Japanese
English
特集 あらためて失調症を知る
脳血管疾患に伴う失調症状
Ataxia associated with cerebrovascular disease
𡧃野 正顕
1
,
鵜飼 昂
1
,
三瀬 和彦
2
Masaaki Uno
1
,
Ko Ukai
1
,
Kazuhiko Mise
2
1甲西リハビリ病院
2甲府城南病院
pp.1084-1091
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202249
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Key Questions
Q1:小脳を病巣とした運動失調の特徴は?
Q2:大脳皮質-小脳ループにおける小脳の役割は?
Q3:脳血管疾患に伴う運動失調症状の理解と臨床介入のポイントは?
はじめに
私たちの運動の統合・協調に深く関与しているものに小脳と錐体外路があり,その中で運動失調が最も顕著にみられるのが小脳の機能障害による小脳性運動失調といわれている.小脳性運動失調の患者の多くは,体幹部の不安定性や四肢の動揺,測定障害等のさまざまな失調症状に加え,それらに対する体幹近位部の過剰固定や四肢の過緊張等の努力的な代償反応も多く抱えている.
このような努力的な代償反応は,焦りや不安による姿勢の不安定性をさらに強め,結果的に本来の失調症状を助長してしまい,日常生活における困難性を強めてしまう.臨床で失調症患者とかかわるOTの多くが,このような問題に対しどのようにして生活活動につなげていくか苦慮しているのではないだろうか.
本稿ではこれらの点を踏まえて,小脳性運動失調における失調症状と代償反応の関係に着目し,脳血管疾患に伴う失調症状の理解と実際の臨床介入について,事例を交えて紹介したい.
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