実践報告
眼科外来における待ち時間短縮と患者サービス向上を目指した取り組み—対策を講じて3年後の変化
大内 寿恵
1
,
大槻 美智子
1
,
稲毛 映子
2
1福島県立医科大学附属病院看護部 外来総合 眼科外来
2文京学院大学保健医療技術学部看護学科
pp.72-77
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200081
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はじめに
近年,入院期間が短縮され,外来診療の重要性が増しているが,外来診療が抱えている課題の1つとして長い待ち時間があげられる。厚生労働省の2011年受療行動調査1)によると,「診察までの待ち時間が30分以上」と回答した外来患者の割合は全体の41.5%である。さらに,病床規模が大きい病院に関しては,特定機能病院では46.9%,大病院では47.9%と,待ち時間が長い外来患者の割合が増える傾向にある。また,眼科外来は外来診療までの待ち時間が他科に比べると長いことが報告されている2-4)。
眼科では,視力,視野,前眼部,眼底などの状態を知るために,特殊な器械を用いて多種の自科検査が行われている。また,硝子体腔内注射や結膜下注射,光線力学的療法などの外来治療が行われ,散瞳や処置後の安静等にも時間を要することが,待ち時間が長くなる原因として考えられる。眼科外来は視覚障害を持つ患者が多くいることや,前述の多種多様な検査・治療が行われることなどから,患者への説明はより細やかに行う必要がある。しかし,紹介患者が多いことに加え,予約枠を超えた再来患者もいる現状では,十分な説明ができているとは言い難い。
これらの「待ち時間短縮」と「患者サービス向上」という2つの課題改善に向けて,福島県立医科大学附属病院(以下,当院:表1)の眼科外来では,2010年度に実施した待ち時間調査の結果5)を基に対策を講じ,2013年,その効果の検証を行った。本稿では,この3年間の取り組みについて報告する。
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