臨床雑誌内科 115巻2号 (2015年2月)

一般内科診療で役立つうつ病の知識-こころの問題にどう対処するか

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うつ病診療では,うつ病以外の精神疾患の知識をもち,鑑別や合併を検討する.ICDやDSMなどの診断基準は,記載どおりに厳密に用いる.自記式質問票,評価尺度や投影法による心理検査は,内科医のうつ病診療では有用でないと考えたほうがよい.面接で重要なのは「傾聴,受容,共感」である.「重症度が中等症以下のうつ病では,抗うつ薬はプラセボと比べ効果にあまり差がない」ことと「うつ病が中等症以上であれば精神科医に紹介したほうがよい」ことを考え合わせると,内科医のうつ病治療における抗うつ薬の必要性は慎重に検討する必要がある.

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うつ病の治療ガイドラインでは,軽症うつ病の場合は抗うつ薬による薬物療法よりも精神療法が推奨されており,この点に関しては内科医でも簡単な精神療法で対応可能なケースもある.内科医が精神科の薬剤を使用する際は,抗うつ薬であれば新規抗うつ薬を使用すべきであり,睡眠薬の投与は1剤に限るべきである.抗不安薬に関しては,認知機能の低下が生じる可能性があり,耐性が生じ内服量が増える危険性がある.また,依存性が強くその後に中止することが困難なケースが多いことから,一般内科における使用は控えるべきである.

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うつ病が疑われる患者に対しては,傾聴だけではなく,うつ病症状に対する積極的な質問をすることが必要である.うつ病では病識が欠如しているため,疾病教育が治療として有用である.認知療法は,うつ病の精神療法のファースト・ラインとして推奨されている.認知療法は「状況をどう解釈するか(認知するか)によって,生じる情緒が決定され,それによって行動や身体状態も影響される」という認知モデルに基づいた精神療法である.認知療法では,狭小化した認知を,より柔軟で現実的な認知に回復させることによって,認知に影響されている抑うつ症状を変化させる.

消化器内科領域 安野 広三 , 須藤 信行
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うつ病は精神症状だけでなく,多彩な身体症状を呈する疾患である.とくに軽症のうつ病は精神症状が目立たず,身体症状が前面に出ることも多い.なかでも消化器症状は頻度が高い.消化器内科領域でうつ病が問題となる主なケースは,(1)うつ病患者が消化器症状を主訴として受診してきた場合,(2)過敏性腸症候群などの機能性消化管障害とうつ病に伴う消化器症状との鑑別が問題となる場合,(3)器質的な消化器疾患の経過中にうつ病を発症した場合などがある.

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呼吸器疾患のうち,気管支喘息やCOPDなどは抑うつや不安を合併しやすい.喘息診療において,喘息治療薬の追加や増量を行っても症状が不安定で抑うつや不安が関わっている場合には,抗うつ薬,抗不安薬による治療を考慮する.COPDは抑うつなどの全身併存疾患がみられるため,全身性疾患と捉えて包括的な重症度の評価や治療を行う必要がある.呼吸器疾患患者が抑うつ状態の場合,身体症状を中心に訴えるため気づかないことが多い.また,慢性呼吸不全患者の症状はうつ状態に伴う身体症状に類似しているため,医療者側が気づきにくい.このため,身体管理をしっかり行ったうえで精神症状に注意し診療する必要がある.

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抑うつは,心血管イベントとの関連において独立した予後悪化因子であることが報告されている.本邦での報告はいまだ多くはないが,各種スクリーニングツールにて心血管イベントとの関連が報告されつつある.スクリーニングツールも多種あるが,近年は米国心臓協会(AHA)の推奨するPHQ-9を用いたうつスクリーニングが取り上げられている.PHQによる国内の報告はいまだ少なく,また臨床の現場でどのように扱ったらよいかなど課題も多い.

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コンサルテーション・リエゾン精神医学のうち,腎疾患患者の心理や行動などに関する臨床,研究を行っていく分野をサイコネフロロジーという.透析患者には高い頻度で不安と抑うつが生じることがわかっているが,諸外国と比べて日本の頻度は低い.丁寧な身体的治療とケア,支持的精神療法,エンパワーメント・アプローチなどにより,精神症状は改善する.向精神薬に関しては,常用量の3分の2以上を処方しないことが原則である.今後の課題として,地域全体のサイコネフロロジーの診療レベルを高めていくことが必要であり,その試みは徐々に浸透しつつある.

神経内科領域 二村 明徳 , 河村 満
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脳卒中後うつは,一般的なうつ病と病像が異なり,高次脳機能障害や運動障害などに隠れ見過ごされている場合が多い.脳卒中後うつの適切な診断と治療介入が,リハビリテーションを促進しADLを改善させる.Parkinson病(PD)の非運動症状が近年注目されている.PDに伴ううつはQOLをもっとも低下させる症状である.PD患者のうつ病に対する薬物治療は十分な抗PD薬の調整を行ったうえで,SSRIやSNRI,NaSSAなどの投薬が考慮される.

リウマチ内科領域 西村 勝治
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SLE患者にもっとも頻繁にみられる精神障害はうつ病である.精神病性障害や急性錯乱状態(せん妄)に比べて,うつ病が神経精神ループス(NPSLE)である割合は低い.しかし自殺のリスク,妄想などの精神病症状,認知機能障害を伴う重症のうつ病に対しては積極的にNPSLEを疑い,精査を行う.NPSLEの危険因子((1)SLEの疾患活動性の亢進,(2)NPSLEの既往歴やほかのNPSLE症状の併存,(3)抗リン脂質抗体陽性)があればなおさらである.ステロイドによるうつ病との鑑別は難しいが,一般にステロイドの急性・高用量投与時にはうつ病よりも躁病・混合性エピソードが多く,用量依存性である.SLEのうつ病治療には適宜,精神科医との連携が欠かせない.

血液内科領域 宮川 義隆
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疲れやすい,微熱,腹痛など不定愁訴のようにみえても血液疾患が隠れていることがあり,鑑別診断において留意する.血液疾患には白血病,悪性リンパ腫,骨髄腫のような悪性新生物が多い.難病が多く,病名の告知,治療方針の説明などで適応障害になることがある.化学療法の副作用も強く,治療が長期にわたることも多いため,メンタルヘルスのサポートが必要となる.

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糖尿病や肥満はうつ病と併存しやすく,双方向の因果関係にある.糖尿病治療では生活習慣の変更を余儀なくされ,さらに合併症の進展などが心理的・身体的苦痛となり,うつ病の発症につながる.肥満患者は,社会的偏見や体形に対する劣等感から自己評価が低下し,うつ病の発症につながりやすい.食欲や睡眠に関する身体症状を手掛かりに,抑うつ気分や興味の減退がないかを問うことが,うつ病の発見に役立つ.非定型うつ病は,抑うつや不安に反応した過食を伴う.うつ病の治療は,薬物療法と並んで認知行動療法などの心理療法も有効である.内分泌疾患ではホルモンの過不足が原因でうつ症状が出現しやすいが,ホルモン値が正常化後もうつ症状が残存する例がある.

老年内科領域 服部 英幸
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高齢者のうつ病診療を行う際には,高齢者の精神・身体特性に配慮する.加齢とともにさまざまな臓器の機能低下が出現し,老年症候群を惹起しやすい.心理的には心身機能の低下と孤独の受容困難が契機となりやすい.高齢者では身体的機能低下と精神的機能低下が連動する.身体疾患を有するとうつ病になりやすく,その逆も多い.症状の特徴は,身体愁訴が多く,妄想形成にいたりやすい.妄想は自己を過小評価する妄想(微小妄想)が主である.認知症とうつ病の鑑別は難しいことが多いが,認知症に伴う意欲低下(アパシー)との区別は治療上重要である.治療は薬物のみならず,電気けいれん療法,運動療法等を組み合わせる.過剰な安静は廃用症候群の原因になる.フレイルは老年内科の重要なテーマとして,急速に注目を集めるようになったが,うつ状態の併存が多く配慮が求められる.

緩和ケア 明智 龍男
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がん患者に精神症状が認められることはまれではなく,なかでも高頻度にうつ状態がみられる.がん患者のうつ状態は,QOLの全般的低下,がん治療に対するアドヒアランス低下,家族の精神的負担の増大,入院期間の長期化,自殺など,多岐にわたる問題に影響を与えうる.がん患者のうつ状態に対する治療の柱は,一般精神科臨床同様,精神療法と薬物療法である一方,がんという疾患が背景に存在するため,痛みなどの症状やがん治療そのものがうつ状態の原因となることも念頭に置いた対応が求められる.

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急激な社会経済状況の変化に伴い,職域でうつ病を含めたメンタルヘルス不調が増えている.産業医であれば内科医であってもメンタルヘルス不調に対応する必要があり,その場合,安全配慮義務と危機管理を念頭に事例性に注目する.メンタルヘルス不調への一次~三次予防として国は,「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」,「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」など,さまざまな指針や手引きを示している.うつ病を含めたメンタルヘルス不調に対して,産業医は国の示した指針や手引きなどを理解し,精神科主治医との立場の違いを理解し,連携を行うことが求められる.

救急診療 北元 健 , 上條 吉人
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救命救急センターには,ときに活発なうつ症状を呈する患者が搬入され,身体疾患との鑑別が必要になることがある.また,うつ状態に起因した自傷・自殺未遂患者もしばしば運ばれてくる.しかし,救急医療の現場には精神科医がいないことも多く,また休日や夜間ですぐに精神科医が診察できない状況も存在する.ここでは救急現場で内科医に求められる,意識障害との鑑別を要する昏迷および,救急センターでの自傷・自殺未遂患者における対応について説明する.

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日本の自殺率は非常に高く,公衆衛生上の最大課題の一つとなっている.自殺関連行動の多くに精神疾患が関与している.自殺の危険因子と自殺の生じるプロセスが明らかにされてきている.精神疾患には,今なお大きなtreatment gapがある.ルーチンとして精神疾患を鑑別し,スクリーニングを積極的に行う.自殺念慮を積極的に取り扱い,精神科医と連携する.患者の不安を軽減するために,日頃から精神科医との連携構築に努め,信頼関係のなかで患者を紹介する.患者の背景にある生活上の悩みにも耳を傾け,相談勧奨を行う.プライマリ・ケア医自身も,自殺に傾く患者について公的機関を利用し,相談を行うことができる.

摂食障害 西園マーハ 文
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摂食障害には,神経性やせ症(拒食症),神経性過食症などがある.これらの患者は,自己評価が非常に低い場合が多く,うつ病やパーソナリティ障害との併存例もみられる.神経性やせ症に対しては,栄養面で具体的なアドバイスをしながら心理的対応をすることが必要であり,神経性過食症では,生活リズムを改善しながら,過食や代償行動の背後の心理的問題にも対応することが必要である.神経性過食症に対しては,認知行動療法の治療効果が報告されており,抗うつ薬である選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)も用いられる.治療動機に乏しい場合も多いため,特有の心理を理解して治療関係をつくることが必要である.また,家族への対応も重要である.

発達障害 太田 晴久 , 岩波 明
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精神科領域では発達障害の下位分類として,知的障害,学習障害,注意欠如・多動性障害,広汎性発達障害などの診断名が存在する.広汎性発達障害は「自閉症スペクトラム障害」と,最近では呼称が変わってきている.自閉症スペクトラム障害の主症状は社会性の障害に加え,行動や興味の限局性である.自閉症スペクトラム障害では,その障害特性から二次的にうつ病などの精神疾患を併存することが多いが,その存在は見過ごされやすい.自閉症スペクトラム障害そのものの治療は困難であるが,併存したうつ病などの精神疾患は治療可能である.幼少期からの連続性の有無が,自閉症スペクトラム障害などの発達障害とうつ病などの他の精神疾患との重要な鑑別点である.

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アルコール依存症とうつ病は高率に合併する.発症の時間的関係に基づいて一次性と二次性に分類される.アルコールにはそれ自体がうつ状態を惹起する作用があり,すでにうつ病に罹患している患者が飲酒をするとうつ病が悪化する.アルコール依存症とうつ病の併存例では,自殺のリスクも高い.専門治療を受けているアルコール依存症患者は,推計患者数のごく一部にすぎないと推測されており,早期の診断と専門治療導入が望まれる.アルコール依存症とうつ病が併存する患者では,一定の断酒期間を設けて抑うつ状態の評価を行うことが望ましく,SSRIなどによる薬物療法を行う際も断酒が前提となる.薬物依存では「医薬品乱用群」にうつ病との併存例が多く認められる.

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電気けいれん療法(ECT)は,電気刺激によって人工的にてんかん発作を誘発する治療法である.改良を重ね現在にいたり,精神疾患の急性期治療において重要な位置を占めている.うつ病に対して短期的には高い有効性を示し,難治性うつ病にも効果が期待できる.問題点としては,全身麻酔が必要であること,再燃率が高いことのほか,認知機能障害などの有害事象がある.ECTは通常二次的に使用されるが,自殺のリスクや栄養不良など切迫する生命の危機がある場合などには一次的に使用される.

光トポグラフィー(NIRS) 平野 仁一
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精神疾患の臨床診断は通常,本人や家族からの問診結果に基づいてなされるが,問診から得られる情報が十分でなかったり,情報を十分に得てもなお診断の確定が困難である場合が少なくない.とくに,うつ病,双極性障害および統合失調症等は,いずれも初期にうつ状態を呈することが多いため,正確な鑑別診断はしばしば困難である.これまでは精神疾患の診断に関する生物学的な指標が確立されていなかった.光トポグラフィー検査は人体に安全な近赤外線を用いて,脳表の血流変化を捉えるものである.言語流暢性課題下での光トポグラフィー検査は,抑うつ状態の鑑別診断の補助として2014年から保険採用されており,精神科臨床において臨床診断の補助となるものである.

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2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1)の経験を踏まえ,2013年4月,新型インフルエンザおよび新感染症(以下,「新型インフルエンザ等」)を対象とした新たな法律「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が施行され,また同年6月,「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」,「新型インフルエンザ等対策ガイドライン」が策定された.今後,新型インフルエンザ等が発生した際には,特措法・政府行動計画・ガイドラインに基づいた対応が求められるため,医療機関においては,これらの概要について理解しておく必要がある.また,新型インフルエンザ等の発生に備え,各地域において医療機関間の連携を進めるとともに,各医療機関において診療継続計画の策定が求められている.新たな感染症が問題となった場合,行政機関や専門学会等から診療・対策に関する種々の通知・ガイドライン等の情報が発信される.このような情報を迅速かつ効率的に収集する方法を平時から確立しておくことも重要である. 法律・行政面からは通常の感染症対策と異なる面はあるものの,新型インフルエンザ等への対応は,季節性インフルエンザをはじめとした日常の感染対策の延長線上にあるものであり,日ごろからの感染対策が重要である.

PATHO-Words講座 病理のことばを読み解こう(Vol.9)

鋸歯状ポリープ 福嶋 敬宜

よくわかる透析療法「再」入門(number 22)

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69歳男。58歳時に胃癌のため胃全摘+脾摘、61歳時に癒着性イレウスのため保存的治療を行った。右頸部の腫瘤を自覚し、右頸部から肩関節にかけて疼痛を自覚し、咳嗽もあった。約4ヵ月の経過で4kgの体重減少もあった。超音波ガイド下に右鎖骨上リンパ節生検を施行し、小細胞癌と診断した。頭部MRI像、骨シンチで明らかな転移を認めなかった。胸水は細胞診陰性で肺炎随伴性も否定できなかったが、がん性胸膜炎と診断した。化学療法1コース終了3日後から触診上縮小し、疼痛も次第に軽減し、咳嗽も減少した。化学療法7日後の胸部造影CT像において、上大静脈と左腕頭静脈の狭窄は改善し、気管の狭窄も改善、腫大したリンパ節と原発巣は縮小した。白血球の減少のため、化学療法9日目からG-CSFを5日間使用した。

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45歳男。10歳時に脊椎破裂にて両下肢不全麻痺となった。その後、誘因なく足骨折を繰り返した。今回、左足関節を骨折した。骨折の治療経過は良好であったが、多発骨折の原因精査目的で受診した。画像検査では、腰椎L3に圧迫骨折を認め、骨シンチグラフィーにて両足関節、両側脛骨、左下位肋骨、左肋骨、胸椎に集積亢進像を認めた。大腿骨頸部で骨密度の著明な低下を認めた。中年男性で、突然の多発骨折、高度な骨粗鬆症を認め、続発性骨粗鬆症と考えられた。アルファカルシドールの投与を開始した。BAP及び尿中NTXは低下し、骨密度は上昇し、経過良好であった。アルファカルシドールを一旦中止した。重い荷物を運んだ後から腰痛が出現し、骨代謝マーカーの悪化、腰椎・大腿骨頸部骨密度の低下、Th12圧迫骨折を認めた。さらに、転倒後に前胸部打撲で肋骨痛を生じた。アルファカルシドールを再開し、現在まで新たな骨折は認めない。

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40歳代男。起床時から左筋胸部痛(吸気時および寝返りで増悪)が出現した。血液生化学検査ではALP値が上昇していた。胸椎MRIでは、Th11の黄色靱帯骨化症に施行した椎弓切除の痕跡とTh11の椎体にSchmorl結節(椎体への椎間板ヘルニア)を認めた。新たな脊柱靱帯骨化症は認めなかった。頭部X線でトルコ鞍拡大、前頭洞拡大、頭部MRIで下垂体腫瘍を認めた。更にインスリン様成長因子(IGF-1)の高値で、先端巨大症と診断した。経蝶形骨洞腫瘍摘出術により腫瘍は全摘され、経過順調である。

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27歳女。嘔気と嘔吐が出現した。胃腸炎の診断で内服薬を処方したが、症状は改善しなかった。その後も嘔気と嘔吐が治まらず立ち上がることもできない状態となり、救急搬送された。頻脈があり、甲状腺機能の更新を認めた。下腹部痛が出現し、腹部骨盤部単純CT検査では、子宮が腫大し、内部に出血を伴う10cm程度の腫瘤影を認めた。経腟超音波検査では嚢胞状組織が充満し、尿中hCGと血中hCGが上昇していたことから胞状奇胎を考え、それに伴う甲状腺中毒症と診断した。MMIおよび無機ヨードの内服は継続し、子宮内膜掻爬術を施行した。摘出標本は肉眼的、組織学的に全胞状奇胎と診断した。術後はMMIと無機ヨードは中止したが甲状腺機能は速やかに改善した。残存病変に対して追加の手術を行い、症状も改善したため退院した。

基本情報

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臨床雑誌内科
115巻2号 (2015年2月)
電子版ISSN:2432-9452 印刷版ISSN:0022-1961 南江堂

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