一般内科診療で役立つうつ病の知識-こころの問題にどう対処するか 各領域におけるうつ病の診かた
老年内科領域
服部 英幸
1
1国立長寿医療研究センター 精神診療部
キーワード:
うつ病
,
加齢
,
抗うつ剤
,
鑑別診断
,
認知症
,
虚弱高齢者
,
アパシー
Keyword:
Aging
,
Antidepressive Agents
,
Diagnosis, Differential
,
Dementia
,
Depressive Disorder
,
Frail Elderly
,
Apathy
pp.235-239
発行日 2015年2月1日
Published Date 2015/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015095429
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高齢者のうつ病診療を行う際には,高齢者の精神・身体特性に配慮する.加齢とともにさまざまな臓器の機能低下が出現し,老年症候群を惹起しやすい.心理的には心身機能の低下と孤独の受容困難が契機となりやすい.高齢者では身体的機能低下と精神的機能低下が連動する.身体疾患を有するとうつ病になりやすく,その逆も多い.症状の特徴は,身体愁訴が多く,妄想形成にいたりやすい.妄想は自己を過小評価する妄想(微小妄想)が主である.認知症とうつ病の鑑別は難しいことが多いが,認知症に伴う意欲低下(アパシー)との区別は治療上重要である.治療は薬物のみならず,電気けいれん療法,運動療法等を組み合わせる.過剰な安静は廃用症候群の原因になる.フレイルは老年内科の重要なテーマとして,急速に注目を集めるようになったが,うつ状態の併存が多く配慮が求められる.
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