講座 感覚の問題に注目しよう!・第2回
自閉スペクトラム症の感覚特性/コラム:感覚過敏・低反応があるお子さんへの食事支援経験
山本 直毅
1,2
,
今村 明
1
,
中岡 和代
3
Naoki Yamamoto
1,2
,
Akira Imamura
1
1長崎大学病院 地域連携児童思春期精神医学診療部
2長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科 精神神経学
3大阪府立大学
pp.1108-1115
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202254
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はじめに
感覚刺激への過敏性や低感受性は,自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)によくみられる特性である.ASDの感覚特性は,聴覚,触覚,味覚,嗅覚,視覚,前庭感覚,固有感覚のいずれにおいても生じ,臨床的には痛みの感覚や内臓感覚にも生じ得る.このような独特の特性ゆえに,「些細な話し声でも,神経に直接響くような強烈な刺激となる場合があり,パニックになってしまう」,「鳥肌が立つほど寒い真冬でも薄着でいて,風邪をひいてしまう」等,われわれとは別の感覚で世界を捉えていて,生活の困難さを抱えている場合がある.こういった感覚特性に対する理解を深めることは,それに対する支援を考えるうえで重要である.
本稿ではまず,ASDの感覚に対する反応とその中で用いられる用語について解説しつつ,それぞれの感覚領域における実際上の問題について述べる.次に,感覚特性において,多様な表現型が生じる仕組みを,生物・心理・社会モデル(Bio-Psycho-Social Model;以下,BPSモデル)として説明する.最後に,それぞれの感覚領域における支援について解説する.
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