#総合診療
#書評:こんなときオスラー—『平静の心』を求めて
鍋島 茂樹
1,2
1福岡大学医学部
2福岡大学病院 総合診療部
pp.589
発行日 2019年5月15日
Published Date 2019/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1429202086
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ウィリアム・オスラー(William Osler)は1849年に英国領カナダに生まれ、米国に活躍の舞台を移し、1919年に英国で没した医学界の巨人である。青年時代より、病理学・生理学・内科学の分野で活躍し、「血小板の機能」「マラリアの病型分類」「Osler結節」や「Osler病」をはじめとする膨大な数の業績を残している。彼のもう1つの偉大な業績は、現代に通じる医学教育の基礎をつくったことである。彼は、講義棟から学生を連れ出し、実臨床の場で“生身の患者”を通じて学生を教え続けた。
オスラーは、研究にひたすら没頭する冷徹な学者ではなく、多くの英雄が備える徳性を豊かにもっていた。すなわち、快活さ・実行力・ユーモア・リーダーシップ・溢れる愛情といった徳である。当時も、そして現在においても、その人格は多くの人を魅了してやまず、今もって全世界に「オスラリアン」と呼ばれる信奉者を生み出し続けている。
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