特集 リウマチ・膠原病ミミック症例帖—“膠原病っぽくみえてしまう疾患たち”にだまされない!
【各論 膠原病っぽくみえてしまう疾患たち】
❹「パルボウイルス」を疑おう
押川 英仁
1
1熊本赤十字病院 リウマチ膠原病内科
キーワード:
二峰性の臨床経過
,
小児との接触歴
,
関節リウマチ
,
脊椎関節炎
,
全身性エリテマトーデス
,
線維筋痛症
,
慢性疲労症候群
Keyword:
二峰性の臨床経過
,
小児との接触歴
,
関節リウマチ
,
脊椎関節炎
,
全身性エリテマトーデス
,
線維筋痛症
,
慢性疲労症候群
pp.793-797
発行日 2019年7月15日
Published Date 2019/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202161
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Case
リウマチ・膠原病ミミック症例
患者:47歳、女性
主訴:皮疹、関節痛
既往歴:片頭痛
現病歴:7日前から頸部や四肢に紅斑が出現し、手足のかゆみとむくみ、関節痛も出現したため、当院内科を受診。発熱や咳嗽、咽頭痛、胸膜痛、Raynaud現象、日光過敏なし。最近の海外渡航歴やワクチン歴なし。学童と接する機会はよくある。
身体所見:頸部と四肢に網目状の紅斑があり、手足の圧痕性浮腫と、両側MCP(中手指節間)関節および両手関節の圧痛・腫脹を認めた。頬部紅斑や硬口蓋アフタ、爪周囲紅斑、頸部リンパ節腫脹、胸部聴診異常などはなし。
検査所見:血球減少はなく、CRP軽度上昇以外は肝・腎機能正常で、尿蛋白陰性。急性の左右対称性多関節炎であり、「全身性エリテマトーデス(SLE)」や「関節リウマチ(RA)」の初発症状も考えられたが、特徴的な皮疹と学童との接触歴から「パルボウイルスB19感染症」が疑われ、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)頓服処方にて1週間後に皮疹は消退し、関節症状も改善、PVB19IgM抗体陽性により診断確定となり、フォロー終了となった。
その後も手のこわばりは持続していたが、6カ月後から全身の疼痛が出現、3カ月で日常生活も困難となり当院受診。炎症反応や甲状腺機能は正常、抗核抗体(ANA)やリウマチ因子(RF)、抗CCP抗体は陰性であり、診察および関節エコー所見などから、最終的に「線維筋痛症」と診断。有酸素運動やストレッチなどのリハビリテーションとプレガバリン併用による治療により、1年かけて社会復帰した。
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