特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方
周術期患者への注意点
抗凝固薬服用中の患者に手術が必要になった時や出血を起こした時はどうすればよいですか?
野木 真将
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1The Queen's Medical Center, Hospitalist program
1The Queen's Medical Center, Hospitalist program
pp.464-467
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225386
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Question 1
手術前に必ず中止しないといけませんか?
すべての手技や手術前に中止する必要はない.2017年に米国心臓病学会(AHA)から発表された声明1)では,出血リスクを層別化し,出血リスク(表1)が血栓形成リスク(表2)より高い場合にのみ,抗凝固薬を中止するように勧めている.米国胸部学会(ACCP)のガイドライン(第9版)2)では,①心房細動があり,手術の3カ月以内に脳梗塞/一過性脳虚血発作(transient ischemic attacks:TIA)を起こした患者,②CHADS2 scoreが5点以上で過去に抗凝固薬休薬中に血栓塞栓症を起こした既往のある患者,の2点を血栓形成の高リスク群としている.
低出血リスクの手術症例では中止の必要はなく,中等度〜高出血リスクの手術症例では新規抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)を中止することになる.
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