今月の主題 肝硬変update―より良き診療のために
肝硬変合併症の治療
肝腎症候群の治療
植村 正人
1
,
福井 博
1
1奈良県立医科大学第3内科
pp.1212-1216
発行日 2012年7月10日
Published Date 2012/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106050
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ポイント
★肝硬変腹水の経過中,Cr 1.5mg/dl以上,少なくとも2日間以上の利尿薬中止とAlb投与後,血清Crが低下しない場合,肝腎症候群(HRS)を疑う.ショック,腎実質障害,腎毒性薬物投与がないことを確認する.
★1型HRSは急速進行性腎不全であり,しばしば特発性細菌性腹膜炎(SBP)に続発する.2型は緩徐な経過をとり,難治性腹水を伴うことが多い.
★肝硬変末期の腎循環は,血管収縮性と血管拡張性物質の均衡のうえに保持されているが,血管収縮性に傾くとHRSにつながる.
★1型HRSの治療は,Albと血管収縮薬の併用投与が有効であり,TIPSも予後改善につながる.肝移植は予後を改善させる.
★HRS予防には,SBPの発症予防,SBP発症時の抗菌薬とAlb併用が有効である.脱水,過度の利尿薬投与,非ステロイド性抗炎症薬の投与を避ける.
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