作業療法ジャーナル 54巻10号 (2020年9月)

特集 あらためて失調症を知る

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特集にあたって

 「今,問題視しているそれは現象であり結果だよね.その背景には何があるの?」

 OTとして臨床現場に立ってから,数えきれないぐらい上司から上記のような指導をいただいた.今ではそれを後輩に問いかける役回りが多くなったが,本特集の原稿作成にあたって査読を依頼すると,恥ずかしながらいまだに同じ指導をいただいた始末である.

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Key Questions

Q1:運動失調の分類と病態とは?

Q2:運動失調の臨床症状と運動制御の特徴とは?

Q3:運動失調に対する介入方法とは?

はじめに

 ヒトの滑らかで巧みな身体運動は,冗長な自由度を有する筋骨格系による関節運動を協調的に制御することによって実現されている.この協調性が欠如した状態を指して協調性運動障害(incoordination),または運動失調(ataxia)という用語が使用されている1)ことが多い.一方で,運動失調とは,小脳症候のように神経損傷や変性によって生じる症候全体を指す場合に使用されることもある.

 運動失調は,大脳,小脳,脳幹,脊髄,末梢神経のいずれかの神経系の損傷によって顕在化してくるため2〜3),運動失調が生じる疾患(脳卒中,脳腫瘍,脳損傷,自己免疫疾患,感染症,中毒症等)は多岐にわたっている(図 1).本稿では運動失調を,①小脳性,②感覚性,③前庭性に分類して,病態,臨床症状,運動制御の特徴,臨床介入について,簡潔に解説したい.

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Key Questions

Q1:小脳失調症状のメカニズムとは?

Q2:小脳失調症に対する客観的評価とは?

Q3:失調症患者のADL評価で考慮すべきポイントは?

小脳性失調症状のメカニズムと生活障害

 運動失調症状を呈する疾患の中で,その原因が,腫瘍,血管障害(脳梗塞や脳出血),炎症(小脳炎,多発性硬化症),栄養障害のいずれでもない疾患を脊髄小脳失調症(spinocerebellar degeneration:SCD)と総称し,多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)の一部も脊髄小脳変性症とされている1).多系統萎縮症を含めて,脊髄小脳変性症の患者は全国で4万人を超えているとされ2),OTがかかわる機会は少なくない.SCDはいずれの病型においても小脳性運動失調症状を呈するため2),小脳機能と障害モデルを理解することが評価の最初の手順となる.作業療法場面においては,運動失調症は主として協調運動障害として捉えられてきたが,1990年代にSchmahmannら3)によって,小脳性認知情動症候群(cerebellar cognitive affective syndrome:CCAS)として小脳が認知機能や情動の制御にかかわっていることが報告され,ADL評価の重要性が注目されるようになった.そのためOTが行う生活評価は,運動と認知の両面から捉える必要がある.

 小脳による運動制御は順モデル,逆モデルという2つの仕組み(内部モデル)で行われると考えられている.順モデルはあらかじめ誤差を予想して,運動の遂行前に運動指令の修正を行うものであり,逆モデルとは,あらかじめ誤差を最低限にする指令を形成するものである4).小脳はこの内部モデルによって誤差を感知し,修正を繰り返していくことで,時間的なタイミングや方向や距離といった空間的な協調をとるための制御を行っているとされる.小脳が損傷されると,この内部モデルに基づいた誤差修正が行えず,視覚や体性感覚を用いたフィードバック機構による制御が主となるため,動作の開始が遅延したり,目標の場所からずれてしまうdysmetriaが出現する.

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Key Questions

Q1:小脳を病巣とした運動失調の特徴は?

Q2:大脳皮質-小脳ループにおける小脳の役割は?

Q3:脳血管疾患に伴う運動失調症状の理解と臨床介入のポイントは?

はじめに

 私たちの運動の統合・協調に深く関与しているものに小脳と錐体外路があり,その中で運動失調が最も顕著にみられるのが小脳の機能障害による小脳性運動失調といわれている.小脳性運動失調の患者の多くは,体幹部の不安定性や四肢の動揺,測定障害等のさまざまな失調症状に加え,それらに対する体幹近位部の過剰固定や四肢の過緊張等の努力的な代償反応も多く抱えている.

 このような努力的な代償反応は,焦りや不安による姿勢の不安定性をさらに強め,結果的に本来の失調症状を助長してしまい,日常生活における困難性を強めてしまう.臨床で失調症患者とかかわるOTの多くが,このような問題に対しどのようにして生活活動につなげていくか苦慮しているのではないだろうか.

 本稿ではこれらの点を踏まえて,小脳性運動失調における失調症状と代償反応の関係に着目し,脳血管疾患に伴う失調症状の理解と実際の臨床介入について,事例を交えて紹介したい.

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Key Questions

Q1:脊髄小脳変性症の病態と運動失調の特徴は?

Q2:脊髄小脳変性症に対する作業療法における評価とリハは?

Q3:進行性疾患に対する生活支援の方法は?

脊髄小脳変性症の病態と運動失調の特徴について

 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration:SCD)は小脳性の運動失調を主症状とするさまざまな変性疾患の総称であり,病理あるいは遺伝子的な違いによって複数の病型が存在する.日本における患者数は全国で4万人以上と推定されており1),その中の1/3が遺伝性,2/3が非遺伝性(孤発性)である.遺伝性のSCDの多くは常染色体優性遺伝であり,脊髄小脳失調症(spinocerebellar ataxia:SCA)の1型から48型(一部欠番あり)に分類されている2).一方,孤発性の2/3は多系統萎縮症(multiple system atrophy:MSA)であり3),残りは皮質性小脳萎縮症と診断される.さらに,遺伝性,孤発性ともに小脳症状のみが主となる純粋小脳型と小脳以外の病変と症状が主となる非純粋小脳型に下位分類分けされる.遺伝性の分類では,常染色体優性遺伝性に含まれるのがSCA1,2,3(マシャド・ジョセフ病,Machado-Joseph disease:MJD),6,7,17,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症(dentatorubral-pallidoluysian atrophy:DRPLA)である.SCA1は緩徐眼球運動,構音障害,痙性,腱反射亢進,SCA2は眼振,緩徐衝動性眼球運動,SCA3は痙性,ジストニア,眼振,パーキンソニズム,SCA6は運動失調,SCA7は網膜色素変性,痙性,SCA17は認知症,精神症状,アテトーシス,DRPLAはミオクローヌス,アテトーシス,認知症,てんかん等の症状がみられる.一方,常染色体劣勢遺伝性にはフリードライヒ運動失調症があり,運動失調,構音障害,側弯症等が知られている.また.孤発性におけるMSAのうちオリーブ橋小脳萎縮症(olivopontocerebellar atrophy:OPCA)は運動失調,線条体黒質変性症は筋強剛,無動,姿勢反射障害,シャイ・ドレーガー症候群は自律神経症状がみられる.

 運動失調の特徴としては,四肢の測定異常と動揺,2関節運動時の動作の分解,運動パターンの切り替えの遅延,姿勢保持困難等があり,これらによって,上肢機能障害や起居動作,歩行の障害等を引き起こし,日常生活動作(ADL)全般の遂行に支障をきたす.一般に,SCDにおける運動失調の進行は緩徐である.しかしながら,現状では根治につながる治療法は未確立であり,病状の進行に合わせたリハが重要となる.

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Key Questions

Q1:脳腫瘍の分類や特徴,予後は?

Q2:運動失調を起こしやすいテント下に発生する脳腫瘍の特徴は?

Q3:運動失調を伴う脳腫瘍者への作業療法介入のポイントは?

はじめに

 脳腫瘍は多様な発生機序をもった,悪性度・予後の異なる症候群の総称である.近年は治療技術や手段の進歩等により積極的治療を行うことが増え,腫瘍の種類によっては5年生存率が大きく改善している1).また,「脳腫瘍診療ガイドライン」,「がんのリハビリテーションガイドライン」(以下,がんリハガイドライン2019)はともに,2019年(令和元年)に改訂されている.ここでは,脳腫瘍に起因する運動失調や小脳関連症状がある対象者への作業療法介入について,脳腫瘍の最近の知見を踏まえながら,筆者らの経験を中心に述べる.

わたしの大切な作業・第29回

さまざまな障害を越えて 畑 正憲
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 歌の文句じゃないけれど、四〇歳、五〇歳、六〇歳代、そして七〇歳代の四十年間、私は破天荒な人生を送った。道端の生水に口をつけてガブ飲みしたし、ライオンがシマウマを食い残して去ると、駆け寄って肋骨に残っている肉を削り取って食べた。

 パラグアイやウルグアイなどへ行くと、馬仲間ガウチョたちと付き合うには、テレレと呼ばれている生水を飲まねばならなかった。それも一つのコップからまわし飲みである。現地のコーディネーターは、アメーバ赤痢が流行している川の水だからと顔色を変えた。

提言

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 この「提言」が掲載されるころ,社会がどのような状況にあるのかわからないが,少なくとも,この原稿を執筆している2020年5月は多くの前提が通用しない状況にある.まさかすべての授業を自宅からオンラインで行うことになるとは,数カ月前にはまったく想像していなかった.研究室のガジュマルは,ずっと気がかりだった大きな鉢への植え替えをして,自宅のモンステラの脇に移動した.

 毎年冬場に風邪をこじらせていたが,今年は一度も体調不良を感じなかった.何が要因なのか本当のところはわからないが,スタンダード・プリコーションの大切さをあらためて感じた.離れて暮らす70を過ぎた両親が心配だが,会いに行くことで自分が間接的に命を奪ってしまう可能性を真剣に考えなければならない.毎日2回,触れるものすべてを消毒している.例年であれば,3月下旬には気にならなくなる手荒れがいつまでも治らない.

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第69回

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やばい仕事

 何かをしたい気持ちは,いつだって人にはあるけれど,本当のところは表面には見えない.

 奥の奥のほうにある,その人をその人たらしめている生のうごめきに,もしかしたら届くことができるかもしれない仕事が作業療法.そしてそれは,とてつもなく,難しい.

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はじめに

 感覚刺激への過敏性や低感受性は,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)によくみられる特性である.ASDの感覚特性は,聴覚,触覚,味覚,嗅覚,視覚,前庭感覚,固有感覚のいずれにおいても生じ,臨床的には痛みの感覚や内臓感覚にも生じ得る.このような独特の特性ゆえに,「些細な話し声でも,神経に直接響くような強烈な刺激となる場合があり,パニックになってしまう」,「鳥肌が立つほど寒い真冬でも薄着でいて,風邪をひいてしまう」等,われわれとは別の感覚で世界を捉えていて,生活の困難さを抱えている場合がある.こういった感覚特性に対する理解を深めることは,それに対する支援を考えるうえで重要である.

 本稿ではまず,ASDの感覚に対する反応とその中で用いられる用語について解説しつつ,それぞれの感覚領域における実際上の問題について述べる.次に,感覚特性において,多様な表現型が生じる仕組みを,生物・心理・社会モデル(Bio-Psycho-Social Model;以下,BPSモデル)として説明する.最後に,それぞれの感覚領域における支援について解説する.

連載 続々・歴史と遊ぶ「ハンセン病と隔離政策」・第6回【最終回】

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戦後の「らい予防法」

 太平洋戦争での敗戦を機に明治憲法が改正されて昭和憲法が制定された後の1953年(昭和28年)に,ハンセン病患者全員を療養所に収容して亡くなるまで永久に隔離することを目的とした「らい予防法」が成立した.その前身の「癩予防ニ関スル件」の法律第11号が成立したのは1907年(明治40年)のことで,その本来の趣旨は,困窮して浮浪する患者を国辱として取り締まり,収容して隔離することであった.しかし,次第に隔離政策は強化され,予防の観点から感染の恐れのある患者を全員隔離収容する趣旨で大改正された「癩予防法」が成立したのは1931年(昭和6年)である.そして,癩根絶のための「無癩県運動」を全国的に展開して1万人収容を目標にした増床を1940年(昭和15年)末には達成した.

 戦時体制下でも「無癩県運動」は継続されたが,敗戦により日本の民主化を企図したGHQの当初の医療政策や,基本的人権が保障されるはずの憲法改正により,患者団体は「癩予防法」廃止を期待した.しかし,患者団体の活動は巧妙に懐柔され,反対に長島愛生園長の光田健輔ら療養所長たちの強固な全員隔離の主張に合わせて,厚生省は全患者収容の方針を掲げて療養所の増床を図った.1949〜1953年度(昭和24〜28年度)までに5,500床の増床が実現し,療養所の収容定員は1万3,500人となった.「らい予防法」が成立した1953年の調査によれば,推定患者数は約1万3,800人とされたので,この時点でほぼ全患者の収容が可能となった.さらに,ハンセン病患者の優生断種は,刑法の傷害罪に該当する可能性があったにもかかわらず,実施した医師らが処罰されることはなかったが,1948年(昭和23年)の「優生保護法」制定により,ハンセン病患者の断種を正当化,合法化することを許容した.

連載 食べる楽しみを支える 実践編・第6回【最終回】

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OTは口腔内残留を減らすことができる!

 本稿で最初に伝えたいのは,OTの介入によって患者さんの口腔内残留は減らすことができ,それが最期まで経口摂取を続けるための必要な力であるということです.

 「口腔内に対する介入はSTが行うもの」,「口腔内へのアプローチは苦手」と感じているOTは多いと思います.私も口腔内への直接介入は苦手であり,STが在籍しているなら口腔内の機能訓練はSTにお願いしています.「餅は餅屋」であり,そこにOTが積極的にかかわってほしいとは思っていません.しかし,口腔内への直接的介入でなくても,OTの姿勢介入等の基本技術は患者さんの残存機能を引き出し,それが口腔内残留に対するST介入や食形態による介入効果を高め,患者さんが安全で楽しい食事を継続する基盤になるのです.

連載 脳損傷者への就労支援—対象者のデータベース化と多職種による支援の試み・第8回

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はじめに

 当院で実施する高次脳機能障害者特別訓練プログラム(以下,グループ訓練)註)の修了者のうち,就労を目標としていた患者22名の就労実態を把握することを目的に,調査票や質問紙の郵送調査を実施した.さらに,障害者雇用で就職した2名については職場訪問を実施し,会社上司等へのインタビュー調査を行った.

 本稿では,調査報告の一部として,就労群・非就労群の健康感QOLと認知機能を群間比較し分析した結果を報告する.

連載 作業療法を深める ㊺インクルーシブデザイン1

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 九州大学で「インクルーシブデザイン」を教えている平井です.インクルーシブデザインとは,高齢者や障がいのある人等,社会的に排除された人々を包含し,かつメインストリームのデザインを考えるアプローチです.

連載 老いを育む・第4回

老いのこころ 柏木 哲夫
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老人の知的能力

 「若い者にはまだまだ負けません」と言う老人がありますが,やはり全体的には老人の身体的,精神的機能は若者より劣ります.たとえば,流動性知能というのがあります.これは短時間で課題を解決し,新しい状況に適応する能力です.具体的には,短時間で多くのことを覚える,計算する,流暢に話す等で,この能力は20代をピークに低下します.しかし,ある分野は老人のほうが優れている場合があります.たとえば言語能力は70歳でピークを迎えるといわれています.80歳の老人と20歳の青年が言語能力では同じといわれています.また,結晶性知能と呼ばれる統合力と判断力は歳とともに発達します.一般的にいえることは,想像力,統合力,理解力等は老人になっても低下しにくく,計算力,記憶力,記名力,想起力等は低下します.

連載 認知症と仏教・第9回

弱いままで生きる 日髙 明
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 「何かをしてもらったら,ありがとうをちゃんと言うんだよ」と小さいころに教えられた.けれど,どうも歳をとるにつれて,昔ほど素直にこの言葉が出てこなくなったような気がする.

 何かしてもらうと,申し訳なくなって,お礼を言う前に「すみません」と言ってしまう.何か借りをつくってしまったような,負い目を感じてしまうのだ.まあ根っから人間が小さいので,仕方ない…….

海外事情 特別編 海外における福祉用具支援サービス・第6回【最終回】

HEARTモデル 米崎 二朗
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 本連載では「海外における福祉用具支援サービス」として,韓国(第1回),イタリア(第2回),米国(第3回),英国(第4回),ドイツ(第5回)各国のサービスの考え方や仕組みづくり等を紹介してきた.筆者は,海外との比較を行うことで,わが国に支援サービスを構築していくためのさまざまな知見や情報を得ることができると考えている.その中でも,最も学ぶべきこととして,支援サービスの基本概念に基づいた欧州連合(EU)の教育システムがある.残念ながら,わが国では,福祉用具支援サービスの基本概念のもとに体系的にまとめられた教育システムはいまだ構築されておらず,生活行為・動作別,用具種別の教育システムにとどまっている.一方EUでは,福祉用具支援サービスに関する教育システムとして,Empowering Users Through Assistive Technology(EUSTAT)の中で体系的にまとめられたAssisstive Technology Education for End-Users Guidelines for Trainers(1999)がある.その基本概念がHorizontal European Activities in Rehabilitation Technology(HEART)モデルである.連載の最終回では,その概要を紹介する.

 HEARTモデルは,教育システムを構築するにあたって考慮すべき「詳細な項目」を示している.さらに,支援技術利用の主たる目的は,社会的環境下での人の機能制限を克服することにあり,端的に技術面だけをみるのではなく,関連する人および社会-経済面もみることが重要である点を強調している.または,人的構成要素,社会-経済的構成要素,技術的構成要素の3つの要素・領域について教育を行い,各構成要素間の相互関係性を分析しながら,総合的な福祉用具支援サービスを効果的に提供しなければならないとしている(表 1,図).

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Abstract:今回,われわれは健常成人 26名 26手(男性 13名・女性 13名,平均年齢:30.9±7.3歳)に対して,超音波検査装置を用いて手指(示,中,環,小指)のPIP関節等尺性単独屈曲50度および100度での浅指屈筋腱の短軸面回旋角度評価(MP関節レベル)を,最小努力および最大努力の2種類の運動強度で実施した.中,環指の回旋角度は,PIP関節屈曲0度と比較して,最小努力屈曲50度および屈曲100度で有意に大きかった.このことから,中,環指の浅指屈筋腱は,等尺性屈曲時に短軸面において尺側に回旋滑動することが示唆された.示,小指では,屈曲角度による回旋滑動は認められなかったが,示指は尺側回旋位,小指は橈側回旋位にあることがわかった.最大努力での中指屈曲50度の回旋角度は,他指に比べ有意に小さく,中指浅指屈筋腱はA1腱鞘上部に圧接する性質を有することが示唆された.これは,腱鞘炎の好発指である中指の運動学的特徴と考えられた.

昭和の暮らし・第45回

あかちゃんの生活費 市橋 芳則
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 先日,名古屋市内の方から,雑誌『暮しの手帖』(暮しの手帖社刊行)を提供いただいた.昭和30年ごろから最近までのバックナンバーが揃っており,昭和の暮らしを知る貴重な手がかりとなった.

 当時,1冊160円,年5回発行の雑誌は,その名のごとく暮らしをつぶさに見つめ,考えていくための貴重な標となるものといえる.

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目次

表紙のことば/今月の作品

次号予告

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 2019年度(令和元年度)より「乳がんサバイバーにおけるがん治療に伴った認知機能障害の復職に与える影響の検討」の実施に向けて情報収集と話し合いを進めてきた.がん治療に伴った認知機能障害については知名度も低く,その評価方法も確立されたものが少ない.本研究では,がん患者を対象として作成された主観的認知機能評価であるFunctional Assessment of Cancer Therapy-Cognitive function issues(FACT-Cog)日本語版を参考に,認知機能を評価することとした.また,復職状況に関しては,復職の有無,職業や職務内容の変化,収入の変化,復職するにあたって障害となった事柄,利用したサービス等を中心に,質問内容を作成することとした.この復職に与える影響に関しては,研究者が実際に復職を経験した乳がんサバイバーの方々に調査を行い,その経験談を基に質問内容を検討している.

 2020年度(令和2年度)は,調査内容を確定するとともに研究にご協力いただく患者団体と話し合いを進め,実際にデータを測定および解析を行う予定である.現在,実際にご協力いただく団体と協議し,よりご協力が得られやすい方法を検討している.今年度は,新型感染症の影響により医療機関でのリクルートや調査の実施が困難な状況である.そのため,リクルート等もインターネット上で実施できるように調査方法や内容を調整することで安全性を確保し,より乳がんサバイバーの皆様の負担を軽減したいと考えている.

研究助成テーマ募集

第56巻表紙作品募集

Archives

学会・研修会案内

編集後記 山本 伸一
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 COVID-19は2020年(令和2年)2月ごろから猛威を振るい,日本を恐怖に陥れた.とどまることなく世界中で混乱を招き,現在に至っている.私たちは,病院・施設・事業所等の勤務先だけでなく,個人レベルにおいても,生活のあり方を「新しい生活様式」に四苦八苦しながら適応しようと努力しているところである.

 一方,日本作業療法士協会による「COVID-19に関する会員緊急調査(期間:2020年4月27日〜5月1日,回答者数:15,292)」では,OTの感染対策に対する脆弱さが明らかとなった.今後その対策を急がなくてはならない.しかしながら作業療法場面においては,フロア等の職員配置の工夫(行き来を制限する等)や現場職員が作製したパーテーションをテーブルに設置し,飲食ができるような環境を提供する工夫等も報告され,リモートによる代替としての支援・指導も普及しつつある.それらは,作業療法.「生きるための作業」である.OTは,いかなるときでも対象者と向き合っている.頑張ろう,OT.

基本情報

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作業療法ジャーナル
54巻10号 (2020年9月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

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