総合診療 29巻5号 (2019年5月)

特集 一般外来で診断できたら「えっへん!」な疾患38

藤沼 康樹
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総合診療医の外来で優先度の高いことの1つとして、処置や入院がすぐ必要な疾患の有無を見極めることがあります。

“見逃してはいけない疾患”を見逃さないことがベースラインになると言っていいでしょう。

しかし、大多数の患者は危険な疾患が「除外されるだけ」で、診断されることはなく「様子をみる」あるいは専門科外来に紹介されることが多い現状もあります。

こうしたアンダー・ダイアグノーシスとなりがちな疾患群に積極的に診断をつけることは、実は患者の側からみると非常に大切なことです。

また、「知っていれば診断できる」ような疾患群を知っておくことが、無駄な検査や紹介が減り、費用対効果に優れた診療につながります。

本特集では、比較的レアで、外来ではあまり診断されることのない疾患・所見群のコレクションをつくってみました。

これらを普段の外来で診断できたなら「えっへん!」とちょっといい気分になれるかもしれませんね。

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本問題集は、今月の特集のご執筆者に、執筆テーマに関連して「総合診療専門医なら知っておいてほしい!」「自分ならこんな試験問題をつくりたい!」という内容を自由に作成していただいたものです。力試し問題に、チャレンジしてみてください。

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 日本の総合診療が「えっへん!」と世界に誇れるものの1つは、「診断力」ではないか——。「診断AI」への期待(脅威?)も高まるなか、2人はそう展望する。

 では、その「診断力」をいっそう磨き上げていくには、どう鍛え、どう教えればいいのだろうか? そのポイントは、意外にも「描写力」と「コモンセンス」だと言う。たしかに、それらはAIには望むべくもないが、なぜそれらが「診断」において重要なのか。有病率の異なる現場で日々診療を行う2人が、総合診療ならではの“無限のプロブレム・スペース”での診断について、自らのルーツにまで立ち返って縦横無尽に語り合った。

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gestalt 機能性の肛門〜直腸の疾患で、肛門直腸の激しい痛み発作が突発的に生じる。持続時間は数秒〜数分程度と短く、発作の頻度は少ないことが多い。そのため、医療機関を受診しないケースも多い(自施設でも1例のみ)1)。好発年齢は30〜60歳だが18〜87歳まで報告があり、男性よりも女性に多い2)

02 梨状筋症候群 寺澤 佳洋
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gestalt 梨状筋(図1)は、股関節外旋筋の1つである。梨状筋症候群は、梨状筋の過緊張などによる筋症状および周囲を走行する坐骨神経の「絞扼性神経障害」として、臀部や下肢にしびれや痛みが生じる一群である。坐骨神経痛様症状の0.3〜6%を占める1)

03 burning mouth syndrome:BMS 原田 拓
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gestalt 「閉経後女性に好発する、見た目は正常な口腔内灼熱感」。舌や口腔内のびまん性の灼熱感で、睡眠に影響はせず、口腔乾燥や味覚変化を伴いやすい。不安やうつ、身体化や心気症などの心理・社会的合併症が多く、閉経後3〜12年の高齢女性に好発する。

04 足根管症候群 平沼 仁実
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gestalt 足根管における脛骨神経の絞扼障害で、足底に痛みやしびれを生じる。外傷・骨変形・占拠性病変など、足根管付近の物理的な異常が原因となることが多いが、原因の特定できない特発性も稀に存在する。原則として保存療法を行う。

05 SUNCT 近藤 敬太
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gestalt short-lasting unilateral neuralgiform headache attacks with conjunctival injection and tearing(結膜充血および流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作)。国際頭痛分類 第3版(ICHD-3)1)において、「三叉神経・自律神経性頭痛(TACs)」に分類される一次性頭痛。

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gestalt 暗い中、側臥位で片眼(例:右眼)を枕にうずめ、左眼だけでスマートフォン(スマホ)の明るい画面を見る状況(図1)を想定する。スマホを消し両眼視に戻ると、うずめた枕の暗さに適応していた右眼に比べ、明るい画面に適応していた左眼は暗順応に時間を要し、一時的に見えづらく感じる現象のことを指す1)

07 うつ熱 朝鳥 大介 , 志水 太郎
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gestalt ❶明らかな熱源を示唆する身体所見に乏しく、❷血液検査で炎症所見がなく、❸解熱薬が効かない。「不明熱」と扱われる場合も、いわゆる3大不明熱(感染症/自己免疫・炎症性疾患/悪性腫瘍)ではない原因検索の過程で鑑別にあがってくる。

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gestalt 頸長筋の停止部にハイドロキシアパタイト結晶の沈着による石灰化を伴うことで生じる疾患で、30〜60代に好発する1)。頻度は10万人に1.3人との報告がある2)が、認知度の低い疾患であり、有病率はより高いと考えられる。若年〜中年者に発症する急性の頸部痛で考慮すべき。

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gestalt 10代の男性に、10日間程度の過剰な眠気を起こす稀な疾患。発作中は、眠気のため食事と排泄以外の生活が困難になる。食欲や性欲の異常な亢進を示すことがある。寛解期は全く正常である。

10 prayer sign 小澤 労
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gestalt Prayer sign(祈りサイン)は、主に「糖尿病」の患者で特徴的にみられる所見。手指を広げた状態で手を合わせた時に完全に合わせられず離開してしまう状態(図1)で、「limited joint mobility(LJM)」を示唆する。

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gestalt 器質的な運動麻痺や神経障害がないが、歩行を含む「立位」での下肢運動が障害され、座位・臥位では症状が改善するようにみえる。ちなみに、定義では「下肢の機能障害ではなく、下肢を適切に用いることの障害」とされている1)

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gestalt 前胸部痛をきたす良性疾患である。胸骨体に「圧痛」をきたす。痛みが左右対称性に放散することもある。自然寛解し、痛みは持続することは少なく、他の関節痛をきたす疾患との鑑別が重要である。

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gestalt 外側大腿皮神経の障害により、その分布領域である大腿前面から外側にかけて異常感覚を生じた状態。多くは原因不明だが、肥満や糖尿病などはリスクとなる。股関節や鼠径部の外傷のほか、衣服による圧迫や長時間の立位・伏臥位、ランニングやサイクリングなどにより発症することもある。

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gestalt 帯状疱疹後に出現する運動ニューロン障害の1つであり、中高年の報告が多い。腹壁ヘルニアを疑わせる腹部膨隆のために受診した患者では本症を鑑別にあげ、胸椎T10-12の領域に合致する帯状疱疹の罹患歴を確認する1)

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gestalt 比較的若年者が、秋に急性の胸痛を訴えて受診する。痛みは、発作性で30分程度持続し、呼吸や体動による増悪が顕著。感冒様症状が先行していることもあるが、下気道症状などは強くない。痛みが非常に強く、睡眠障害など日常生活に支障をきたすほどである。

16 コリン性蕁麻疹 森永 康平
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gestalt 皮疹自体は一般的な蕁麻疹と大差ないが、発汗ないし発汗を促す刺激が加わった時に生じる直径3〜5mm大の「膨疹」で1時間以内に消失する。生活への支障が出てくる場合は生活改善、原因病態に応じた治療戦略が必要になる。

17 爪異常 高瀬 啓至
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gestalt 爪には、しばしば全身疾患が反映される。「head-to-toe」の内科的に完全な全身診察を行うにあたっては、基本的な爪の解剖と異常所見についての一定の知識が不可欠である。

18 限局性筋炎 宇井 睦人
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gestalt 世界的に約200例の報告があり1)、「血中クレアチンキナーゼの上昇」と「筋痛」を認めることは多発性筋炎(polymyositis:PM)と同様であるが、罹患筋の分布が大きく異なる。「頸筋」「咬筋」「腹筋」「舌」などの報告があり、寄生虫・スピロヘータによるものもあるが、特発性で自然軽快する予後良好な症例も多い疾患である。

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gestalt DPP-4阻害薬による薬剤性の多発関節痛/関節炎である。原因薬剤としては「シタグリプチン」が最も多く1)、内服後1カ月以上経過してから発症することが多い2)。DPP-4阻害薬内服患者で原因不明の多発関節痛/関節炎を認める場合には、本症を鑑別にあげる。

20 入浴関連頭痛 原田 拓
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gestalt 中年女性に温浴をトリガーに発症する、両側性で重度の爆発様ないし拍動性の雷鳴頭痛。入浴関連頭痛の約3分の1に「可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome:RCVS)」が潜んでいるので、脳血管画像を含む頭部画像検査による器質的疾患の除外は必須である。

21 slipping rib syndrome 廣瀬 裕太
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gestalt 「左右季肋部痛」のピットフォールとなりうる疾患であり、第8〜10肋骨と肋軟骨の間にズレが生じることにより発症する1)。肝胆道系疾患・胃食道疾患などと鑑別を要し、本疾患を知らないと不要な検査や治療につながりうるため、季肋部痛を訴える場合、鑑別にあげるべきである。

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gestalt 悪性腫瘍の「臍転移」によって生じる結節の呼び名。胃癌や大腸癌の転移が多く、一般的には腫瘍の進行を意味するため発見後の予後は不良とされるが、発見した際は正確な原発巣の評価を要する。

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gestalt 蚊よけスプレーへのアレルギーには、2つのタイプがある。❶スプレーをかけた本人に起こるアレルギー症状、❷スプレーをかけた人の皮膚や衣服に接触した別の人に起こるアレルギー症状である。いずれも大部分が「接触性皮膚炎」の症状だが、「アナフィラキシー」をきたすこともある。“他人に触れた時”に起こるアレルギー症状をみたときには考慮すべき疾患。

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gestalt 「狭心症に似た胸痛」というゲシュタルトだが、症状の原因は頸椎の神経根圧迫と定義される。部位はC5-6やC6-7の頻度が高く、MRIや椎間板造影で診断される。異型狭心症を含む冠動脈疾患や精神的な要因の除外が必要。「偽狭心症」とも呼ばれる。治療法は、頸部の牽引や理学療法、NSAIDsや筋弛緩薬、脊椎手術である。

25 Milian's ear sign 山本 祐
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gestalt 顔面の「丹毒」と「蜂窩織炎」の鑑別に用いる徴候であり、「耳介」に紅斑があれば丹毒と診断できる。これは、耳介は真皮が薄く皮下脂肪組織を欠くという特徴があるため、表皮基底層から真皮表層が病変の丹毒は耳介に波及するが、真皮深層から皮下脂肪組織が病変の蜂窩織炎は耳介に波及できないためである。

26 REM睡眠行動異常症 任 理宏
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gestalt 夢の内容と同じ行動をとってしまう病気で、寝ぼけ・寝言や荒々しい体動が特徴的である。Parkinson病患者の15〜50%に合併し、運動症状発現前から出現することが多い。外来で未診断のParkinson病疑い患者・家族に、このような症状がなかったか質問すると、以前から存在したとの返答が多い。

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gestalt 外傷・心筋梗塞・神経損傷などを契機に発症し、激しい灼熱痛、自律神経症状(発汗、血管運動異常)、運動性変化(脱力、ジストニア)、栄養障害(皮膚、骨の萎縮、脱毛、関節拘縮)と、複雑な病態を伴う難治性の慢性神経障害性疼痛で、その損傷とは不釣り合いな激痛をきたす。

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gestalt 足底腱膜への繰り返しの負荷が微小外傷や変性を起こし、痛みが生じる。朝起きて第1歩目が最も痛く徐々に軽快するが、歩行量が増えるにしたがい再度疼痛が出現する。疼痛のエピソードと身体所見が診断の決め手。治療は、ストレッチなどの理学療法や鎮痛薬、重症時は手術がある。

29 シンナー中毒 栗原 健
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gestalt シンナーの吸入により生じる疾患であり、「中枢神経症状」や「腎症状」を呈する疾患である。疑わなければ診断できないため、多彩な症状を呈することに留意すべき。

30 円回内筋症候群 西信 俊宏
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gestalt 円回内筋・浅指伸筋・Struthers靭帯・上腕二頭筋腱膜などの肘内側の軟部組織による「正中神経絞扼疾患」である。50代に多く、女性は男性の4倍罹患頻度が高い。正中神経絞扼疾患の約9%を占める(図1)1)。しばしば「手根管症候群」との鑑別が必要となる(表1)。

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gestalt 患者は「胸痛」を訴えるが特記すべき所見に乏しく、特に治療を要さず自然に改善する良性疾患である。全年齢で発症しうるが、原則的には6〜12歳で多く、性差はない。原因は胸壁由来と仮説が立てられているが、はっきりとした原因はわかっていない。詳細な病歴聴取と身体診察が鍵となる。

32 ジストニア 森永 康平
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gestalt 身体のねじれや硬直などで表現される、身体の局所ないし全身に持続性の筋収縮をきたす不随意運動障害。異常な筋収縮ではあるがパターンを有する点が舞踏運動やアテトーゼとは異なり、プライマリ・ケア領域では急性ジストニアの初期対応、薬剤性をはじめとした二次性のジストニアの検索が重要になる。

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gestalt 壮年期の男性が、比較的急性発症の片側下肢痛を訴え(腰痛はないか軽微)、「靴下がはけず(前屈位制限)、咳をするだけで響いて痛い(Dejerine sign)」と訴えたら、腰椎椎間板ヘルニアである可能性が高い。一方、胸椎椎間板ヘルニアは、疾患頻度こそかなり少ないが、後述のとおり多彩な症状を呈しうる。

34 中足骨骨折 近藤 敬太
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gestalt 足部の骨折で足趾の骨折を除くと、最も一般的な骨折。「直達外力(重量物が足部に落ちた場合など)」「介達外力(前足部が機械に挟まれた場合など)」「疲労骨折(スポーツなど)」によるものがある1)

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gestalt 頭痛を伴うめまいを繰り返す。片頭痛同様、病歴で判断する。鑑別疾患は「脳幹性前兆を伴う片頭痛(脳底型片頭痛)」「Ménière病」。治療は、片頭痛と同様に行う。

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gestalt 糖尿病性神経障害の稀な表現系の一種で、急性ないしは亜急性に「臀部」や「大腿」の疼痛、筋萎縮や体重減少などをきたす疾患である。血糖管理の安定性と無関係に生じうること、時に「片側性」に生じ、体幹や上肢にも症状が出現することから、「多発単神経炎」や「神経根症/神経叢症」を起こす他疾患の除外が重要となる。

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gestalt 数秒から、場合によって数十分継続する、通常、両眼が上方に偏位し白目を向いた状態(図1)になる不随意運動発作。原因となる病態は、脳炎、てんかん、ヒステリー、薬物(ベンゾジアゼピン、抗てんかん薬、制吐薬、三環系抗うつ薬)など多岐にわたる。

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gestalt 母指を外転すると、手関節橈側に2本の腱(短母指伸筋腱・長母指外転筋腱)が浮かび上がる。これらは、橈骨茎状突起付近で腱鞘に包まれる(図1)。本症は、手指の使いすぎやスポーツが原因で腱鞘に炎症が生じ、疼痛をきたす疾患である。30〜40代の女性に好発する1)

Editorial

AIBOと「にゅう」 藤沼 康樹
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 認知症と糖尿病で通院している1人暮らしの女性患者の診察をひととおり終えたところで、「1人暮らし、大変ですかね? 人としゃべることが減っちゃってますか?」と声をかけると——。

「さびしいんだけどね…。でも、アイボウがいるから大丈夫なのよ」

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 われわれが診断を進める時に羅針盤となるのが「臨床推論」である。昨今、認知心理学の発展に伴い、臨床推論の過程、すなわち「医師がどのようにして診断にたどり着くのか」について話題になることが多くなってきた。今回はそのさわりだけになるが、少し解説してみよう。

What's your diagnosis?[197]

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患者:25歳、女性

主訴:左側腹部痛

現病歴:来院当日午前までは著変なし。夕方に誘因なく嘔吐があり、夕食の摂食ができなかった。同日夜間に左背部から腰部までの広範な部位に疼痛が急速に出現し、その後、徐々に心窩部から左側腹部にも疼痛が出現するようになった(図1)。疼痛はやや波があるが消失することはなく、出現から1時間程度の経過でnumerical rating scale(NRS)10/10となったため、当院救急外来を受診した。腹部単純CT検査で若干の脾腫を認める以外に有意な異常所見を指摘できず、またアセトアミノフェン投与で疼痛改善したため、経過観察の方針となった。しかし、帰宅直後に同様の疼痛・嘔吐が再燃、再度救急外来を受診した。

ROS(+):左側腹部痛、背部痛、嘔気・嘔吐

ROS(-):悪寒戦慄、発熱、寝汗、体重減少、頭痛、口内炎、脱毛、下痢、血便、膀胱刺激症状、関節痛、筋肉痛、皮疹、日光過敏

既往歴:なし

薬剤薬:なし

嗜好歴:機会飲酒、喫煙歴なし

職業:助産師

摂食歴:来院3日前に寿司。最終摂食は来院当日14時のゼリー

性交歴:特定のパートナーのみ

最終月経:来院3〜7日前(通常通りの周期・性状)

家族歴:特記事項なし

みるトレ Special・29

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患者:60歳台、女性。糖尿病。

現病歴:入院10日前から左耳の違和感が出現し、自分で耳かきや綿棒で中をいじっていたが増悪する疼痛が出現したため、入院7日前に近医耳鼻咽喉科を受診した。ゲンタマイシン含有軟膏やオフロキサシン点耳液を処方されたが、その後も症状は改善せず耳周囲の発赤が拡大したため、入院3日前から外来でセフトリアキソンを連日投与された。しかし、その後も改善なく、入院当日の朝、38℃台の発熱を認め、呼びかけへの反応も鈍くなったため、家族が救急車を呼び来院した。

画像所見:頭部CT(図1)では、左外耳道と乳突蜂巣に軟部陰影の充満と、後壁〜上壁優位に溶骨性変化を認めた。また頭部MRI(図2)では、左側頭葉への炎症の波及が示唆された。

Dr.上田剛士のエビデンス実践レクチャー!|胸腹痛をきたす“壁”を克服しよう・2

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Case

患者:79歳、女性。

現病歴:3日前から前胸部痛が出現した。痛みは3日間続いているが、間欠的に強くなり、極期には前胸部を押さえ、しゃがみこみ、悶絶する。外傷歴はない。

 救急外来にて心電図、胸部単純X線写真(図1)は正常であると言われているが、鎮痛薬を飲んでも症状改善に乏しいため、一般外来を受診した。胸骨に顕著な圧痛を認める。

オール沖縄!カンファレンス|レジデントの対応と指導医の考えVer.2.0・29

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CASE

患者:93歳、男性。

主訴:頸部痛、発熱。

現病歴:当院受診2日前、デイケア中の発熱を主訴に近医を受診し、急性前立腺炎の診断で抗菌薬(レボフロキサシン水和物500mg/日)を処方される。発熱持続と頸部痛を主訴に、当院受診となる。

既往歴:2型糖尿病、アルツハイマー型認知症、リウマチ性多発筋痛症(polymyalgia rheumatica : 以下PMR)。

アレルギー歴:特記事項なし。

薬剤歴:メトホルミン500mg、シタグリプチン50mg、ガランタミン臭化水素酸塩8mg。

家族歴・生活歴:特記事項なし。喫煙なし、飲酒なし。

来院時身体所見:

●外観:身長156cm、体重62kg、BMI25.7kg/m2

●バイタルサイン:血圧135/65mmHg、脈拍数84回/分、呼吸数16回/分、体温38.2℃、SpO2 93%(室内気)。

●全身状態:意識清明、倦怠感あり、活気低下。

●頭頸部:咽頭発赤なし、顔面叩打痛なし、項部硬直なし、右後頸部に圧痛あり、側頭動脈圧痛なし。

●胸部:心雑音なし、正常肺胞呼吸音。

●腹部:平坦、腸蠕動音亢進なし、圧痛なし。直腸診にて前立腺に軽度圧痛あり。

●四肢:下腿浮腫なし、筋把握痛なし。

●神経:明らかな麻痺なし、詳細な神経学的診察は困難。長谷川式スケール17点(中等度認知機能低下)。

来院時血液・尿検査所見:表1。

胸腹部単純X線写真:特記所見なし。

頸部CT:歯突起周囲の石灰化あり(図1)。

頸部MRI:椎体炎を疑う所見なし。

総合診療専門医セルフトレーニング問題・20

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セッティング

総合診療科の一般(予約外)外来。

三銃士共導法・5

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Input

 医学は日進月歩。私たち医師には、日々知識をアップデートすることが求められます。臨床現場では、毎日最低でも5つの疑問が生まれ、メモ帳やスマホのEvernoteには、ドンドンと知識が足されていきます。

 スマホやパソコンの中に、さまざまなアプリをインストールし、情報を管理している人もいるでしょう。また、最近では、UpToDate®やDynaMed®などもスマホ1つで簡単にアクセス可能、さらにはFacebookやTwitterなどのSNS(social network service)では、連日のように、最新の論文や興味深い情報が流れてきます。「有用な情報か否か」、「目の前の患者さんに適応できるのか、否か」は、その都度考える必要がありますが、年々、情報は簡便にキャッチできる時代となったのです。

指導医はスマホ!?|誰でも使えるIT-based Medicine講座・5

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 時は20XX年、IGSコーポレーションでは、研修医ロボットを開発した! その名も、成長するAI搭載型ロボット「森川くん2号」。

 森川くん2号と一緒に、ITを活用して自分をヴァージョンアップしよう!!

55歳からの家庭医療 Season 2|明日から地域で働く技術とエビデンス・21

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ある相談

 ある若い家庭医から、電話で相談がありました。

 「72歳の女性の患者さんです。この5年くらい、外来に定期的に通院していました。高血圧と2型糖尿病があって、少量の降圧薬と経口血糖降下薬でコントロールは問題なかったんです。定期的に血糖や血圧をチェックしたり、自治体の健診も受けていて、特に症状もありませんでした。今年の健診で少しHbが下がっていたんですが、大丈夫だろうと思っていました。でも先々週、排便後に出血したとのことで、病院で注腸検査をやってもらったところ、かなり進行した『S状結腸がん』とのことでした。今日、検査結果を聞きにいらっしゃいます。いま振り返ると、便通異常を時々おっしゃっていたので、便潜血検査をやっておけばよかったと後悔しています…」

投稿 GM Clinical Pictures

眼瞼結膜に出血斑 大江 将史
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CASE

患者:90歳、女性。

現病歴:重症大動脈弁狭窄症による慢性心不全・腎不全増悪を繰り返しており、そのたびに持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration:CHDF)を施行されていた。来院4日前に心不全増悪で入院され、CHDFを3日間施行し退院した。退院当日から「発熱」と「悪寒戦慄」が出現したため救急搬送された。

身体所見:意識E2V1M5(いつもより少し悪い)、血圧138/72mmHg、心拍数78回/分・整、呼吸数24回/分、SpO2 90%(室内気)、体温39.6℃。収縮期雑音(Levine第Ⅱ度/Ⅵ度)を聴取(以前との変化は不明)。四肢末梢に塞栓を示唆する所見や神経学的異常はなかった。下眼瞼結膜下出血や口腔内出血斑はなかったが、瞼を持ち上げて下から覗き込むと左上眼瞼結膜に図1の所見を認めた。

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CASE

患者:85歳、女性。

現病歴:C型肝硬変で他院に通院していたが、食事摂取量が低下したため、当科を緊急受診した。

特に問題となる身体所見やバイタルサインの異常はなく、血液検査で高アンモニア血症を認めたことから肝性脳症が原因と考えられたが、画像検査にて肝門部に40mmほどの腫瘤が見つかった。

画像所見:腹部エコー所見(図1)。

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 世界保健機関(WHO)は、National Cancer Control Programmes1)にて、緩和ケアを含む総合的癌対策のあり方について提言を行った。一方、私自身が所属する国際ホスピス緩和ケア学会(IAHPC)でもその緩和ケアマニュアルを改訂しながら、既存の緩和ケアの制約を乗り越える提言が繰り返しなされてきた2)。本来の領域が血液腫瘍内科で精神科の研修を受けた経験もあることから、私自身オンコロジストおよびサイコオンコロジストの双方から包括的緩和ケアの実践・理論化を進め3, 4)、WHOおよびIAHPCの提言に沿って、癌早期発見を含む癌サポーティブケア、実存的苦痛(existential distress)に対する心のケア、非癌患者への緩和ケアなど、従来の緩和ケアの概念を超える全人的なケア(holistic care)を提唱してきた5〜7)。日本の緩和ケア8)も改善に取り組んでいるが、困難が大きいだけに歩みが遅い。その問題解決を加速させるため、2018年にWHOとIAHPCによる共同プロジェクトとして、緩和ケアの定義見直しが開始された9)。私はIAHPCの2014年度Recognizing Loyalty Awardを受賞したことから、このWHO-IAHPC共同プロジェクトの情報を共有することとなった。

 本稿では、その新たな緩和ケアの見直しの国際的潮流の中から3点、つまり、地域コミュニティにおける総合診療医への期待、既存の癌治療による緩和治療、および癌治療と同時の緩和ケアについて、簡単に述べる。

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 ウィリアム・オスラー(William Osler)は1849年に英国領カナダに生まれ、米国に活躍の舞台を移し、1919年に英国で没した医学界の巨人である。青年時代より、病理学・生理学・内科学の分野で活躍し、「血小板の機能」「マラリアの病型分類」「Osler結節」や「Osler病」をはじめとする膨大な数の業績を残している。彼のもう1つの偉大な業績は、現代に通じる医学教育の基礎をつくったことである。彼は、講義棟から学生を連れ出し、実臨床の場で“生身の患者”を通じて学生を教え続けた。

 オスラーは、研究にひたすら没頭する冷徹な学者ではなく、多くの英雄が備える徳性を豊かにもっていた。すなわち、快活さ・実行力・ユーモア・リーダーシップ・溢れる愛情といった徳である。当時も、そして現在においても、その人格は多くの人を魅了してやまず、今もって全世界に「オスラリアン」と呼ばれる信奉者を生み出し続けている。

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目次

『総合診療』編集方針
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 1991年に創刊した弊誌は、2015年に『JIM』より『総合診療』に誌名を変更いたしました。その後も高齢化はさらに進み、社会構造や価値観、さらなる科学技術の進歩など、日本の医療を取り巻く状況は刻々と変化し続けています。地域医療の真価が問われ、ジェネラルに診ることがいっそう求められる時代となり、ますます「総合診療」への期待が高まってきました。これまで以上に多岐にわたる知識・技術、そして思想・価値観の共有が必要とされています。そこで弊誌は、さらなる誌面の充実を図るべく、2017年にリニューアルをいたしました。本誌は、今後も下記の「編集方針」のもと、既存の価値にとらわれることなく、また診療現場からの要請に応え、読者ならびに執筆者のみなさまとともに、日本の総合診療の新たな未来を切り拓いていく所存です。

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総合診療
29巻5号 (2019年5月)
電子版ISSN:2188-806X 印刷版ISSN:2188-8051 医学書院

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