総合診療 29巻7号 (2019年7月)

特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない!

陶山 恭博
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 発熱に加えて皮疹や関節炎、腎機能障害などがあると、「膠原病かもしれない」と頭をよぎることでしょう。そして、その瞬間に専門医へ電話できたらどんなに便利だろう、と思うかもしれません。抗体検査をすべてオーダーし、なんとなくスッキリしてしまいたい、という衝動にもかられるかもしれません。でも、抗核抗体検査は結果が出るのに時間がかかり、状況によっては特異抗体の検査は不要です。実は膠原病以外の疾患であることも多く、無用な検査をせずに診断できるに越したことはありません。

 「膠原病=除外診断」です。コモンディジーズや感染症、薬剤性でも“膠原病っぽい症状”を呈することは多く、コンサルトされた専門医はまず膠原病以外の“ミミック(mimic)疾患”を探索することから始めます。そこで本特集では、一般外来で遭遇しうる“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”を「実はコレだね!」と見抜くヒントをまとめました。専門医にコンサルトする前に、一度これらの可能性を思い出すきっかけにしていただけたら、大変嬉しく思います。「膠原病っぽいと思ったが実は違った!」という経験の積み重ねは、診断エラーの回避や非典型的なプレゼンテーションでやってくるコモンディジーズの診断プロセスの学びにも、きっとなるはずです。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

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優れた臨床家に触れると、整理された豊富な知識を組み合わせていく、アウトプットに秀でた姿に感動します。そこに近づけるよう、私も少しずつ勉強したことをグルーピングして覚えるように心がけています。ここでは、本特集の各論でご解説いただいた“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”を、マインドマップに描いてみました。詳細はぜひ各論を開いていただくとして、このマップがその道しるべになれば大変うれしく思います。

【各論 膠原病っぽくみえてしまう疾患たち】

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Case

「高齢発症関節リウマチ」ミミック症例

患者:75歳、男性

主訴:両肩の痛み

既往歴:糖尿病、高血圧

内服薬:タムスロシン0.2mg(1回1錠1日2回)、シメチジン200mg(1回2錠1日2回)、シタグリプチン50mg(1回2錠1日2回)

現病歴:受診3カ月前に、両肩の痛みを自覚した。かかりつけ医で加療を受けるも改善なく、総合診療科紹介となった。疼痛は関節稼動で増悪し、朝の1時間以上のこわばりや、両上腕部の痛みと右手関節痛を伴っている。しかし、両手の挙上や寝返りは可能で、発熱・股関節痛・大腿部痛・顎跛行・視力障害・体重減少などの症状はなかった。

身体所見:側頭動脈に異常はなく、両肩関節と右手関節の圧痛と両上腕筋肉把握痛がある。それ以外には、septic spotや皮疹などを含め、他に異常はなかった。

検査所見:肩関節や手関節のX線に異常なし。ANA・RF・抗CCP抗体・ANCAはすべて陰性。CRP 8.4mg/dL。

経過:抗CCP抗体陰性の「高齢発症関節リウマチ」を考慮したが、DPP-4阻害薬による関節炎の除外が必要と判断し、シタグリプチンを中止し経過観察したところ、症状は4週間後に消失、炎症反応もその後消失した。前医に問い合わせたところ、シタグリプチンは約1年前に開始された薬であり、経過も併せ「DPP-4阻害薬」による関節炎と判断した。

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Case

「リウマチ性多発筋痛症/巨細胞性動脈炎」ミミック症例

患者:70歳台、男性

主訴:発熱、全身倦怠感、全身の筋肉痛、頭痛

既往歴:糖尿病、慢性腎障害

現病歴:2週間続く発熱、全身倦怠感、軽度の全身筋肉痛、頭痛を主訴に受診した。身体診察では、発熱を認める以外に特異的な所見なし。血液検査では、WBC14,200/μL、血沈78mm/時、ALP470IU/Lとそれぞれ上昇があった。全身の造影CTでは、特記すべき所見はなかった。

 「リウマチ性多発筋痛症/巨細胞性動脈炎」が疑われ、ステロイド治療の開始が検討されていたが、外来フォロー中に軽度咳嗽が出現したことから胸部CTを再検したところ、両側性に粟粒状の肺陰影が出現していた。気管支鏡検査の結果、肺胞洗浄液から結核菌核酸検査陽性となり、「粟粒結核」の診断とされた。

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Case

リウマチ・膠原病ミミック症例

患者:53歳、女性

主訴:発熱、視力低下

生活歴:非店舗型の性風俗店に勤務している。

現病歴:3カ月前から、発熱・咽頭痛が出現した。総合感冒薬で解熱したものの、体幹部に小紅斑が出現した。近医でステロイド静注薬の投与を受けたところ、紅斑は一時的に改善したが、消失することなく持続していた。2週間前から、左眼の視野欠損が出現し、近医眼科で「眼底出血」と診断された。当院眼科を紹介受診した際に「ぶどう膜炎」と診断され、受診時精査で、梅毒血清反応検査が陽性であったことから当院感染症科を紹介された。

 受診時の身体診察で、左眼球結膜の充血(図1)に加え、軟口蓋の白色粘膜斑、全身に淡い斑丘疹状紅斑を認めた。HIV抗原抗体検査は陰性だった。髄液検査は本人の承諾を得られず実施できなかったが、臨床所見から「眼梅毒」を合併した第2期梅毒と診断し、ペニシリンG静注薬での治療を2週間行なった。治療後、眼症状は速やかに消失し、梅毒血清反応検査は有意に低下したことから治療成功と判断した。

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Case

リウマチ・膠原病ミミック症例

患者:47歳、女性

主訴:皮疹、関節痛

既往歴:片頭痛

現病歴:7日前から頸部や四肢に紅斑が出現し、手足のかゆみとむくみ、関節痛も出現したため、当院内科を受診。発熱や咳嗽、咽頭痛、胸膜痛、Raynaud現象、日光過敏なし。最近の海外渡航歴やワクチン歴なし。学童と接する機会はよくある。

身体所見:頸部と四肢に網目状の紅斑があり、手足の圧痕性浮腫と、両側MCP(中手指節間)関節および両手関節の圧痛・腫脹を認めた。頬部紅斑や硬口蓋アフタ、爪周囲紅斑、頸部リンパ節腫脹、胸部聴診異常などはなし。

検査所見:血球減少はなく、CRP軽度上昇以外は肝・腎機能正常で、尿蛋白陰性。急性の左右対称性多関節炎であり、「全身性エリテマトーデス(SLE)」や「関節リウマチ(RA)」の初発症状も考えられたが、特徴的な皮疹と学童との接触歴から「パルボウイルスB19感染症」が疑われ、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)頓服処方にて1週間後に皮疹は消退し、関節症状も改善、PVB19IgM抗体陽性により診断確定となり、フォロー終了となった。

 その後も手のこわばりは持続していたが、6カ月後から全身の疼痛が出現、3カ月で日常生活も困難となり当院受診。炎症反応や甲状腺機能は正常、抗核抗体(ANA)やリウマチ因子(RF)、抗CCP抗体は陰性であり、診察および関節エコー所見などから、最終的に「線維筋痛症」と診断。有酸素運動やストレッチなどのリハビリテーションとプレガバリン併用による治療により、1年かけて社会復帰した。

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Case

発熱+皮疹の「成人Still病」ミミック症例

患者:25歳、女性

主訴:発熱、肝機能障害、全身の皮疹

既往歴:うつ病

現病歴:うつ症状増悪のため、1カ月前からミルナシプラン、フルニトラゼパム、ベゲタミン®(クロルプロマジン・プロメタジン・フェノバルビタール配合剤。2016年に販売中止)、スルピリド、ロラゼパムを内服開始。来院前日から、40℃台の発熱と顔面を含む全身に紅斑が出現し、「成人Still病」疑いで当科を紹介受診した。

身体所見:体温39.0℃。眼瞼結膜充血なし、口腔粘膜所見なし。頸部リンパ節腫脹あり。

皮膚所見:顔面全体はわずかに腫脹し、眼瞼周囲を避けるような暗赤色調の紅斑を認め(図1)、体幹・四肢には淡紅色の癒合する紅斑が多発している。

検査所見:血液;WBC11,000/μL(好酸球数4,510/μL)、CRP0.84mg/dL、BUN11.3mg/dL、Cre0.66mg/dL、LDH705IU/L、AST154IU/L、ALT139IU/L、γ-GTP270IU/L、フェリチン637ng/mL、HHV-6IgG160倍、HHV-6IgM10倍。腹部超音波;肝腫大、腹水あり。

治療:当初は成人Still病以外にも、感染に伴う中毒疹、薬疹などが疑われたが、特徴的な顔面の皮膚所見と薬剤歴、好酸球数高値、重篤な肝機能障害より「薬剤性過敏症症候群(DIHS)」を第一に考え、内服を中止し、水溶性プレドニゾロン40mg/日(1mg/kg/日)投与と全身にステロイド軟膏の外用を開始した。その後も発熱と紅斑の拡大を認めたが、入院10日後をピークに解熱し、好酸球数も正常化、肝機能障害も改善したため、プレドニゾロンを漸減し終了とした。

 その後、サイトメガロウイルスIgG/IgMは陰性、EBウイルスは既感染パターンであったが、入院4週間後のHHV-6抗体価は2,560倍と入院時の4倍以上高値を示し、ヘルペスウイルスの再活性化と考えた。原因薬剤のパッチテストにてベゲタミン®のみ陽性であり、同薬剤を被疑薬とした「DIHS」と診断した。薬剤誘発性リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test:DLST)は希望されず施行できなかった。

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Case

「リウマチ性多発筋痛症」ミミック症例

患者:72歳、女性

主訴:「全部イタイ」

既往歴:高血圧、脂質異常症

現病歴:2年前に、「リウマチ性多発筋痛症」の疑いで、プレドニゾロン15mgが処方された。症状は軽快したが、ステロイドを減量すると、右肩や後頸部の違和感が出現した。プレドニゾロンからベタメタゾンへ変更するも減量に難渋したため、当院リウマチ・膠原病科を紹介受診した。

身体所見:眼瞼結膜に点状出血なく、Janeway lesionなし。その他、顎跛行、視力障害、側頭動脈の怒張・拡張・圧痛なし、頭皮の疼痛なし。PMR症状は、ステロイド内服下のためかはっきりしなかった。

検査所見:血液培養は陰性。側頭動脈のエコーで壁肥厚なし。眼科診察で眼底に異常なし。その後も、見逃したくない「巨細胞性動脈炎」や「感染性心内膜炎」を積極的に示唆する所見はなかった。ステロイドを減量しやすいように短時間作用型のプレドニゾロンに戻し、朝のみの内服としたところ、肩の違和感が出現した。緊急で受診した前医にて念のため処方されたNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)が著効したため、関節エコーを行ったところ肩関節にX線ではっきりしないレベルの石灰化が指摘された。「偽痛風」もしくは「PMRの偽痛風合併」を疑いNSAIDsを併用したうえでステロイドを減量したところ、速やかに漸減・中止が達成された。

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Case1

「血管炎」ミミック症例❶

患者:56歳、男性

主訴:「足にブツブツが出た」

現病歴:4カ月ほど前から、たびたび発熱を繰り返していた。そのたびに近医を受診し、経口抗菌薬を内服し改善していた。1カ月ほど前に胸膜痛があり、CTにて胸膜直下の陰影を指摘された。この時も抗菌薬を内服し、症状は改善した。数日前から下腿を中心とした紫斑が出てきており、近医を受診したところANCA(抗好中球細胞質抗体)が陽性であり、膠原病科を紹介受診した。副鼻腔炎症状や鼻出血などはなかった。

身体所見:眼瞼結膜に点状出血なし。Janeway lesionやOsler結節なし。下腿を中心に、2〜3mm大の紫斑を多数認める。紫斑は浸潤を触れ、周囲に発赤を認める。鼻粘膜には特に異常なく、口腔内は齲歯が目立つ。呼吸音は清。心雑音を認めない。腹部は軽度の脾腫を認める以外に特記すべきことなく、関節炎も認めない。末梢神経障害の徴候もない。

検査結果:血液;WBC2,300/μL、Hb9.8g/dL、Ht30%、Plt18×104/μL、Cre1.03mg/dL、肝酵素(AST、ALT)に異常なし。血沈78mm/時、CRP7.8mg/dL。補体;C3 65mg/dL、C4 12mg/dL。抗体;ANA40倍、RF陽性(40IU/L)、PR3-ANCA陽性。尿定性;潜血(3+)、蛋白(1+)。胸部CT;結節影など肺の陰影なし。

経過:下腿にみられた紫斑は触知可能であり、典型的な皮膚の「小型血管炎」を想起させるものであった。顕微鏡的血尿がみられており、尿沈査を鏡検したところ、赤血球円柱を認め、腎炎をきたしている可能性が高く、入院して精査・加療を行うこととなった。

 血液培養を採取のうえ、静注抗菌薬に加えて、高用量のステロイドを静注で開始。経胸壁心エコーでは、明らかな疣贅などは認めなかった。腎炎の精査目的に腎生検を行おうとしたが、入院2日目に血液培養陽性の報告があり、後日Streptococcus mutansが同定された。経食道心エコーを施行したところ、僧房弁に小さな疣贅を認めた。「亜急性感染性心内膜炎」に伴う二次性の腎炎および皮膚の小型血管炎の診断となった。その後、抗菌薬によって症状は改善した。

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Case

「成人Still病」ミミック症例

患者:40歳、女性

主訴:発熱、関節痛

現病歴:10日前に、子どもに皮疹出現。2日前から悪寒戦慄、38〜39℃台の発熱あり。両側の鼠径部と腰の痛みあり。乾性咳嗽多少あり。経口摂取ができなかったため、入院とした。

身体所見:皮疹・関節炎なし

血液検査:WBC1,600/μL、CRP0.64mg/dL

経過:入院2日目に四肢体幹部に癒合する紅斑が出現し、発熱時に増悪した。5日目から両肩から肘、腰部にかけての痛みが出現し、「成人Still病」を疑われ当科コンサルトとなった。

 シックコンタクトや血液検査で白血球減少がみられたことから、ウイルス感染を疑い抗体検査を提出。後日、「パルボウイルスB19IgM陽性」とわかり、診断が確定した。

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Case

リウマチ・膠原病ミミック症例

患者:70歳、女性

主訴:発熱、皮疹

既往歴:高血圧、慢性B型肝炎、関節リウマチ治療中

現病歴:3年前から地域の基幹病院にて、「関節リウマチ」に対してサラゾスルファピリジンの薬物治療を受けている。持病の腰痛(脊柱管狭窄症)の増悪を認めたため、3週間前に近医整形外科で貼付および内服のNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の処方を受けた。1週間前から感冒様症状があり、近医内科クリニックで鎮咳薬と去痰薬、抗菌薬(セフェム系)の処方を受けた。数日前から微熱(37℃台)と尿量の減少、下肢の軽度浮腫、四肢・体幹に皮疹(紅斑)が出現したため、内科クリニックを再診した。

身体所見:下腿に軽度の浮腫あり。皮疹は、径1〜2cmで体幹と四肢に散在し、圧迫退色なく、軽度のかゆみあり。眼瞼結膜や口腔内に粘膜疹なし。

検査所見:尿;潜血(-)、蛋白(-)。血液;BUN38mg/dL、Cre1.6mg/dL、電解質異常なし。

❿「間質性肺炎」のABC 山野 泰彦
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Case

「膠原病関連間質性肺炎」ミミック症例

患者:72歳、女性

主訴:咳嗽、息切れ

既往歴:関節リウマチ(1年半前より、ブシラミンで症状改善し継続中)

現病歴:X年12月初旬より、咳嗽・息切れを自覚。X+1年1月、通院中のクリニックを受診した際に、胸部X線・CT撮影を施行し「間質性肺炎」が指摘され、紹介受診した。リウマチの関節症状に悪化なし。膿性痰や発熱など、積極的に細菌感染を示唆する所見なし。

身体所見:関節腫脹・疼痛なし。肺音にfine cracklesあり。皮疹なし。

検査所見:以前の胸部X線;明らかな肺野異常陰影なし。血液;KL-6 1,560U/mL、SP-D272ng/mL。高分解能CT;両肺広汎に小葉中心性の淡い分岐粒状影(図1)。

経過:追加問診にて、11月末に大掃除した際、油落としの洗剤(スプレータイプ)を吸ったあとから自覚症状が出現したとのこと。病歴から、吸入に伴う「過敏性肺炎」を考えた。症状は自然に改善傾向で、また抗原回避もできているため、無治療で経過観察の方針とした。幸いにして、自然経過で陰影は消失した。

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 『総合診療』で特集企画を、というお話をいただきとても戸惑いました。しかし、ふと、本誌編集委員の山中克郎先生(福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科)にかけていただいたコトバが蘇ってきました。「あなたの経験を、これからは継いでいってくださいね」というやさしい声が。すると、私が医師人生を送るなかで憧れた親炙する方々、私淑する方々から教えていただいた知恵を継ごう、と光明が差しました。学年が上がるほど“総合診療力”を磨くチャンスは減ってしまいましたが、より“専門力”を高めるためにも、それが大切だとも実感します。そこで、「リウマチ・膠原病ミミック」というお題で、私自身がもう一度、ベッドサイドや病院の廊下、あるいは講演会などで拝聴したいテーマを、読者のみなさまとシェアする特集を企画させていただきました。

 総合診療力は、きっと診断力を高めてくれます。理想的な“除外”は、専門領域でない疾患を見つけて、さらに治療し治すことによる、「やっぱり専門じゃなかった」という証明でしょう。究極の除外診断は、これは違うと除外を重ねることで非典型的なプレゼンテーションの専門疾患に気づくことでしょう。そこで、“the great mimicker”、そして“the great imitator”と呼ばれる「結核」(p.780)と「梅毒」(p.788)をピックアップしました。梅毒を梅毒と、結核を結核と、診断・治療することへ背中を押してくれる内容です。また、鑑別の思考プロセスについては、膠原病のなかでも除外診断こそが重要な疾患「血管炎」(p.808)と「成人Still病」(p.813)のミミック集をお願いしました。さまざまな全身症状を呈することからウイルス性疾患は臨床家を惑わせますので、「パルボウイルス」(p.793)に気づくヒントもお願いしています。

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 2018・2019年度に新専門医制度における「総合診療」領域を選択した専攻医は2%にとどまり、日本プライマリ・ケア連合学会の家庭医療専門医養成実績すら下回った。その原因として、総合診療専門医制度の不安定さ、専門医取得後のキャリアパスの不明瞭さが大きく、今後の展開も不透明な状況である。そこで日本プライマリ・ケア連合学会は、関連学会や団体と協力しながら、若手医師のために専門医取得後の多様で将来性のあるキャリアを支援する、新たな枠組みを提唱したい。

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 3月2日に開催された『総合診療』プレゼンツ「平静の心」塾「こんなときオスラー」にて、『総合診療』誌初の試みとなるワークショップが開催された。参加者は、新刊『こんなときオスラー—『平静の心』を求めて』1)をテキストとし、その目次から7テーマが、各7グループ(A〜G)に割り当てられた(表1)。前回(本誌29巻6号pp709-718)のA、B、Cチームに続いて、今回はD、Eチームの「発表&全体ディスカッション」の模様をお届けする。(編集部)

What's your diagnosis?[199]

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病歴

患者:39歳、男性

主訴:腹腔内腫瘤

現病歴:生来健康。1年ほど前から食欲減少。6割ほどで満腹と感じるようになり、食事量は8割ほどに減少。8kg/年の体重減少あり。疲れやすさを自覚し、4カ月前からトレーニングジムで走らなくなった。毎年受けている健康診断を3カ月前に受けたら、初めて貧血を指摘された。近医受診し、腹部エコーで「膵臓に囊胞」と指摘され、当院外科紹介受診。画像検査で脾臓などに腫瘤が指摘され、生検などが施行されたが、原因不明なため当科紹介受診。

社会生活歴:

●タバコ:飲み会の時に吸う程度

●アルコール:機会飲酒

●仕事:デスクワーク(商社)

●旅行:10年ほど前にグアムへ社員旅行

●動物との接触:なし

●性交渉歴:男性間性交渉者(MSM : men who have sex with men)

●既往歴:特記すべき事項なし

●家族歴:母方の祖父に膵臓がん、父方のおじに膵臓がん

●薬剤歴:なし

みるトレ Special・31

答えは無論じゃ! 佐田 竜一
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患者:85歳、女性

主訴:持続する微熱

生活歴:要介護度2。夫と2人暮らし、ADLは屋内自立。飲酒・喫煙なし。シックコンタクトなし、渡航歴・動物曝露なし。

既往歴:関節リウマチおよび間質性肺炎。甲状腺腫術後、胃癌術後。慢性腎不全(CKD stage G3A1)。腰椎圧迫骨折、左大腿骨頭置換術後。

薬剤歴:プレドニゾロン7.5mg/日、フロセミド20mg/日、レボチロキシン75μg/日、アルファカルシドール0.5μg/日、リセドロン酸ナトリウム35mg/月

現病歴:2カ月前から、37℃台前半〜中盤の微熱が出現していた。ほかに症状はなかったが、持続するため3日前に外来受診。診察や血液検査・尿検査で明らかな異常を認めず、血液培養2セットのみ採取して帰宅したが、採取3日目に好気ボトル1セット、嫌気ボトル1セットに、それぞれ別の菌種が検出されたため外来に再診していただいた。

診察所見:体温36.6℃、脈拍数84回/分・整、血圧124/68mmHg、呼吸数18回/分、SpO296%(室内気)、GCS(Glasgow Coma Scale)E4V5M6。口腔内衛生環境は、良好だが総義歯。頭頸部、心音・呼吸音、腹部・四肢に明らかな異常なし。

検査所見:血液;WBC11,760/μL(Neut92.5%)、Hb7.9g/dL(MCV95.1fL)、Plt26.6×104/μL、TP6.0g/dL、Alb2.9g/dL、肝胆道系酵素異常なし、BUN33.9mg/dL、Cre1.2mg/dL、Na135mEq/L、K5.7mEq/L、CL105mEq/L、CRP0.49mg/dL。尿;異常なし。血液培養;図1・2。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・31

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CASE

患者:20代、女性。

主訴:発熱、咽頭痛、嘔吐。

現病歴:

●X年10月26日:発熱、咽頭痛、下痢が出現した。下痢は1回で、その後は持続しなかった。

●10月29日:40℃まで熱が上がり、頭痛、鼻汁、咳が出現し、3回嘔吐した。

●10月30日:症状が改善しないため、当院救急外来を受診した。

review of systems(主なもの):

●ROS(+):発熱、食欲不振、頭痛、鼻汁、咳、咽頭痛、悪心・嘔吐、下痢(1度のみ)。

●ROS(-):皮疹、関節痛、リンパ節腫脹、喀痰、腹痛、血便、頻尿、排尿時痛。

既往歴・薬剤歴・アレルギー歴:なし。

嗜好歴:飲酒は機会飲酒程度、喫煙歴はなし。

患者情報:国籍はネパールで、日本語学校の学生。

シックコンタクトなし、動物接触歴なし。

海外渡航歴:カトマンズで生活していた。

●X年10月22日:ネパールのカトマンズから中国の昆明に移動し、1泊した。調理された鶏肉と野菜を食べ、ペットボトルに入った水を飲んだ。

●10月23日:昆明から沖縄に移動した。

●その他の海外渡航歴はなし。

指導医はスマホ!?|誰でも使えるIT-based Medicine講座・7

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 時は20XX年、IGSコーポレーションでは、研修医ロボットを開発した! その名も、成長するAI搭載型ロボット「森川くん2号」。

 森川くん2号と一緒に、ITを活用して自分をヴァージョンアップしよう!!

三銃士共導法・7

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誰もが苦しんでいる!

それがタイムマネジメント

 本屋に行くことが好きな読者は多いと思う。筆者もその1人だ。本屋では、この数年、目のつくところには、自己啓発や仕事のマネジメントに関するテーマが立ち並んでいる。どれもキャッチーなタイトルがつけられ、その帯からは、世界中でこの種の本は売れ行きが良いことがわかる。輝かしいキャリアをもつ業界の国内外の有名人が、自身の方法をそこで語っているわけだが、一体、どの方法が最良なのだろうか?

 面白いことに、学術誌にも同様のテーマの投稿が見られる。どうやらこの問題で頭を抱えるのは、ビジネスマンだけではないようだ。直近では、『Nature』誌に、次のようなタイムマネジメントの方法が書かれていた。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!|胸腹痛をきたす“壁”を克服しよう・4

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Case 1

患者:41歳、男性。

現病歴:2日前から、体動で増悪する左背部痛が出現(図1)。外傷歴はない。左第5、6肋骨後外側に圧痛と介達痛を認める。

総合診療専門医セルフトレーニング問題・21

主訴がいっぱい 金子 惇
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セッティング

名古屋郊外の無床診療所。家庭医療専門医3人+後期研修医1人で診療をしている。

診療所では尿検査(定性のみ)、X線・心電図検査などはすぐに結果がわかるが、血液検査はすべて外注。CT、MRI、上部消化管内視鏡などの検査および入院は、車で30分の総合病院に依頼している。

55歳からの家庭医療 Season 2|明日から地域で働く技術とエビデンス・23

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 今回は、「卓越したジェネラリスト診療(expert generalist practice)」の対象である複雑困難事例に関して考えてみたいと思います。

 医療者側が困難と感じるケースにはさまざまなタイプがありますが、基本的には「コントロールの難しい複数の慢性疾患」をもち、「個別性の高い心理・社会的問題」を抱えているようなケースと言えるでしょう。たとえば単身生活の高齢者で、社会的に孤立しており、法的・家族的な問題を抱え、糖尿病・慢性腎臓病・心房細動があり、並存するアルコール問題の悪化により生活状況が不安定になっている、といったケースです。

投稿 GM Clinical Pictures

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CASE

患者Ⓐ:31歳、女性。

患者Ⓑ:40歳、女性。

いずれも主訴は「全身の痛み」で、朝には手のこわばりがある。

両手に皮下結節 村中 清春
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CASE

患者:60歳台、女性。

現病歴:関節リウマチのため、メトトレキサートとトシリズマブで治療中。定期外来で、数週間前からの図1・2のような「結節」を両手に認めた。

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CASE

患者:49歳、女性。

現病歴:生来健康であり、当院の健診で初めて胃X線検査を受けた。しかし、胃の形態異常によってバリウムがどうしても胃内に貯留してしまうため、後日上部消化管の精査目的で当科を紹介された。バリウムはすべて排出されており、内視鏡を十二指腸まで挿入することに難渋したものの、明らかな消化管の粘膜傷害は認めなかった。

画像所見:胃X線検査(図1)、上部消化管内視鏡検査(図2)、

胸腹部単純CT(図3)。

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 「ファーストタッチ」というネーミングはとても深い。最初に診る医師の印象や診断は、次の医師(セカンドタッチ医)にとってはとてもパワフルである。かつて筆者が若手小児科上級医であった頃、ローテーション中の初期研修医から「かぜにしては、呼吸が変です」と相談され、見た目の状態は割とよかった心筋炎の乳児症例を思い出す。また、長じて感染症専門医として、あとから診る医師(セカンドタッチ/サードタッチ医)になってからも、初診医(コンサルトしてくださる医師)の診療レベルが極めて重要であることを実感している。

 子どもにとっては、ひょっとしたら親・親戚以外でファーストタッチする大人が医療者かもしれない。初めて子どもを病院に連れていく時、親御さんも医療の世界へファーストタッチすることとなる。その時に信頼できる大人や医療者に会えるかどうかで、その後の他者への信頼感や子育てへの安心感が変わってくる。小児医療へのファーストタッチは未来を変えることができる。

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 私が本書の書評を書くにふさわしい人間かどうかわからないが、開業医の立場から解説する。ウィリアム・オスラーの『平静の心—オスラー博士講演集(Aequanimitas)』(医学書院、2003)は名著であるが、難解である。精読したいとは思うが、数ページで挫折してしまうのは私だけではないかもしれない。そこで、3人の“オスラリアン”(オスラー伝道医師)が、わかりやすく実例を交えて解説し、臨床現場で平易に活用できる1冊としたのが、『こんなときオスラー『平静の心』を求めて』である。

 8章(「臨床上の葛藤—医師と患者のはざまで」「日々の勉学の中で」「教師と生徒」「進むべき道への迷い」「理想の医師像を求めて」「人生と平和と愛と」「付録」「オスラーの生涯と言葉」)で構成され、いつでも、どこからでも、気になったところから読める。臨床に悩んだ時に探しやすい構成になっている。この厚さなら軽いので寝転んでも読めるし、急患が来たら読み止めることもできる。もうあなたは、『平静の心』を仮眠用の枕にしなくてもよいのである。なんて斬新な試みだろう。

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総合診療
29巻7号 (2019年7月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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