連載
え? 知らないの?脳・組織局所酸素モニター
古平 聡
1
,
森實 雅司
2
1北里大学病院 ME部
2済生会横浜市東部病院 臨床工学部
pp.220-227
発行日 2019年1月1日
Published Date 2019/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200614
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近赤外線分光法near-infrared spectroscopy(NIRS)を用いた脳・組織局所酸素モニター(以下,NIRSモニター)は,連続的かつ非侵襲的に脳をはじめとした組織酸素需給バランスの変化を判断することができるといわれている。NIRSモニターは,脳や腹部臓器・末梢組織などの血流低下または消失リスクを有する小児から成人までの一般外科麻酔中や頭頸部外科手術,開心術における患者予後を改善する1),周術期の頭部モニタリングでは術後認知機能や神経障害のリスクを低下させる2)などの効果があることで知られており,心臓血管外科手術や救急・集中治療領域において広く用いられている。周術期や急性期に合併し得る脳や組織の低灌流を早期に発見し対処することは,脳・神経障害や臓器・組織障害の軽減につながると考えられる。そのためこれらの発生予防にあたってはNIRSモニターに関する十分な知識と適正な使用が求められる。
本稿では,脳・組織障害予防の一手段として重要であるNIRSモニターの原理や適用,数値変化の要因・対処,使用上の注意点などについて概説する。なお,組織酸素飽和度の名称はメーカーにより異なるが,本稿ではStO2として表記する。
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