの時の情景の中に,既に光藤先生の片鱗が光り輝く青魚の鱗のように表されてる.僕にとっての彼は,「反骨」「理想の追求」「物事は理論で説明つく」という信念を持った人である.

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 内科救急に携わる全ての医師にとって待望の一冊が手元にある.この書籍は今や「引っ張りだこ」の坂本壮先生による単著第2弾であるが,内科救急の15症例を通じて陥りやすいピットフォールについて非常にわかりやすく解説されている.

 一気に読破できるほど“読みやすい”この書は,デザインや書体などにも細かくこだわり,イラストも何度か描き直したそうであるが,“読みやすい”のは見た目のためだけではない.内容が良いのだ.内科救急で働く医師へ伝えたいメッセージが明確となっているからこそ,読み手の心に響く“読みやすい”一冊に仕上がったのであろう.現場で働く坂本先生ならではの作品である.

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基本情報

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55巻3号 (2018年3月)
電子版ISSN:1882-1189 印刷版ISSN:0025-7699 医学書院

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