連載 看護事故の舞台裏・13
「カンガルーケア」中の観察はどこまで?
長野 展久
1
1東京海上日動メディカルサービス医療本部
pp.96-99
発行日 2015年1月10日
Published Date 2015/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1686200087
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出産に携わる医療スタッフにとって馴染み深いテーマの1つが,早期母子接触(skin to skin contact;以下,STS),いわゆる「カンガルーケア」です。その有効性は科学的にも証明されていて,新生児の呼吸・循環,血糖値の安定化や体温保持効果に加え,生後1〜4か月の母乳栄養率向上,母親の愛着行動スコアの上昇などさまざまなメリットがあります。
ところがその一方で,STSの最中に呼吸停止などの容態急変が生じる赤ちゃんがわずかながらも存在し,集中治療にもかかわらず重い後遺障害が残ると,「こんなことならカンガルーケアなんかしたくなかった」「適切な新生児管理をしない病院が悪い」ということになり,一部のケースでは数億円の賠償金を請求する裁判へと発展しました。それを受けてマスコミも「カンガルーケアは危険」と言わんばかりの報道をすることがあり,これまでも賛否両論が展開されています。
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