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本連載では「海外における福祉用具支援サービス」として,韓国(第1回),イタリア(第2回),米国(第3回),英国(第4回),ドイツ(第5回)各国のサービスの考え方や仕組みづくり等を紹介してきた.筆者は,海外との比較を行うことで,わが国に支援サービスを構築していくためのさまざまな知見や情報を得ることができると考えている.その中でも,最も学ぶべきこととして,支援サービスの基本概念に基づいた欧州連合(EU)の教育システムがある.残念ながら,わが国では,福祉用具支援サービスの基本概念のもとに体系的にまとめられた教育システムはいまだ構築されておらず,生活行為・動作別,用具種別の教育システムにとどまっている.一方EUでは,福祉用具支援サービスに関する教育システムとして,Empowering Users Through Assistive Technology(EUSTAT)の中で体系的にまとめられたAssisstive Technology Education for End-Users Guidelines for Trainers(1999)がある.その基本概念がHorizontal European Activities in Rehabilitation Technology(HEART)モデルである.連載の最終回では,その概要を紹介する.
HEARTモデルは,教育システムを構築するにあたって考慮すべき「詳細な項目」を示している.さらに,支援技術利用の主たる目的は,社会的環境下での人の機能制限を克服することにあり,端的に技術面だけをみるのではなく,関連する人および社会-経済面もみることが重要である点を強調している.または,人的構成要素,社会-経済的構成要素,技術的構成要素の3つの要素・領域について教育を行い,各構成要素間の相互関係性を分析しながら,総合的な福祉用具支援サービスを効果的に提供しなければならないとしている(表 1,図).
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