特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方
不整脈患者に使用する薬
心房細動では抗凝固薬(ワルファリン,NOAC)をどう使い分けたらよいですか?
尾崎 功治
1
,
伊藤 大樹
2
1福岡山王病院循環器センター
2あおばクリニック
pp.446-450
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225381
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心房細動の有病率は上昇の一途を辿り,医療機関により診断がついている症例に限っても,日本人の80歳以上の男性で約4%,女性で約2%と高い有病率となっており1,2),今や心房細動はcommon diseaseである.心房細動による心原性脳梗塞は,アテローム性脳梗塞やラクナ脳梗塞に比べると血栓が大きい場合が多く,半身麻痺や重度の高次機能障害などをきたす原因となり,QOLを著しく低下させる疾患である.
心原性脳梗塞リスクは後述のCHA2DS2-VASc scoreで層別化され,抗凝固療法開始が検討されるが,RE-LY〔ダビガトラン(プラザキサ®)〕3),ROCKET AF〔リバーロキサバン(イグザレルト®)〕4),ARISTOTLE〔アピキサバン(エリキュース®)〕5),ENGAGE AF〔エドキサバン(リクシアナ®)〕6)といったワルファリンとの比較を行った大規模試験とそのメタ解析7)により,どの新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant:NOAC)も脳梗塞発症に関してワルファリンに対して非劣性が示され,脳出血発症に関しては有意に少ないという結果であった.そのため,『欧州心臓病学会(ESC)ガイドライン』8)では,基本的には心房細動に対する抗凝固療法にはNOACが推奨されているが,後述する消化管出血の問題,また,弁狭窄症や腎機能障害といった併存疾患,経済的な問題など多角的な視点でワルファリンかNOACかを選択すべきである.
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