連載 老いを育む・第4回
老いのこころ
柏木 哲夫
1
Tetsuo Kashiwagi
1
1淀川キリスト教病院
pp.1138-1139
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202259
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老人の知的能力
「若い者にはまだまだ負けません」と言う老人がありますが,やはり全体的には老人の身体的,精神的機能は若者より劣ります.たとえば,流動性知能というのがあります.これは短時間で課題を解決し,新しい状況に適応する能力です.具体的には,短時間で多くのことを覚える,計算する,流暢に話す等で,この能力は20代をピークに低下します.しかし,ある分野は老人のほうが優れている場合があります.たとえば言語能力は70歳でピークを迎えるといわれています.80歳の老人と20歳の青年が言語能力では同じといわれています.また,結晶性知能と呼ばれる統合力と判断力は歳とともに発達します.一般的にいえることは,想像力,統合力,理解力等は老人になっても低下しにくく,計算力,記憶力,記名力,想起力等は低下します.
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