連載 脳血管障害者への心理社会的援助メソッド入門【最終回】
心理社会的援助メソッドの構成
小林 幸治
1
Koji Kobayashi
1
1目白大学
pp.327-336
発行日 2015年4月15日
Published Date 2015/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200185
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はじめに
先日,あるOTさんから「患者さんの自己評価による実行度や満足度が上がることが本当に作業療法の効果なのでしょうか?」という質問を受けました.私は,「そうです.そのためにもご本人がそこにどんな意味づけをしたかを聴くことが大切であり,同時に必要なことは,ご本人の変化を他職種や家族等に理解できるように丁寧に記述する(説明できる言葉で表現する)ことです」と返答しました.心理社会的援助メソッドでは,当事者の心理社会的な状態や,OTとの関係の中でみえてきた相互の意思や感情,場面の雰囲気,たとえばOTがある言葉を当事者に投げかけた際の相手の反応等をみえるようにする作業を重視しています.これはOT自身がそれらの情報をより意識できるようにするためなのです.
最終回の今回は,いよいよ脳血管障害者への心理社会的援助メソッドで用いることを目的に作成した4つのシートについて説明します.そして,この方法論の先に,従来の「患者-治療者という治療的関係」を超えて,私が「当事者との協働アプローチ」と名づけた当事者との関係づくりがあることを語りたいと思います.
今回,各シートでは統一してクライエントという言い方をしていますが,「脳血管障害という過酷な体験をした専門家」という意味では当事者という言い方を用いたいと思います.
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