作業療法ジャーナル 49巻4号 (2015年4月)

特集 最期までその方らしく生きることへの支援

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特集にあたって

 『作業療法白書2010』1)には,作業療法の最終目標は障害の軽減ではなく,主体的な活動と参加を援助することであり,その専門性はその人らしく生活できるよう支援することと記されている.このことは,対象者のライフステージや疾患を問わず,作業療法として普遍的な事柄といえる.では現在,終末期にある対象者に作業療法はどんな支援ができているだろうか.過去から述べられてきた具体的な事例を参考に,どこの現場でも提供できるものとして整えられ,OT以外にもその必要性を広く認められるものになっているといえるだろうか.

 今回,「最期までその方らしく生きることへの支援」というテーマから,終末期における作業療法について概説し,実践されている方々にご執筆いただいた.それぞれの立場により異なる具体例は,状況の違いや複雑さを表しており,同じような現場に従事するOT,あるいはその経験がないOTにとっても大いに参考になるものと思われる.

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Key Questions

Q1:体系的な手法を確立する必要性は?

Q2:終末期に対応する作業療法の存在意義は?

Q3:終末期の現場から発信する必要性は?

はじめに

 一般社団法人日本作業療法士協会による「作業療法ガイドライン実践指針」1)には,作業療法士がかかわる時期の一つとして“終末期”が明記されている.また,2025年を目処に構築される地域包括ケアシステムには,その視野に“人生の最期(最後)”が含まれており2),超高齢社会・多死社会を背景に,今後,作業療法が終末期に対応する機会,さらにはより死に近い場面に対応する機会が増えることは明らかといえる.

 しかし,終末期に対応する作業療法が整理されているかといえば,対象者のライフステージを問わず,体系づけられた手法や実施手順を明示したものは少なく,対応の内容やそれにより導かれる効果については,その場にいるOTの力量に委ねられているのが現実のように思われる.また,緩和医療の現場からはリハが浸透していないという指摘もあることから3),作業療法のあり方や,最期までかかわる意義についてはあらためて考える必要があるものと思われる.

 今回,「最期までその方らしく生きることへの支援」というテーマから,終末期における作業療法の手法を体系化する必要性,そして作業療法が最期まで対応する必要性について述べる.なお,終末期という時期については統一された定義がなく,実際の現場でもどこからを終末期として対応するかについて明確に線引きができるわけではないため,ここでは前述のガイドラインに記されている「医学的には余命6カ月」程度で「疾病や障害による基本的能力,応用的能力,社会的能力の低下があっても,その人らしい人生の仕上げができるよう,個人のQOLを保障し,尊厳のあるケアが提供される時期」として話を進める.

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Key Questions

Q1:小児領域の終末期の作業療法の役割とは?

Q2:生き抜くために必要な支援とは?

Q3:グリーフケアにつながる支援とは?

はじめに

 6年ほど前,本誌掲載論文「終末期の作業療法—小児医療の臨床から」(Vol. 42,No. 13,2008)の中で,これまで終末期にかかわった子どもたちについての事例を紹介した.そのときは,子どもの最期の生活まで,作業療法として作業を提供できることを紹介した.単に,最期まで作業を提供するだけでなく,「生き抜くための作業」が重要であり,これらは,最期を迎えた後の家族のグリーフケアにまで役立つことをお伝えした.その後,臨床を続ける中で,最期を迎えた子どもたちや,その家族とのかかわりを経験し,OTとして子どもの死(最期)を意識して作業療法をしていないことを再認識した.子どもたちが「いかに生き抜くか」,それに家族やかかわる人たちが「いかに支援できるか」,OTがそれらに対して,「いかに協力(作業の提供)ができるか」が重要であるとより強く考えるようになっている.今回は,同じように小児領域での終末期にかかわる仲間と共に,実践内容を紹介していきたい.

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Key Questions

Q1:終末期における訪問作業療法の実際は?

Q2:在宅での終末期作業療法とは?

Q3:終末期における訪問作業療法の課題は?

はじめに

 現在,国は,団塊世代が75歳以上の後期高齢者になるといわれる2025年に向け,「医療機関完結型医療」から「地域完結型医療」への地域移行を目指し,看取りまでを支える在宅医療・介護の普及を積極的に推進している.

 この動向は,主に1992年(平成4年)に訪問診療の概念が登場して以降,制度改正を経ながら枠組みづくりが進められており,2000年(平成12年)には介護を社会全体で支える仕組みとして介護保険制度が創設,2006年(平成18年)改正では,がん末期もその対象疾患に入った.また同年,在宅療養支援診療所(以下,在支診)も診療報酬上に位置づけられ,その後,機能強化型在宅療養支援診療所(以下,強化型在支診)が登場する等,医療リスクの高い重症患者や重度の要介護者でも最期まで在宅療養を継続していける環境が整えられてきている.これは,住み慣れた地域で生活をしていきたいと望む国民の要望とも合致しており,今後ますます在宅医療・介護の社会的役割・期待は高まっていくものと考えられる.

 居宅を訪問する訪問リハにおいても,こうした流れを受け,関連学会誌や学術集会等で終末期リハへの関心は高まっているように見受けられる.人生の締めくくりとなる終末期で,われわれOTに何ができるのだろうか.本稿では,筆者が担当した方々への支援の実践を通じて,在宅における終末期作業療法について考えていきたい.

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Key Questions

Q1:特別養護老人ホームにおけるOTの役割とは?

Q2:その方らしく生きるとは?

Q3:看取りケアにおける作業療法とは?

はじめに

 日本は超高齢社会の到来とともに多死社会を迎えている.現在は多くの方が病院で死を迎えているが,死亡者の増加に対応できるベッド数はなく,高齢者が死を迎える場所も病院から生活の場へと変化しつつある.筆者らが非常勤で勤務する特別養護老人ホーム(以下,当施設)では,2006年(平成18年)から介護報酬に看取り介護加算が創設されたことに加え,自らの終末を住み慣れた施設でと希望される入所者や家族の増加により,看取りケアに積極的に取り組んでいる.また,入居者は年々高齢化し,重度化している.2014年(平成26年)12月現在,入居者の平均年齢は86.7歳,平均要介護度は4.1である.年間30名ほどの方が死亡退所され,そのうち約8割の方を施設内で看取っている.当施設での実践の中から,最後までその方らしく生きることへの支援について述べたいと思う.

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Key Questions

Q1:終末期における障害高齢者の最期の状態は?

Q2:最期の姿から考えられることは?

Q3:終末期の現場から発信するべきことは?

はじめに

 日本老年医学会1)は,高齢者の終末期について「病状が不可逆的かつ進行性で,その時代に可能な限りの治療によっても病状の好転や進行の阻止が期待できなくなり,近い将来の死が不可避となった状態」と定義している.一層の高齢化が進むわが国にとっては,高齢者にどう対応するか,そして「死が不可避となった状態」にどう対応するか等は重要な課題といえる.またこのことは,作業療法の分野でも同様であり,高齢者への対応を検討すると同時に,終末期へ対応についても具体的な実践と検証を繰り返さなければならない時期にあると思われる.

 本稿では,対象を障害高齢者とした終末期への対応について,その内容と対象者の具体的な状態について述べる.

提言

経験を楽しむ 林 辰博
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 2015年(平成27年)4月現在,OTになり11年目を迎えました.教員として6年目,臨床経験5年と,ともに5年の経験という未熟な私にもかかわらずこのような機会をいただき感謝致します.

 執筆依頼をいただいたことをきっかけにこれまでを振り返り,経験をテーマとした提言とさせていただきます.

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今回は,血管内治療と開頭術の「二刀流」脳神経外科医として知られる吉村紳一先生から,特に血管内治療と医療連携について語っていただきました.血管内治療は,米国Nashvilleで開催されたInternational Stroke Conference 2015(2015年2月11〜13日)において,新たにその有効性を示すデータが発表されたばかりです.まさにタイムリーなテーマを提供できる運びとなりました.(編集室)

あなたにとって作業療法とは何ですか?・第4回

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共に人生にチャレンジ!!

 勝又勝雄さん,享年88歳.

 伊豆で椎茸栽培を業とされる勝又さん.63歳の折,脳梗塞に罹患され,中等度の右片麻痺となられた.「椎茸栽培に戻りたい.絶対に.わしの椎茸を待っている人が大勢いる」と.驚いた.利き指も開かない手でどうして椎茸栽培ができるのだろうか,わからなかった.しかし,嬉しくなった.共にチャレンジしようと瞬時に決めた.

講座 作業療法研究と倫理・第4回

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Key Questions

Q1:著作権とは?

Q2:学術論文著作者の権利とは?

Q3:例外的な著作物の無断利用—引用とは?

 科学技術の発展は日進月歩といえます.その発展を支えているのが,それぞれの領域における研究とその成果です.そして発表された学術論文が優れたものであることの判断の目安の一つとしてその論文「引用」回数の多少があります.「引用」は,後述致しますように著作権者の了解を得ずに著作物を無断利用できる例外の一つです.

 文部科学省科学技術・学術政策研究所から2014年(平成26年)8月に発表された“サイエンスマップ2010 & 2012”によりますと,他の論文に「引用」された回数の上位1%の論文(トップ1%論文)7万タイトルに含まれる日本の論文のシェアは4.1%となっております1)

連載 脳血管障害者への心理社会的援助メソッド入門【最終回】

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はじめに

 先日,あるOTさんから「患者さんの自己評価による実行度や満足度が上がることが本当に作業療法の効果なのでしょうか?」という質問を受けました.私は,「そうです.そのためにもご本人がそこにどんな意味づけをしたかを聴くことが大切であり,同時に必要なことは,ご本人の変化を他職種や家族等に理解できるように丁寧に記述する(説明できる言葉で表現する)ことです」と返答しました.心理社会的援助メソッドでは,当事者の心理社会的な状態や,OTとの関係の中でみえてきた相互の意思や感情,場面の雰囲気,たとえばOTがある言葉を当事者に投げかけた際の相手の反応等をみえるようにする作業を重視しています.これはOT自身がそれらの情報をより意識できるようにするためなのです.

 最終回の今回は,いよいよ脳血管障害者への心理社会的援助メソッドで用いることを目的に作成した4つのシートについて説明します.そして,この方法論の先に,従来の「患者-治療者という治療的関係」を超えて,私が「当事者との協働アプローチ」と名づけた当事者との関係づくりがあることを語りたいと思います.

 今回,各シートでは統一してクライエントという言い方をしていますが,「脳血管障害という過酷な体験をした専門家」という意味では当事者という言い方を用いたいと思います.

連載 覗いてみたい!? 先輩OTの頭の中・第1回【新連載】

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はじめに

 私は,脳神経・整形疾患患者が中心の急性期病院に7年勤め,回復期病院で4年目を迎えるOTです.今回のテーマである「高次脳機能障がい者の自動車運転」へのかかわりは,臨床2年目から始まりました.介入当初は,情報が整理されておらず,どのように対応したらよいのか試行錯誤の連続でした.対象者・家族とさまざまな教習所や運転免許センターに同行したり,改造車を自分で運転してみたり,改造の際に受けることができる助成金について調べてみたり,退院後の運転について数年後に追跡調査をしてみたり,OTがこの分野で何ができるのか,自分の目で現場をみることに重点を置き活動を行ってきました.このような経験を経て,今の私の頭の中があります.この第1回では,失敗体験を中心に話をさせていただき,その中で,何を学び,現在どのような工夫を行いながら対応をしているのかご紹介したいと思います.

 はじめに,私が2年目に出会った対象者についてお話し致します.

学会長・大会長・学術集会長の言葉

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 第49回日本作業療法学会は2015年(平成27年)6月19日(金)〜21日(日)兵庫県神戸市で開催致します.テーマは,「温故知新〜五十路を還り 将来を展ぶ〜」とし,会場は神戸ポートピアホテルと神戸国際展示場を使用します.49回目の学会ですが,総会の累計では50回目の記念すべき学会です.「温故知新」は広辞苑では,「(論語)故(ふる)きを温(たず)ね新しきを知る,以て師と為る可し(古い事柄も新しい物事もよく知っていて初めて人の師となるにふさわしい意)昔の物事を研究し吟味して,そこから新しい知識や見解を得ること」とされています.この50年は日本における作業療法の創生期,発展期,定着期と進んできました.欧米からの知識と技術の輸入や日本で行われていた方法との融合,日本の文化にあった作業療法の創生等,先人は試行錯誤しながら世界有数の高いレベルの作業療法をつくり上げてきました.この過程を吟味して新しい知識や技術を付け足して作業療法が伸び広がってほしいという学会関係者の願いを込めています.学生時代に参加した第1回作業療法学会から作業療法を見続けてきた学会長として,記念すべき年に開催する歴史に残る学会を行いたいと思います.プログラムは一般社団法人兵庫県作業療法士会の会員による学会実行委員会で表のように確定しました.皆様にわかりやすいように3日に分けてプログラムを記載しています.そのほかに一般演題,機器展示が行われます.

 学会長講演では,臨床に出て多くを学んだ経験から将来の期待を述べます.特別講演は恩師で作業療法の理解者,欧米の福祉用具,作業療法情報を絶えず発信して叱咤激励してくださる澤村誠志先生に「私の行ってきたリハビリテーション実践と作業療法に期待すること」を講演いただきます.また,私自身ライプツィヒ,横浜,神戸の講演で感銘を受けた山海嘉之先生にお忙しい中「革新的ロボット技術との融合による未来のリハビリテーション」の講演をお引き受けいただきました.高名で作業療法を理解してくださる先生方の講演を拝聴できるのは幸いなことです.招待講演はDiane J. Atkins先生による「義手の過去・現在・未来」です.先生は国際学会で常に「OTのAtkinsです」と前置きして講演や質問を行っています.他にも実行委員の若手の先生方が,ぜひ聴きたいと思えるテーマと講演者を企画してくださいました.教育講演「デュシェンヌ型筋ジストロフィーの最新治療法」,「リハビリテーション栄養〜栄養ケアなくして作業療法なし」の2演題,テーマシンポジウム「温故知新—歴代協会長からの提言」,「作業療法の未来と展望」ほか3演題,国際シンポジウム2演題(「異文化における作業療法」,「アジアの作業療法の現状は今!〜韓国,台湾,フィリピンの場合〜」)および各領域のシンポジウム10演題,セミナー10演題を準備しています.市民公開講座は20日に「住み慣れたまちで生きていく—地域包括ケアの実践」,21日に「認知症と生きる—科学的なケアを実践できる社会づくり」と今日的なテーマで開きます.

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 わが国に理学療法士が誕生した1966年(昭和41年)に第1回学会が開催されて以来,今年で50回を迎えます.大会テーマを「理学療法50年のあゆみと展望—新たなる可能性への挑戦」とし,先達が築いてこられた偉業を振り返り,これまでの歴史を検証したうえでさらなる可能性を目指していきます.会期中には,公益社団法人日本理学療法士協会の50周年記念式典も別会場で行われる予定です.

 本大会の企画にあたっては5つの点を考慮しました.①学会の原点である応募演題を基軸に構成し,約2,000題の発表を行います.中でも理学療法実践の原点である症例研究では,参加型ディスカッションを含めて積極的な討議をいただきます.②理学療法学を進歩させるために,関連学会・行政府・企業との共同・連携企画シンポジウムを充実しました.日本生理学会,日本整形外科学会,日本医学教育学会,日本集中治療医学会,日本静脈経腸栄養学会等から,シンポジストをお呼びしています.③国際協調・貢献を図るため,海外の著名な研究者,世界理学療法連盟(WCPT)の執行部,アジア理学療法連盟(ACPT)の全協会代表者,国際協力機構(JICA)の関係者を交えて,幅広く議論致します.また,一般演題を含めて,英語で進行するセクションを数多く設けています.④一般市民の皆様に理学療法を広く知っていただくために,ロビーで特別展示を行い,最終日は特定の会場を公開する予定です.⑤参加者の便宜を図るために,時間帯ならびに職種による各種パスを細分化し,併せて,関心領域ごとに容易な会場選択ができるように工夫しました.

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 このたび,第16回日本言語聴覚学会を宮城県仙台市で開催することとなりました.今回のテーマは「臨床力を鍛える—言語聴覚療法の発展と開発」です.「明日の臨床が面白くなる学会」を目標に開催致します.

 私がこの学会に込める思いは大きく2つあります.ひとつは,若い言語聴覚士(ST)に「臨床力を自ら築く」ためのヒントを得てほしいということです.STは,1997年(平成9年)に制定された「言語聴覚士法」で国家資格となりました.その歴史はまだ20年もありません.日本言語聴覚士協会に所属するSTは20代,30代が全体の約8割を占めており,若い世代が多いのが特徴です.この若きSTは,これから臨床場面で数々の経験をし,その経験を糧にして次のステップに向かって行かねばならない人々です.しかし,実際には常に目の前の業務に追われてばかりで,自身の臨床を振り返り,反省し,明日の臨床で再度自分の力を試す,という「臨床力を自ら築く」機会が少ないのではないかと強く感じています.そんな現在だからこそ,「臨床力」を鍛えることにこだわった学術集会があってもいいのではないかと思いました.質の高い講演に触れ,自分の臨床を振り返り,明日の臨床にもち込む.自分の臨床をまとめ,他者に聴いてもらい,意見をもらう.それを中心にした学術集会を開催したいと思い,企画を考えました.実際に毎日臨床を行っている者のみで構成された当実行委員会だからこそ,臨床力の向上のみにこだわった学会が実現できるものと思っています.

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 2015年(平成27年)5月28日(木)〜30日(土)の3日間,朱鷺メッセ:新潟コンベンションセンターで第52回日本リハビリテーション医学会学術集会を開催致します.メインテーマは,「今を紡ぎ,未来につなぐ」とさせていただきました.これは,リハビリテーション医学・医療に携わる者一人ひとりが,それぞれの置かれている環境や立場の中で,今できること,なすべきことを丁寧に紡ぎながら,学術集会という集いの場に成果をもち寄り,それぞれの糸を1本の太い糸に束ねて,力強く未来につなげていきたい,という願いを込めたものです.

 リハビリテーション医学は,疾病,外傷,加齢等の要因により心身・生活機能に生じた「変化」を的確に診断・評価して,さまざま治療手段を駆使して,新たな状態への「適応」を創造的に支援する,すなわち「変化に対する適応をデザインする」医学ととらえることができます.そのような特質をもつリハビリテーション医学を通して社会への貢献を果たしていくために,第52回学術集会を,①サイエンスとしてのリハビリテーション医学が深化・進化する場,②研究・教育・臨床の実践能力が高められる場,③若手が活き活きと力を発揮できる場,④国内外のリハビリテーション関係者・団体,一般市民との連携が深まる場にしていきたいと考えております.

Topics

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 3歳の男の子,岡﨑大輝くん(岡山県倉敷市粒江在住)。脳幹にできた腫瘍のため,小さな身体で病と闘っています。創心会訪問看護リハビリステーションでは,OT・看護師らで彼とご家族を2014年(平成26年)11月から支援しています。

 2014年夏までは公園を駆け回り,自転車に乗って外で遊んでいた彼が,今は左半身に麻痺症状がみられ,自分で立ち上がる,歩く,両手で遊ぶことも困難な状態が続いています。週3回の訪問診療,週2回の訪問看護,週2回の訪問リハを受けながら,自宅療養を続けています。

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Abstract:介護老人保健施設に入所中で認知機能低下が認められる要介護高齢者14名を対象に,少人数の集団での回想や学習を媒介とした作業療法の効果を非ランダム化試験で検討した.対象者を介入群と非介入群に分け,介入群には非介入群に対する通常のケアに加えて,作業療法訓練として模擬的買い物訓練を3カ月間実施した.介入群は1カ月目以降に前頭葉機能が,2カ月目以降に認知機能およびADL能力が非介入群に比べて有意に高値を示していた.以上より,作業療法場面で回想や学習を媒介とした模擬的買い物訓練を行うことは,前頭葉機能の活性を促し,認知機能およびADL能力の維持につながると推察された.

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表紙のことば/今月の作品

研究助成テーマ募集

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 冒頭の「監修のことば」にある通り,近年,中枢神経の可塑的変化や神経ネットワークの再構築による回復の可能性がよりいっそう明らかになったことで,脳卒中リハは治療としての新たな時代を迎えていると思われる.本書は,PTである今井 樹氏が,長きにわたる研鑽を経て得た知見のごく一部を文献レビューのかたちでまとめられたものである.PT・OT養成校の学生はもちろん,科学論文に接する機会の少ない初学者にも理解しやすい平易な文章で書かれているが,脳卒中リハに携わる以上は知っておくべき基本的かつ重要な情報が含まれているので,職種や経験を問わず手に取っていただきたい.

 第1章「基礎および臨床研究の成果を臨床の場面へ」では,各治療アプローチ法を獲得するにはその背景(メカニズム)の理解が必須であること,基礎研究と臨床研究は補完関係にあり,両者の知恵の結集こそが根拠ある治療の提供とリハ“学”の構築につながることが述べられている.短い章ながら,経験則に流れず新しい知見を積極的に吸収する姿勢が治療者の責任であり武器であることを,読者は再認識させられるであろう.そのような著者の知的好奇心は,最終章(第8章「視点を広げてくれる臨床研究」)でもとどまることなく反映されており,日常生活や自主訓練の指導を別の視点でとらえる機会を与えてくれる.

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 測定と評価は,PT・OTにとって絶えず問われる医療技術の一つである.測定の技術にはその正確性と再現性が,そして測定結果の判断にはその妥当性と信頼性が重要視される.中枢神経系障害,特に脳血管障害の運動機能評価に焦点を当てた場合,初学者としては評価の実施手順ないしは対象者が示す身体的反応をどのように判断するとよいかに悩む場面に遭遇することがあるだろう.神経機能の診断学として数多くの成書があるが,評価の実践にポイントを置いたものはまだ少ない.そこで,手元に置き参照したいのが本書である.

 本書は,『PT・OTのための測定評価DVD Series』のシリーズ最新刊「片麻痺機能検査・協調性検査」として上梓されたものである.これまでのシリーズ全体の構成は,ROM測定,形態測定・感覚検査・反射検査,MMT,バランス評価,整形外科的検査から成っており,本書でシリーズ7巻目となる.具体的な内容を簡単に紹介しておきたい.第1章はブルンストローム片麻痺機能検査であり,片麻痺運動機能評価としての基本的視点をこの章で学ぶことができるだろう.第2章は協調性検査であり,協調障害における神経徴候の初歩的検査から小脳系の運動失調,測定障害まで幅広く収載されている.

第50巻表紙作品募集

学会・研修会案内

編集室から

次号予告

投稿・執筆規定

編集後記 澤 俊二
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 OTは,その人の活動に右肩上がりにかかわることもあれば,その逆にかかわることもある.総じてOTは,その人の誕生から死に至るまで,その人らしい高いQOL(生活の質)を目指すことにかかわる.

 日本の今の時代は,少子超高齢化に伴う多死・多障害の時代に入ったといえる.「終活」が普通に語られようになってきた.そこで,私は仲間たちと2013年(平成25年)9月,「全国介護・終末期リハ・ケア研究会」をつくった.左肩下がりのリハ活動を探り,end of lifeの中身を検討し,その人のQOD(quality of death)を充実させ,人権に沿う美しいご遺体の姿にさせねばならない,と.

基本情報

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作業療法ジャーナル
49巻4号 (2015年4月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0915-1354 三輪書店

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