特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない!
【各論 膠原病っぽくみえてしまう疾患たち】
❶「薬剤性」の膠原病ミミックを疑おう
原田 拓
1
1昭和大学江東豊洲病院 総合診療科
キーワード:
薬剤性関節痛
,
薬剤性ループス
,
薬剤性ANCA関連血管炎
,
薬剤性口内炎
,
薬剤性口腔乾燥症
Keyword:
薬剤性関節痛
,
薬剤性ループス
,
薬剤性ANCA関連血管炎
,
薬剤性口内炎
,
薬剤性口腔乾燥症
pp.770-778
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202156
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Case
「高齢発症関節リウマチ」ミミック症例
患者:75歳、男性
主訴:両肩の痛み
既往歴:糖尿病、高血圧
内服薬:タムスロシン0.2mg(1回1錠1日1回)、シメチジン200mg(1回1錠1日2回)、シタグリプチン50mg(1回2錠1日1回)
現病歴:受診3カ月前に、両肩の痛みを自覚した。かかりつけ医で加療を受けるも改善なく、総合診療科紹介となった。疼痛は関節稼動で増悪し、朝の1時間以上のこわばりや、両上腕部の痛みと右手関節痛を伴っている。しかし、両手の挙上や寝返りは可能で、発熱・股関節痛・大腿部痛・顎跛行・視力障害・体重減少などの症状はなかった。
身体所見:側頭動脈に異常はなく、両肩関節と右手関節の圧痛と両上腕筋肉把握痛がある。それ以外には、septic spotや皮疹などを含め、他に異常はなかった。
検査所見:肩関節や手関節のX線に異常なし。ANA・RF・抗CCP抗体・ANCAはすべて陰性。CRP 8.4mg/dL。
経過:抗CCP抗体陰性の「高齢発症関節リウマチ」を考慮したが、DPP-4阻害薬による関節炎の除外が必要と判断し、シタグリプチンを中止し経過観察したところ、症状は4週間後に消失、炎症反応もその後消失した。前医に問い合わせたところ、シタグリプチンは約1年前に開始された薬であり、経過も併せ「DPP-4阻害薬」による関節炎と判断した。
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