Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
Key Questions
Q1:体系的な手法を確立する必要性は?
Q2:終末期に対応する作業療法の存在意義は?
Q3:終末期の現場から発信する必要性は?
はじめに
一般社団法人日本作業療法士協会による「作業療法ガイドライン実践指針」1)には,作業療法士がかかわる時期の一つとして“終末期”が明記されている.また,2025年を目処に構築される地域包括ケアシステムには,その視野に“人生の最期(最後)”が含まれており2),超高齢社会・多死社会を背景に,今後,作業療法が終末期に対応する機会,さらにはより死に近い場面に対応する機会が増えることは明らかといえる.
しかし,終末期に対応する作業療法が整理されているかといえば,対象者のライフステージを問わず,体系づけられた手法や実施手順を明示したものは少なく,対応の内容やそれにより導かれる効果については,その場にいるOTの力量に委ねられているのが現実のように思われる.また,緩和医療の現場からはリハが浸透していないという指摘もあることから3),作業療法のあり方や,最期までかかわる意義についてはあらためて考える必要があるものと思われる.
今回,「最期までその方らしく生きることへの支援」というテーマから,終末期における作業療法の手法を体系化する必要性,そして作業療法が最期まで対応する必要性について述べる.なお,終末期という時期については統一された定義がなく,実際の現場でもどこからを終末期として対応するかについて明確に線引きができるわけではないため,ここでは前述のガイドラインに記されている「医学的には余命6カ月」程度で「疾病や障害による基本的能力,応用的能力,社会的能力の低下があっても,その人らしい人生の仕上げができるよう,個人のQOLを保障し,尊厳のあるケアが提供される時期」として話を進める.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.