看護管理 25巻1号 (2015年1月)

特集 最期まであなたらしく生きることを支える「アドバンス・ケア・プランニング」 今後を見通したケアを計画する対話を通じた支援のプロセス

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わが国の高齢化率は25%を超え,2025年に団塊の世代が後期高齢者となるピークを迎える。これまで経験したことのない多死社会を迎えた今,「最期まであなたらしく生きることを支える」ための意思決定支援,アドバンス・ケア・プランニングが重要である。

治療期を終えた患者が人生の最終段階を考えるための意思決定を,病院看護部はいかに支援すればよいのだろうか。地域包括ケアシステムにおける在宅側との連携のありかたとはどのようなものだろうか。

本特集では,在宅・地域と連携した人生の最終段階における意思決定支援,アドバンス・ケア・プランニングの理想のありようを,在宅療養移行支援の第一人者からの提言や,専門看護師による質の高い倫理的看護実践から探る。

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筆者は,訪問看護の経験を経て病院に戻り,看護師による退院支援・在宅療養移行支援の活動を牽引してきた。本稿では退院支援の本質が,人生の再構築に向けた「意思決定支援」および「自立支援」のプロセスであることを今一度,読者と共有するとともに,地域包括ケアシステムが伸展する中で,地域・在宅との協働のもと,さらに早期からの節目節目での支援として「アドバンス・ケア・プランニング」を推進するための考え方を提示する。

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厚生労働省では今年度,モデル事業として,患者の意思を尊重した「人生の最終段階における医療体制整備支援事業」に取り組んでいる。人生の最終段階における医療にかかる意思決定支援は,同省では初めての事業であり,医療機関における相談員の配置や委員会の設置などによる相談体制の整備を目的としている。本稿ではこのモデル事業の開催に至った背景と経緯,事業の内容等について紹介する。

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筆者は慢性疾患看護専門看護師として,在宅というフィールドで看護実践を重ねてきた。本稿では約6年にわたり訪問看護サービスを提供してきた非がん高齢者が下降期から終末期を迎えるまでの期間,家族皆で最善を追求しようとする意思決定のプロセスに,濃密に寄り添い,支援を続けた看護実践の記録である。絶対的正解はない「意思決定支援とその実現」における,1つの理想形を提示する。

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慢性心不全をはじめとする循環器疾患は,終末期を迎えるまでにがんとはまた異なる経過をたどる。循環器疾患を抱える患者に対して,どのようにこの先の人生について提示し,アドバンス・ケア・プランニングを支援すればよいのだろうか。循環器専門の急性期病院で活動する急性・重症患者看護専門看護師として患者・家族の意思決定を支えてきた立場から,これまでの実践を振り返りながら慢性心不全患者の支援過程について述べる。

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筆者は高齢者専門の急性期病院に,老人看護専門看護師として勤務し,認知症患者と家族のケアに関わる中で,特に認知症が進行し,肺炎で入退院を繰り返す時期の支援を重視してきた。本稿ではこれまでの実践から,入退院という節目節目に病院看護師が行う,認知症患者と家族への意思決定支援のプロセスを提示する。

巻頭 うちの師長会・主任会 学習する組織をめざして・13

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「対話」と「内省」を組織文化に,新しい価値の共創と継続的な質改善を実現する

1962年に開設された聖隷浜松病院(静岡県浜松市)は,「私たちは利用してくださる方ひとりひとりのために最善を尽くすことに誇りをもつ」を病院理念として掲げ,倫理的な組織運営を志向している。

本稿では,「対話」と「内省」を組織文化に,新しい価値の共創と継続的な質改善に取り組む同院看護部の活動を紹介する。

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本誌2013年10月号特集で紹介した,知覚・感情・言語による包括的なコミュニケーションに基づいたケア技法「ユマニチュード」。現在,医療・介護界はもとより一般市民からも大きな注目を集める一方で,病院医療者からは「忙しい急性期病院で果たして適用可能なのだろうか」という声も聞かれる。

本座談会では,井部俊子氏の問題提起にイヴ・ジネスト氏,本田美和子氏が応える。

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ケアリングに関わる問題意識

 私は大学で哲学的人間学や倫理学を教えている教員です。自身のバックグラウンドは文系ですが,2000年に看護大学に奉職したことをきっかけに,看護倫理教育にも携わることになりました。現在,勤務校の倫理委員会委員長を務めながら,札幌市内のいくつかの病院にも倫理委員として関わり,日々,看護倫理や医療倫理の問題に接しています。

 看護学ではケアリングという概念が重要なキーワードとして登場します。この概念は「私とは何か」を考える哲学的な出発点として,また「倫理や道徳が,義務の遂行や行為の結果だけではなぜ説明しきれないのか」を解説する倫理学的な土台としても,実は重要なものだと私は考えています。こうした問題意識から,これまでに文部科学省科学研究費基盤研究として「ケアリングの臨床哲学的基礎付けから出発する看護倫理学の構築」「徳としてのケアリングを基盤とする看護倫理学の構築」などを進めてきました。

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はじめに

 近年,入院期間が短縮され,外来診療の重要性が増しているが,外来診療が抱えている課題の1つとして長い待ち時間があげられる。厚生労働省の2011年受療行動調査1)によると,「診察までの待ち時間が30分以上」と回答した外来患者の割合は全体の41.5%である。さらに,病床規模が大きい病院に関しては,特定機能病院では46.9%,大病院では47.9%と,待ち時間が長い外来患者の割合が増える傾向にある。また,眼科外来は外来診療までの待ち時間が他科に比べると長いことが報告されている2-4)

 眼科では,視力,視野,前眼部,眼底などの状態を知るために,特殊な器械を用いて多種の自科検査が行われている。また,硝子体腔内注射や結膜下注射,光線力学的療法などの外来治療が行われ,散瞳や処置後の安静等にも時間を要することが,待ち時間が長くなる原因として考えられる。眼科外来は視覚障害を持つ患者が多くいることや,前述の多種多様な検査・治療が行われることなどから,患者への説明はより細やかに行う必要がある。しかし,紹介患者が多いことに加え,予約枠を超えた再来患者もいる現状では,十分な説明ができているとは言い難い。

 これらの「待ち時間短縮」と「患者サービス向上」という2つの課題改善に向けて,福島県立医科大学附属病院(以下,当院:表1)の眼科外来では,2010年度に実施した待ち時間調査の結果5)を基に対策を講じ,2013年,その効果の検証を行った。本稿では,この3年間の取り組みについて報告する。

連載 看護管理の現場を紐解く ミッションを共有し,ともに価値を創り出す組織を目指して・10

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マネジメントの伝道師

 12月号で予告したとおり,今回は,ピーター・F・ドラッカー(1909-2005)を紹介したい。たくさんの著書や解説書があり,最近では,岩崎夏海氏の小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』1)がベストセラーになり,アニメ化,映画化されるなど,ドラッカーブームが巻き起こっていたので,何らかの形でドラッカーの思想に触れた方も多いだろう。

 ドラッカーは晩年まで精力的に活動し,33冊以上を上梓し,事業部制,顧客の創造,知識労働者,ナレッジマネジメント,マーケティング,イノベーション,民営化,ベンチマーキング,コアコンピタンスなど,多くのマネジメントの概念を生み出し発展させた2,3)。看護界にもなじみが深い「目標管理」を提唱したのもドラッカーである。ビジネス界に大きな影響を与え,多くのファンをもつ「経営思想家」であり,「経営学の父」「マネジメントの権威」「ビジネス・コンサルタントの創始者」などと称される2)。三谷は,マネジメントという概念を整理し普及させた「近代マネジメントの伝道師」だと述べている3)

連載 実践! インストラクショナル・デザイン 効果的・効率的・魅力的な人材育成を目指して・9

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 ここまでのプロセスで,研修企画の枠組みは完成しました。さあ,どのような方法を用いて学びましょうか?

 エミ師長は,徹夜で目の下にクマをつくりながら,研修講義用のプレゼン資料を作ったそうです。学習目標を「研究計画書の要素を完全に理解できること」に設定しましたから,その要素を丁寧に説明するスライドを作ってくれました。

連載 回り道ナース・10

話が違う! 松本 圭古
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 介護福祉士として働いたのち,40代半ばで看護師になったという新人が配属されたことがあった。やはり,決して若いとは言えない年齢になっても,勉強して新たに資格を取得し,挑戦しようという気概があるのだから,それだけの決意で仕事をしていこうと考えているのだと思っていたのだが,夜勤に入るようになった頃から体調不良を訴えるようになり,結局入職から1年半程度で退職してしまった。

連載 マネジメントの基礎を学ぶ はじめての看護管理 7つのエッセンス・10

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リーダーシップとは

 リーダーシップはグループの目標達成に向けてメンバーを導き,影響を与えます。また,円滑なマネジメントを行うために必要な重要概念です。リーダーシップに関する研究は数多くあり,定義も同じくらい数多くあると言われています。

 広辞苑には,リーダーシップとは「指導者たる地位または任務。指導権。指導者としての資質・能力・力量・統率力」と記載されています。また,ドラッカーは「リーダーシップとは,組織の使命を考え抜き,それを目に見える形で明確に確立することである。リーダーとは目標を定め,優先順位を決め,基準を定め,それを維持する者である」と説明しています1)。さらに「自己の理念や価値観に基づいて(価値創造型)魅力ある目標を設定し,またその実現体制を構築し(目標達成型),人々の意欲を高め成長させながら(人材育成型),課題や障害を解決する(戦略実行型)」と記載しているテキストもあります2)

連載 新人看護師教育がうまくいく OJTのコツ—「理解」と「支援」から始める・9

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 前回,主体性の側面から紹介した“自ら考え,行動できる”新人の姿を見ると,指導者の多くは“やる気がある”と捉えてプラスの評価をし,安心して指導できることが多いようです。ところが,「やる気のない新人にどのように関わったらよいのか,どうやって新人のやる気を引きだしたらよいのかわからない」と悩む指導者の声もあります。そこで今回は,いわゆる“やる気”と言われる意欲と,意欲を持たせる動機づけについて考えます。

連載 看護事故の舞台裏・13

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出産に携わる医療スタッフにとって馴染み深いテーマの1つが,早期母子接触(skin to skin contact;以下,STS),いわゆる「カンガルーケア」です。その有効性は科学的にも証明されていて,新生児の呼吸・循環,血糖値の安定化や体温保持効果に加え,生後1〜4か月の母乳栄養率向上,母親の愛着行動スコアの上昇などさまざまなメリットがあります。

 ところがその一方で,STSの最中に呼吸停止などの容態急変が生じる赤ちゃんがわずかながらも存在し,集中治療にもかかわらず重い後遺障害が残ると,「こんなことならカンガルーケアなんかしたくなかった」「適切な新生児管理をしない病院が悪い」ということになり,一部のケースでは数億円の賠償金を請求する裁判へと発展しました。それを受けてマスコミも「カンガルーケアは危険」と言わんばかりの報道をすることがあり,これまでも賛否両論が展開されています。

連載 おとなが読む絵本——ケアする人,ケアされる人のために・104

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 私は栃木県の小さな町で生まれ育った。家は町はずれにあったので,庭から先はずっと田んぼが広がっていた。春はレンゲ畑や麦畑や里山で遊び,夏は昆虫採集や小川でのフナ獲りやドジョウ獲りをして遊んだ。冬は晴れると男体下ろしの季節風が冷たいが,それでも冬枯れの田んぼで遊んだり,竹馬を作ってあちこち行進したり,メンコをしたりして遊んだ。戦争や食糧難の時代だったが,貧しくても,子どもたちは自然の中で遊びを見つけて楽しい日々を過ごしていた。塾通いなどに追われなくてすむ時代だった。

 小学校の高学年になると,蝶,トンボ,クワガタなどの標本を作った。6年生のころには,天文学が好きになって,毎晩,風呂から上がると,外に出て星座探しを楽しんだ。田舎だったので,空気は澄んでいたし,町にはギラギラしたイルミネーションの類いはなかったから,星々は満天に燦然と輝き,星座の1つひとつを確認するのは容易だった。視力が2.0あったので,すばる座(プレアデス星団)の星は7個まで見えた。中学時代には,気象学が好きになって,雲ばかり眺めていた。

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次号予告・編集後記 小齋 笹山

基本情報

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看護管理
25巻1号 (2015年1月)
電子版ISSN:1345-8590 印刷版ISSN:0917-1355 医学書院

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