特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方
心不全,心筋症患者に使用する薬
収縮能が保持された心不全(HFpEF)の治療はどうすればよいですか?
河野 裕之
1
,
北井 豪
1
1神戸市立医療センター中央市民病院循環器内科
pp.418-422
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225375
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Question 1
心収縮力が保たれた心不全(HFpEF)があると聞きましたが,その病態はどういうものですか?
心不全の定義とHFpEF,HFrEF
心不全は,「慢性の心筋障害により心臓のポンプ機能が低下し,末梢主要臓器の酸素需要に見合うだけの血液量を,絶対的にまた相対的に拍出できない状態」と定義されている.つまりその主体は,収縮能の低下を主体とした血行動態的な疾患群と考えられてきた.
しかし,収縮能の代表的な指標である左室駆出率(left ventricular ejection fraction:LVEF)で評価すると,収縮能が保持された心不全(heart failure with preserved ejection fraction:HFpEF)の頻度は年々増加傾向にあり,収縮能が低下した心不全(heart failure with reduced ejection fraction:HFrEF)と同等の頻度であることが報告された1).さらにこの報告では,HFpEFの予後がHFrEFの予後と同様に悪いということも報告され,HFpEFの病態や治療がこれまで以上に注目されることとなった.
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