特集 急性呼吸不全
第1章 呼吸器疾患総論
4.ARDS以外の人工呼吸器管理―閉塞性肺障害および拘束性肺障害を中心に
牧野 淳
1
,
讃井 將満
2
Jun MAKINO
1
,
Masamitsu SANUI
2
1Mount Sinai大学病院 集中治療室
2自治医科大学附属さいたま医療センター 集中治療部
pp.733-742
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100583
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人工呼吸の適応範囲は広く,単に呼吸器疾患にとどまらず血行動態が不安定な場合や意識障害,周術期で気道確保が必要な場合などさまざまな状況において行われる。人工呼吸の方法も,経口気管挿管のうえ行う従来の侵襲的人工呼吸から,気管切開チューブを通して行う人工呼吸,気管挿管はせずにマスクを通して陽圧換気する非侵襲的人工呼吸と,バラエティーに富んでいる。本稿では,重症の閉塞性肺障害と拘束性肺障害に対する侵襲的人工呼吸管理に焦点を絞って述べる。
Summary
【閉塞性肺障害患者の侵襲的人工呼吸】
●人工呼吸器のモニターや静的PEEPから内因性PEEPを疑い,1回換気量や換気回数を減らし,呼気時間を十分に増やすことで対処する。
●閉塞性肺障害に対する人工呼吸器管理では,1回換気量や換気回数を減らした調節呼吸を選択する一方,適度なcounter PEEPをかけて気道抵抗を軽減させる。
●RSBIは閉塞性肺障害の呼吸器離脱における有用性は認められていない。
●閉塞性肺障害の呼吸器離脱は,原則としてSBTもしくはPSVで行う。
【拘束性肺障害患者の侵襲的人工呼吸】
●拘束性肺障害に対する人工呼吸器管理では,ARDSに準じて1回換気量を減らし,高いPEEPを避ける。
●拘束性肺障害における食道内圧を用いた人工呼吸管理は有用である。
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