INTENSIVIST 11巻1号 (2019年1月)

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感染症はいつでも,どこにでも,誰にでも発症し得るありふれた疾患です。すなわち,どの専門分野で働く医療者にとっても避けることのできない疾患と言い換えることもできるでしょう。集中治療領域に目を向けると,2009年のICUを対象とした国際的横断疫学調査では,ICU患者の半数以上に何らかの感染症がみられ,70%以上の患者に対して抗菌薬が投与されていました。感染症を合併した場合の予後は不良であり,ICUにおける感染症診療の重要性が証明される結果となりました。

 2018年11月現在,我が国における感染症専門医の数はわずか1500名弱にすぎません。このうち,集中治療領域に従事している感染症専門医の数は,さらにほんの一握りにすぎないと予測され,“感染症を専門としない集中治療医”の感染症診療のスキルをいかに向上させていくかについては大きな課題であるといえます。

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黄色ブドウ球菌菌血症Staphylococcus aureus bacteremia(SAB)は現在も治療に難渋する感染症である。海外で使用される抗菌薬が日本では承認されていないという治療上の制限が存在する。一方,重症患者でのエビデンスが乏しい抗メチシリン耐性黄色ブドウ球菌methicillin-resistant S. aureus(MRSA)薬を使用する現状も存在する。日本におけるSABの第一選択薬はメチシリン感受性黄色ブドウ球菌methicillin-sensitive S. aureus(MSSA)ではセファゾリン,MRSAではバンコマイシンである。MRSA菌血症に対するβ-ラクタム系抗菌薬の併用やその他の抗菌薬併用療法は研究途上である。SABの治療期間は複雑性の有無によって決定され,非複雑性SABではガイドラインよりも短期間の治療が検討されている。SABでは感染症科にコンサルトすることが望ましい。

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MRSAのVCM低感受性が近年問題となっているが,その理由としてVRSAやVISAの存在,そしてMIC creepが挙げられる。VRSAはVCMのMIC≧16μg/mLの株であるが,VREの有するvan遺伝子がMRSAに接合伝達された結果,VCMに高度耐性化を獲得した株である。VISAはMIC 4または8μg/mLの株であるが,細胞壁の肥厚化による耐性機構を有することでVCMの抗菌活性を減じる。また,MIC 1〜2μg/mLといったVSSAでも,hVISA,BIVR,slow-VISAのような細胞集団であるとVCMの治療不成功の原因となり得る。MIC creepはVCMの感受性が経年的推移で低下している現象を指すが,これは長期の凍結保存検体の再測定,測定方法や地域性などの不一致により表現された現象かもしれない。抗菌薬のPK/PD理論に基づくと,VCMはAUC/MIC の値に相関する。感受性試験の結果だけでなく,MICの値からVCMを使用するか検討することが必要である。

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ceftarolineは,日本で開発された抗MRSA活性をもつセファロスポリン注射薬で,グラム陰性桿菌に対してもセフトリアキソンと同等の活性をもつ。米国では,成人の急性細菌性皮膚軟部組織感染症および細菌性市中肺炎感染症などに対して承認されている。菌血症・心内膜炎,中枢神経感染症,院内肺炎などに対する治療も報告されているが,総じてケースレポートやケースシリーズといった後方視的研究であり,その有用性に関して他剤と比較することは困難である。日本国内で承認・販売される予定は明らかではない。

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チゲサイクリンは広域な抗菌薬として多剤耐性菌治療,集中治療領域における重症感染症治療の選択肢となり得る薬物である。緑膿菌を除く,カルバペネム耐性を含むグラム陰性桿菌による感染症への治療薬として特に注目度が高い。腎機能に応じた用量調節を必要としない点などで比較的使いやすいが,効果や副作用についてよく勘案する必要がある。適応疾患,使い方に関しても,さらなる研究結果に注目していく必要がある。

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菌血症に対する治療中に,いつどのように血液培養のフォローアップを行うか,に関する定式はほとんどない。グラム陽性菌の場合には,積極的に感染性心内膜炎を疑い,経食道心エコー検査などを施行しつつ,48時間ごとに血液培養2セット再検を繰り返すことがすすめられる。グラム陰性菌の場合には,感染巣のコントロールができていなければ,同じく48時間ごとに血液培養2セット再検を繰り返すことを考慮する。ただし感染巣のコントロールができていれば,必ずしも再検は必要ではないかもしれない。

 菌血症の治療期間は,感染性心内膜炎に準じて,血液培養陰性化を確認した日を治療初日と考えることが妥当である。

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extended spectrum beta-lactamase(ESBL)産生菌とAmpC産生菌は,ともにグラム陰性桿菌であり,日本の臨床現場では比較的遭遇しやすい薬剤耐性菌である。両者ともにカルバペネム系抗菌薬が信頼できる治療薬として知られているが,国内外でのカルバペネム耐性菌の増加もあり,カルバペネムを使用しないcarbapenem sparing抗菌薬療法が模索されている。

 本稿では,ESBLやAmpC産生菌の微生物学的,臨床感染症学的基本事項をレビューするとともに,カルバペネムを使用しない治療の選択条件についても論じることにする。

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はじめに

β-ラクタマーゼとは,β-ラクタム環をもつ抗菌薬を加水分解する酵素の総称である。現在,β-ラクタマーゼの数は1500種類以上にものぼり1),その耐性機序としては,大きく染色体とプラスミドとに分類される。染色体においては,細菌に元々存在する遺伝子がβ-ラクタム系抗菌薬に曝露されることによってβ-ラクタマーゼを大量に産生し,その結果,臨床的に抗菌薬に耐性を示す。すなわち,肺炎桿菌がペニシリナーゼの,緑膿菌がセファロスポリナーゼ(AmpC)の産生に関与する遺伝子をそれぞれもち,生来ペニシリンに耐性を示すのがよい例である2)

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中心静脈カテーテル(CVC)を使用する頻度の高いICUで発生する感染症において,中心静脈カテーテル関連血流感染症(CLABSI)は,患者予後にかかわる重要な問題である。治療の原則は,全身的抗菌薬投与とCVC抜去である。しかし,近年では外来通院化学療法の発展により長期留置型CVCを使用している患者も多いことから,米国感染症学会(IDSA)のガイドラインでは,カテーテルの種類や菌種によっては抗菌薬ロック療法など特殊な方法も推奨されている。CLABSIの判定基準に固執しすぎることなく,適切なアセスメントによってCLABSIが疑われる場合には,患者背景をよく理解したうえでの対応が要求される。

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感染性心内膜炎は臨床的に非常に多様であり,特異的な所見に乏しく,しばしば見逃されてしまう。そして見逃されてしまうと,やっかいな合併症に悩まされ,最悪生命にかかわる場合もある。そのため,診断をするためのポイントや検査を知っておく必要がある。また治療においては,心臓手術が必要な症例や重症合併症により全身管理が必要となる場合もあり,ICUでの管理を要する状況もしばしば経験する。微生物ごとの抗菌薬治療に加えて,外科手術の適応やタイミングを含めた治療戦略も把握しておく必要がある。

 2015年に米国心臓協会(AHA)がガイドライン1)を改訂した。本稿ではこのガイドラインに基づき,臨床で議論になるであろうClinical Questions(CQ)を挙げながら,感染性心内膜炎の診断と治療について述べる。

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Clostridium difficile infection(CDI)は,院内発症の下痢の原因で最も頻度が高く,適切な診断・治療を習得する必要性が高い疾患である。CDIの事前確率を見積もることは難しく,新規・増悪する下痢を参考にしながら,非特異的な症候であっても,閾値を低めに鑑別に挙げ,検査提出を検討する必要がある。日本では,CDIの検査ツールとして,GDH抗原とトキシンA/Bを用いた2ステップ法を基本として用いており,検査の特性を理解することが重要である。2017年にはIDSA/SHEAからガイドライン1)が発表され,内科治療としてはフィダキソマイシンやバンコマイシンがメトロニダゾールよりも推奨されるようになり,再々発例に対する糞便移植や,重症例に対するloop ileostomyといった新項目も紹介されている。以下本稿では,CDI診療ガイドラインにのっとり,CDIに対する診断・治療を概説する。

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院内肺炎(HAP)および人工呼吸器関連肺炎(VAP)は,負の臨床アウトカムとの関連や医療費に対するインパクトの面から非常に重要な院内感染症である。一方,診断方法の抱える問題点から不適切な抗菌薬使用の温床になり得るため,HAP/VAP診療にあたる医療者は診断および治療に関する知識を整理しておく必要がある。本稿では,HAP/VAP診療に関する臨床疑問をいくつかピックアップし,解説する。まず,HAP/VAPの定義と本邦における医療・介護関連肺炎(NHCAP)の特殊性について述べる。次に,HAP/VAPの臨床診断,バイオマーカーを用いた補助診断,微生物学的診断方法について解説する。また,緑膿菌を含む耐性グラム陰性桿菌に対する治療戦略,de-escalationの是非,治療期間の決定におけるプロカルシトニン値の有用性についても解説する。

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壊死性膵炎は急性膵炎の重篤な局所合併症であるが,保存的に治療でき,死亡率も10%未満である。ただし感染を併発すると,以前は開腹ネクロセクトミーが行われたが,その死亡率は30%前後と予後不良であった。しかし,近年,感染性膵壊死に対する治療戦略に大きな変革があった。保存的加療を選択することもまれに可能とされ,介入する場合には,step-up approach法がとられるようになった。すなわち,まず侵襲の少ない,内視鏡的あるいは経皮的ドレナージを行い,改善がみられない場合のみ感染性壊死組織のさらなる確実な除去を行う。その際も,より侵襲の少ない内視鏡下または腹腔鏡下,後腹膜経路などのネクロセクトミーが選択されるようになった。これらの適応,方法,介入時期,長期予後等に関しては,今後,より質の高い研究での評価が必要である。

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内因性眼内炎は,眼球外感染症からの転移性眼球感染症である。診断は,自覚症状から疑い,積極的に眼底検査を行う。原因微生物を同定するためには血液培養に加え,硝子体切除および培養を積極的に考慮する。細菌,抗酸菌,真菌などが原因となる。培養検査以外には核酸増幅検査や質量分析なども行われることがある。原因微生物のなかでも頻度の高いものはCandida属でCandida血症をきたした場合は積極的に眼底検査を行い,内因性眼内炎の有無を確認するべきである。治療は全身性の抗菌薬投与に加え,眼球内への抗菌薬や抗真菌薬投与を行う。硝子体切除など外科的処置を行う必要もあり,特にアスペルギルス性眼内炎の場合には必要となる。

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インフルエンザはほとんどの場合,自然治癒する病気であり,状況によっては風邪の一種であると説明したほうが,患者理解を得やすい場合もある。しかしながら,世界的な流行を起こすこと,高い頻度で重症化すること,多岐にわたる合併症が存在することなどを考慮すると,やはり単純な風邪症候群とは一線を画する感染症といえる。抗インフルエンザ薬にはM2タンパク阻害薬,ノイラミニダーゼ阻害薬,新規に承認されたmRNA合成阻害薬などがあるが,いずれも確立された使用法はない1)。本稿では,抗インフルエンザ薬の適応,具体的な使用法,薬剤耐性,また二次性細菌感染症を予防するための抗菌薬の意義について述べる。

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免疫抑制剤を使用するうえで,ウイルス再活性化は重大な合併症の1つである。同じ薬物でも,背景疾患によりウイルス再活性化リスクは大きく変わる。特に造血幹細胞移植,固形臓器移植では,さまざまなウイルスの再活性化リスクがある。最も重要なウイルスは,サイトメガロウイルス,水痘帯状疱疹ウイルス,単純ヘルペスウイルスである。Epstein-Barrウイルスなど,他のヘルペスウイルス属,アデノウイルス,ポリオーマウイルスも,強い免疫抑制状態の患者では,重症感染症を引き起こし得る。また,副腎皮質ステロイドも,自己免疫疾患,移植などさまざまな状況で使用されるが,ウイルス再活性化のリスクとなる。再活性化のモニタリングや治療戦略は,個々の患者の状況に応じて検討する必要がある。

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Q IRISとはどのような疾患あるいは病態か?

IRISとは

免疫再構築症候群immune reconstitution inflammatory syndrome(IRIS)とは,一言で言うと,免疫抑制状態のときに存在していた抗原に対する炎症反応が,免疫抑制からの回復に伴い増悪した状態である。具体的には,HIV感染により免疫抑制状態にある患者が日和見感染に感染している状態(抗原に対する炎症反応が弱く生じている)で,抗HIV療法(ART*1)によるHIV治療を開始すると,HIVにより抑制されていた免疫が回復〔CD4陽性(CD4)細胞の増加〕することによって,日和見感染に伴う臨床症状が悪化(日和見感染に対する炎症反応が増悪)することが報告されている。IRISの概念を図1に示す1)

 また,IRISに関する報告の歴史はまだ浅く,その呼び名もさまざまであった。混乱が生じないようにIRISの同義語を表1にまとめる。

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感染症領域における遺伝子検査の導入は,時間を要する培養検査や薬剤感受性検査と比較すると,格段な早さで検査結果をもたらすことができ,その有用性は高いと考えられる。検査材料からの病原体の直接検出や薬剤耐性遺伝子の同定,さらには16SrRNA配列解析による菌種同定など,さまざまな方法や機器が開発されており,遺伝子検査を用いた感染症診断は多岐にわたっている。特に,重症感染症では,早期の適正な抗菌薬投与が治療効果に影響を及ぼすとされている。そのため遺伝子検査がもたらす迅速な薬剤選択に関する情報は重要であり,今後さらに必要性が増すと考える。

 自動多項目同時遺伝子関連検査システムは,多くの病原体を一度に検出可能なシステムであり,感染症診断はもちろんのこと,感染症マネジメントにおけるコストダウンにも貢献できる。そこで,本コラムでは,自動多項目同時遺伝子関連検査システムの概要および利点・欠点,そして今後の展開について述べる。

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アスペルギルスは,自然界の多様な環境で生存可能な真菌である。病院改築を契機としたアウトブレイクを起こすこともある。臨床的にアスペルギルスは,①侵襲性アスペルギルス症,②慢性肺アスペルギルス症,③アスペルギローマ(定着状態),④アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の4つに分類されるが,それぞれの病態が重なることもある。以下本稿では,侵襲性アスペルギルス症(IA)の特徴,診断検査,治療について,EORTC/MSG診断基準やIDSAのガイドラインなどをもとに解説する。

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β-Dグルカンは,侵襲性真菌感染症(IFI)の代用マーカーとして期待されているが,診断に使えるほど検査特性は優れてはいない。IFIの先制治療開始基準にする根拠も不十分である。一方,IFIにおける抗真菌薬中止判断への利用は抗真菌薬使用を減らすと期待され,研究が行われている。プレセプシンは,敗血症のバイオマーカーとしての利用が期待されているが,やはり診断に用いるのは検査特性から困難である。プレセプシン値と重症度が相関する可能性が指摘されており,重症群(軽症群)を組み入れる客観的基準として介入研究に応用できるかもしれない。

 本コラムでは,集中治療領域の感染症の代用マーカーとして臨床応用が目指されているβ-Dグルカンとプレセプシンに関して,臨床疑問に回答した。

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侵襲性カンジダ症は近代医学の生んだ疾患と表現される。ヒトの皮膚や消化管,女性器などに常在し,ヒトと共生してきたカンジダ属が,血流感染や深部臓器への感染を起こすようになった。すなわち広域抗菌薬によって細菌叢を乱し,血管内デバイスの留置により常在部位から深部へのアクセスを作る。さらに経静脈的に栄養を投与する。強力な化学療法によって好中球減少をきたす。危険因子と呼ばれるものを眺めてみれば,当然のことながら,いずれも侵襲性カンジダ症の病態生理と表裏一体である。ICUでは避けて通れないカンジダ症の診断と治療について述べる。

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■はじめに

ニューモシスチス肺炎Pneumocystis pneumonia(PCP)は,真菌の一種であるPneumocystis jiroveciiによって引き起こされる呼吸器感染症である。Pneumocystisは1909年にCarlos Chagas1)によって,モルモットに感染したトリパノソーマの生活環の一形態として発表された。その後,Antonio Carini,Delanoë夫妻が,Chagasが発表した菌体がトリパノソーマとは別の新種の原虫である2)と報告し,Pneumocystis cariniiと名づけられた。以後,ヒト由来のPneumocystisがラットから同定されたものとは別種であることや,原虫ではなく新種の真菌であることが判明し,P. jiroveciiに学名が修正された3〜5)

 PCPはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者における代表的な日和見感染症として知られているが,背景疾患や免疫抑制剤の使用により免疫機能が低下した患者においても,重篤な呼吸不全をきたす。本稿では,HIV感染症に合併したPCP(HIV-PCP)とHIV感染症以外の背景疾患に合併したPCP(non HIV-PCP:NH-PCP)に分け,それぞれの病態における患者背景,臨床所見,診断,治療について概説する。

Part IV.その他のトピック

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ICUにおける感染症治療は,ICUをICUたらしめる重要なファクターの1つで,抗菌薬による治療開始の遅延だけでなく,過少投与による不十分な治療も避けなければならない。健常人や非重症疾患患者と異なり,重症疾患に対する蘇生輸液の投与,多臓器障害,併存疾患により,重症疾患患者では抗菌薬の薬物動態学的パラメータは複雑な変化を認める。すべての抗菌薬が血中濃度を測定できるわけではないため,患者の生理機能や病態の変化を加味した抗菌薬の投与設計を立てなければならない。

 本稿では,重症疾患患者における薬物動態の変動と抗菌薬投与設計の考え方について概説する。

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This ongoing series provides the readership of Intensivist with the opportunity to read concise reviews of current topics in Critical Care Medicine, in English. It is hoped that these reviews will stimulate the pursuit of other literature written in English.

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近赤外線分光法near-infrared spectroscopy(NIRS)を用いた脳・組織局所酸素モニター(以下,NIRSモニター)は,連続的かつ非侵襲的に脳をはじめとした組織酸素需給バランスの変化を判断することができるといわれている。NIRSモニターは,脳や腹部臓器・末梢組織などの血流低下または消失リスクを有する小児から成人までの一般外科麻酔中や頭頸部外科手術,開心術における患者予後を改善する1),周術期の頭部モニタリングでは術後認知機能や神経障害のリスクを低下させる2)などの効果があることで知られており,心臓血管外科手術や救急・集中治療領域において広く用いられている。周術期や急性期に合併し得る脳や組織の低灌流を早期に発見し対処することは,脳・神経障害や臓器・組織障害の軽減につながると考えられる。そのためこれらの発生予防にあたってはNIRSモニターに関する十分な知識と適正な使用が求められる。

 本稿では,脳・組織障害予防の一手段として重要であるNIRSモニターの原理や適用,数値変化の要因・対処,使用上の注意点などについて概説する。なお,組織酸素飽和度の名称はメーカーにより異なるが,本稿ではStO2として表記する。

連載 国際学会へ行こう!

Canadian Critical Care Forum 青山 紘子
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トロントでの集中治療医学の国際学会と聞いて,行ってみたい!

と期待を膨らませる人はどの程度いるだろうか?

今回,集中治療学関連の学会報告として,2018年11月にトロントで行われたCanadian Critical Care Forum(CCCF)を紹介する。

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目次

倫理規定

次号予告

基本情報

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INTENSIVIST
11巻1号 (2019年1月)
電子版ISSN:2186-7852 印刷版ISSN:1883-4833 メディカル・サイエンス・インターナショナル

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