特集 —クリニカル・クエスチョンで学ぶ—循環器薬の使い方
心不全,心筋症患者に使用する薬
心不全のうっ血治療において,トルバプタンはフロセミドより良い薬ですか? 実際に心不全や腎機能の予後が改善しますか?
赤井 靖宏
1
1奈良県立医科大学地域医療学講座
pp.433-435
発行日 2018年3月10日
Published Date 2018/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402225378
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心不全では,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化などによって体液過剰が発症する.心不全の体液過剰に対してはループ利尿薬が頻用されてきたが,フロセミドをはじめとするループ利尿薬は,強力なNa利尿効果を発揮して短時間で肺うっ血を改善する一方,慢性心不全患者の生命予後を悪化させる可能性が報告されるなど,ループ利尿薬の心不全管理における意義が再考されている.ループ利尿薬が心不全患者の生命予後に関与するメカニズムの詳細は不明であるが,神経体液因子の活性化,腎機能の悪化や電解質異常の関与が推測されている.
心不全患者が増加するなか,これらの因子への影響が少ない利尿薬としてバソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタン(サムスカ®)が注目されている.
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