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Case
発熱+皮疹の「成人Still病」ミミック症例
患者:25歳、女性
主訴:発熱、肝機能障害、全身の皮疹
既往歴:うつ病
現病歴:うつ症状増悪のため、1カ月前からミルナシプラン、フルニトラゼパム、ベゲタミン®(クロルプロマジン・プロメタジン・フェノバルビタール配合剤。2016年に販売中止)、スルピリド、ロラゼパムを内服開始。来院前日から、40℃台の発熱と顔面を含む全身に紅斑が出現し、「成人Still病」疑いで当科を紹介受診した。
身体所見:体温39.0℃。眼瞼結膜充血なし、口腔粘膜所見なし。頸部リンパ節腫脹あり。
皮膚所見:顔面全体はわずかに腫脹し、眼瞼周囲を避けるような暗赤色調の紅斑を認め(図1)、体幹・四肢には淡紅色の癒合する紅斑が多発している。
検査所見:血液;WBC11,000/μL(好酸球数4,510/μL)、CRP0.84mg/dL、BUN11.3mg/dL、Cre0.66mg/dL、LDH705IU/L、AST154IU/L、ALT139IU/L、γ-GTP270IU/L、フェリチン637ng/mL、HHV-6IgG160倍、HHV-6IgM10倍。腹部超音波;肝腫大、腹水あり。
治療:当初は成人Still病以外にも、感染に伴う中毒疹、薬疹などが疑われたが、特徴的な顔面の皮膚所見と薬剤歴、好酸球数高値、重篤な肝機能障害より「薬剤性過敏症症候群(DIHS)」を第一に考え、内服を中止し、水溶性プレドニゾロン40mg/日(1mg/kg/日)投与と全身にステロイド軟膏の外用を開始した。その後も発熱と紅斑の拡大を認めたが、入院10日後をピークに解熱し、好酸球数も正常化、肝機能障害も改善したため、プレドニゾロンを漸減し終了とした。
その後、サイトメガロウイルスIgG/IgMは陰性、EBウイルスは既感染パターンであったが、入院4週間後のHHV-6抗体価は2,560倍と入院時の4倍以上高値を示し、ヘルペスウイルスの再活性化と考えた。原因薬剤のパッチテストにてベゲタミン®のみ陽性であり、同薬剤を被疑薬とした「DIHS」と診断した。薬剤誘発性リンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test:DLST)は希望されず施行できなかった。
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