Japanese
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特集 あらためて失調症を知る
運動失調の病態と臨床症状
Ataxia: Causes and Clinical symptoms
平松 佑一
1
,
宮井 一郎
1
Yuichi Hiramatsu
1
,
Ichiro Miyai
1
1森之宮病院
pp.1072-1077
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202247
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Key Questions
Q1:運動失調の分類と病態とは?
Q2:運動失調の臨床症状と運動制御の特徴とは?
Q3:運動失調に対する介入方法とは?
はじめに
ヒトの滑らかで巧みな身体運動は,冗長な自由度を有する筋骨格系による関節運動を協調的に制御することによって実現されている.この協調性が欠如した状態を指して協調性運動障害(incoordination),または運動失調(ataxia)という用語が使用されている1)ことが多い.一方で,運動失調とは,小脳症候のように神経損傷や変性によって生じる症候全体を指す場合に使用されることもある.
運動失調は,大脳,小脳,脳幹,脊髄,末梢神経のいずれかの神経系の損傷によって顕在化してくるため2〜3),運動失調が生じる疾患(脳卒中,脳腫瘍,脳損傷,自己免疫疾患,感染症,中毒症等)は多岐にわたっている(図 1).本稿では運動失調を,①小脳性,②感覚性,③前庭性に分類して,病態,臨床症状,運動制御の特徴,臨床介入について,簡潔に解説したい.
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