看護学雑誌 31巻13号 (1967年12月)

看護の潮 老人を考える

社会的にみた老人の座 那須 宗一
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はじめに

 昭和42年の老人福祉週間は“みんなで明るい老後を”をスローガンにかかげ,実施目標としては“老人と若い人が家庭・職場・地域社会で話しあい,お互いの立場を理解し,尊敬しあって協力することにつとめよう”あるいは“健康に留意し,時代感覚を身につけて,話せる老人になるように心がけよう”といった項目がうたわれていた。

 ところが,この老人週間が終わって間もないついさき頃,茨城県土浦市では夫を失った60歳の内科医が,高校教師をしている長男夫婦と同居の折合いが悪くて,ついに孫二人を道連れにして自殺している。この婦人のばあい,同居の予定でいた三男を交通事故でなくしてからは,他の子ども夫婦との対話が全くなくなって,専門職をもちながら時代感覚を身につけることもできずに悲劇的な殺人と自殺を犯してしまったようである。

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□ホームに入ってよかった□

 司会(森)花井さんは芙蓉病院に来てから9年になりますね。長い間入院していて,看護婦に対してこんなことをしてもらってほんとうにうれしかった,あんなふうにされたときはちょっと悲しかったということはありますか?

 花井 どんなに老えても悲しいことなどなかったです。子どもがバタバタと亡くなりまして,私ひとりでしょう。こういうところがあってありがたいと思いました。私はこういうところがなきゃ,自分でどういうふうに身を立てていいかわからなかったものですから,ありがたいと思います。お食事も,まずいなどといってはもったいないと思いますね。ただ,ごくお年寄りは油っこいバターとかそういうもの,みなさん好かないですから,たとえば煮魚にしたり焼いたりしてくだされば……。

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文化の水準をはかるもの

 一国の文化を判断する場合に,その国の生産が著しく伸びていたとしても,それだけで文化の水準が高いとはいえない。むしろ最底辺にある国民の生活状態がどのような状態にあるか,つまり所得や文化の享受において受けるところがあるか,それとも一応充たされているかという点に重要な尺度があるのである。

 人間は自らの力で生産に関与し,自ら享受するという関係において生活することが普通であるとすれば,もはや生産関係から隠退し,自らの力で生活を維持することが困難となった老人に対しては,家族が扶養するか,社会が配慮するということになる。しかしわが国の現状では,扶養する家族の能力も人によって格差があり,能力に乏しい場合は,社会的配慮による部面が増大せねばならないのである。したがってそれがどのように実施されているかということが,その国の文化をはかる一つの尺度となるのである。過去の歴史にみても,一般にその社会の生活資料が一応充たされている場合は,老人の所遇も充たされていることになるが,乏しい場合は心ならずも棄老というようなことが行なわれてきた。してみれば,人間が老齢になれば,一般に社会的弱者の立場におかれるということを意味する。とりわけ肉体的,精神的に不健康な状態にあるとすれば,一層その度合が惨めなものになるのであって,これに対する周囲の配慮が一層必要になっていくのである。

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 社会における看護のニードとして家庭にいる病人と,病気の老人のことがあげられる。この両者が重なっている時には多くの場合,私どもは目をおおって現実の場面をみないことにでもするより方法がないとさえ考えられる。もちろんこれは看護婦が単独で解決すべきニードではないが,社会的な問題となる前に,否すでに社会問題であるが誰かが声をあげなければならない。そして,このような現実に他よりも早く,また切実に当面するのは看護をする私どもではないだろうか。昭和36年に厚生統計協会が発行している「厚生の指標」の特集,社会福祉の動向の中に提示された“日本の老人”を読んで,私は前に述べたようなことを真剣に考えなければならないと思った。

 昭和28年に初めて留学したアメリカの大学で“成長と発育”という科目の担当教授から,日本の老人は家長制度によって守られていることをはじめとして,衣類まで老人にふさわしい色・型があることを指摘され,醇風美俗だといわれた。戦後旧来の家族制度は急激に崩壊し,今までは子どもたちに依存していくことを計画に入れてきた人にとっては,自己防衛の準備がないままに霜夜に放り出されたもののような不安と恐れ,必死のもがきの場面などが予想される社会になっていたので,教授の指摘はちょっと時代のずれがあると思った。

老人に多い疾病 五島 雄一郎
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まえがき

 老人と疾病という題で書けという編集部の依頼であるが,老人に起こる疾病を述べるだけで1冊の本ができ上がるくらいである。したがってその全部を述べることははなはだ困難であるので,比較的日常多く遭遇する内科的疾病を中心に述べることとする。

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 老人が健康を保持するためにとる毎日の食事は年令,性格,各個人の体位,労作などを考慮した,栄養素の必要量を十分に満たしたもので,そのうえ,それらのバランスがとれていることが,長寿を約束してくれる大切な要素となるのである。

 老年期に起こりやすい病気を知って,これを予防する食事を工夫し,老人の心理や生き甲斐を理解して,少しでも明るい,楽しい食生活が送れるようにすることが大切である。

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老人の排泄を考える時の基本的な事項

 1.排泄の生理を知る

 老人といえども排泄の機序は人間の生理に基づくものであり,私たちは常に排便,排尿の機序および生理的性状,回数,量などを理解しておくことは当然である。これらについては他の項にゆずり今回は省く。

 2.老人の生理機能を知る

 老人はすべての機能が老化現象として低下してくることは当然であり,疾病に対して抵抗力が弱く,慢性に移行しやすく,治癒しにくく,重症になりやすく,合併症を起こしやすい。その中で排泄に関係のある事実を述べてみる。

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 日本人の風呂好きは世界的に有名であるが,また同時に入浴が熱い湯に頸までつかる高温全身浴の形で行なわれることを特徴としている。この入浴形式が,浴中・浴後の脳卒中発作と密接に関連することは一般に認められており,高度の高血圧患者の入浴については危険視されている。一方,高血圧症,脳卒中後遺症患者に対する泉浴による治療の研究が全国的に推進せられて,その有効性が確認されている。しかし,この研究は主として泉浴によるものであり,一般の淡水温浴に関しての研究は少なく,疾患老人に対する入浴の指導は未だ個々の医師・看護婦の判断にゆだねられているのが現状であろう。

 入浴が,日本人の生活の中で,食事,睡眠などと同じく,最も生活に密着したものの一つである以上,疾患老人の入浴に関する,より的確な管理規準を設定することは,きわめて重要な臨床的課題の一つであるといえよう。

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娯楽は自ら楽しむもの

 アンドレ・ゾネットは,現代の娯楽慰安は,精神の形成力・独創力・自発性および文化的なできごとに対する関心を麻痺させたのではないか。そして大衆の間に漸次消極的な無関心という逆効果をうながしたのではないか。といっています。これはドイツのことですが,現在の日本も,まさにこの言葉どおりになっているのではないかと思われます。

 ことに日本人が娯楽という場合,慰安と同一な意味に解されています。慰安すなわち娯楽といっても変だと感じる人は少ないようです。しかし娯楽は自ら楽しむもの,慰安は他人が与えるものとはっきりした区別をつけるべきではないでしょうか。娯楽は,もっぱら自分で行動したり,真剣に鑑賞するところに味わうことのできる楽しみだが慰安はあくまで受身の立場で,他人から与えられた演芸などを楽しむといった消極的なものです。したがって慰安には涙もの,母もの,または封建時代の義理人情の世界に引きいれるようなものがその大部分を占めています。

特別レポート・症例研究

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はじめに

 前立腺肥大症とは60歳以上の男性に多く発生する,慢性排尿障害を主訴とする疾患である。従来白人に多かったが,平均寿命の延長と診療技術の進歩発展とにあいまって,年々ふえつつあり,注目をあびている疾患である。本疾患の術後は,後出血が多く,血尿が持続する。また老人性疾患であることから,術後合併症を起こしやすい。

 以上の理由から看護上の問題点も大きく,たびたび遭遇する本疾患の看護について症例研究を始めた。

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人間の寿命は 百歳か百五十歳かきめかねるが 動物に関するかぎり 寿命は それぞれに固有である。ただ ここで間題になるのは固有の寿命があるのかということである。しかし生物としての人間の寿命も考えてよいのではなかろうか。だが この寿命を生きながらえ生命からうける恵沢に思いを至らすとき 寿命のもつ意味をいかにとらえるべきか このことこそ人類多年の宿題であり現代では人智を超越した力に解決をゆだねねばならない大きな課題といえないでもない。生命の保障のなかで発せられた人間自然の要求は何か

女の職場—婦人警察官
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べつに悪いことをしわけではないが おまわりさんはコワイものと昔からの通り相場。だが民主国家での身分は“公僕”。知っている道でもたずねたくなるが如く親しまれねばならない。婦人警官 それは戦後民主主義の隠れた象徴ともいえる。優しさ 明るさ 清そをモットーに少年捕導 安全交通教育などに活躍する.競争率24倍の難関をよりすぐられた彼女たちの数は 現在全国で500人ぐらい

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リハビリテーション・チームは医師を中心に理学療法士(PT)作巣療法士(OT)唇語治療士(ST)ソシアルワーカー(SW)心理看護婦 その他多種目の職種からなり患者のニードに合った治療を同時に平行しておこなう。そのため チーム・ワークが非常に重要になる。

一般にPTをマッサージ師 またOTを職業訓練士であるかのように考えているきらいがあるがPTとは 理学的方法即ち 治療訓練光線 熱 寒冷 水 電気などを応用したもの マッサージ 装具松葉杖 義肢を用いた歩行訓練車椅子操作などによって疾病や外傷 障害を治療し治療期問短縮を計る。また色々の評価によって診断を助け回復状況を確認する。

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月へ飛ぶ人工衛星は私たちの日常生活と一見何のつながりももたない。だが宇宙開発に注がれる先進的科学技術発展への努力はごく日常的な生活の中にも多くの恩恵をもたらした。

とくに医学面にみられる功績偉大である。たとえば宇宙用に開発されたシリコン 宇宙船の船体に使われるチタニウムなどは 人造の心臓弁となって多くの人命を救っているのだ。その他循環器 呼吸器 内臓などいたるところに字宙用に開発された種々の物質がその効力を発揮する。願わくばこうした平和的目的にだけ宇宙開発の成果がふりむけられて欲しいものである

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長崎県のはずれ 五島列島に近い黒島は いわゆる離れ島のひとつである。その昔 隠れキリシタンが逃れ住んだ島としてよく知られ今も その跡を歴史にとどめている。人口2000,400世帯が住む老人の多い孤島である。

僻地の無医村地帯とはまた別の医療問題を離島は抱えている。完全に設備された施設をもつことがそのまま医療体制の完備にはつながらない。有機的な交通体制 コミュニケーション手段の整備 巡回診療 救急施設 安心できる健康管理者の存在など 離島状態そのものをなくす固有の医療体制が考えられねばならないだろう。

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 白いもののまじった髪か品よく、一見もの静かな学者の風ぼうをしのばせる。沼和20年創立した現在の伊勢市民病院に当初から勤務、その体制をジックリと育てあげてきた。その市民病院をこの8月に退職、いわばフリーな身で学会準備に献身されたわけだが「皆さんの協力を得られ、おかげさまで…」と言葉は謙虚,現在は伊勢女子高校看護科に嘱託としておられる。料理上手で家庭的だが仕事には厳しいというのがもっぱらの評判。明治41年伊勢市生まれ。

連載 戦後看護史の断面を聞く・2

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●東京最後の青空の下で準備会

 小林 保助看と3者合体した時の事務所はどこだったんですか。

 河村 日赤の養心寮の一室を借りていたんです。

連載 日本の医療を探る・9

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 勤務医の生活は開業医よりさらに悪化してきている。

 従来,大部分の勤務医は開業の一前提として位置づけられていた。しかし現在ではその開業も,地価の高騰・医療器械の進歩などにより多額の開業資金を必要とするため困難になってきた。そのうえ開業医の生活そのものが低下してきている。

連載 率直なる自己・その3

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 著者は,この章で,彼の理論の中心的な概念である自己開示(self-disclosure)について説明を試みている。また,著者は,自己(self),真の自己(real-self),真の自己存在(real-self-being),自己疎外(self-alienation)など,実存心理学で用いられる概念を多く使用しているのも特徴の一つである。以下,著者の所論を紹介しよう。

ものがたり・日本の医学・事始・12【最終回】

佐藤尚中 しまね きよし
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■佐倉藩の医療制度を改革

 松本順については,すでに述べた。順は佐藤泰然の次男であったが,泰然の後を継いだのが,この佐藤尚中である。尚中は泰然の実子ではない。泰然は実子をそれぞれ独立させて,塾生のなかから尚中をえらび,自分の後継者としたのである。

 尚中は文政10年4月8日に,小見川藩医山口甫仙の次男として生まれた。舜海と号した。江戸に出て,寺門静軒から儒学を学び,のち,安藤文沢のもとで医学を学んだ。このときに,ひとつのエピソードが残されている。

 「嘗て隣坊に争闘して大傷を負へるものあり。急に文沢を招き治を乞ふ。たまたま文沢出でて家にあらず,尚中即ち縫女が用ふる所の鍼線を借り,馳せ赴きて創口を縫合すること二十余刺,而して挙止自若,豪も難める色なし。時に歳甫めて十有六なり。己にして文沢帰り来り,之を観て驚嘆して日く,是れ実に国器なり,久しく我門下に屈すべからざるなりと。因りて佐藤泰然に就きて学ぶことを勧む。けだし泰然は当世の良医にして,最も外科に巧みなるものなりといふ。是に於て尚中大に喜び,去って賛を泰然の門下に執り,蘭書を講究し,兼ねて手術を習練す。」(碑文)

ルポルタージュ ナースと結婚

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 戦後,女性の職場進出は目ざましく,すでに一般化され,今では900万人以上の婦人が労働に従事し,その43%が既婚婦人でしめられているこれは女性の自覚が高まったことと,日本の賃金水準が低いため夫のサラリーだけでは生活できなくなってきたことによる。しかも婦人の職種の大部分は,事務・ウェイトレスといったように,単純で補助的な仕事が圧倒的に多い。その中で教師や保母と並んで一生を技術者として喜びと誇りをもって働くことのできる看護婦は,このへんで「女として看護婦として」の一生を考えなければならない時に直面している。ここに何人かのママさん看護婦の生活を追いながら,その問題について考えたい。

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 外科手術はいろいろな分野においてますます盛んに行なわれるようになってきている。われわれの病院においては,その性格上胸部疾患の手術が大多数をしめているが,肺野の手術は,一般に長時間を要することが多く,それだけ術中感染の機会が多いし,また感染を起こしやすいことが予想される。術中感染については消毒法・滅菌法の発達ならびに種々の抗生物質を含む抗菌薬剤の開発利用によってかなり減少しているが,不測の事態がないというわけではない。その原因としては,いろいろのものが考えられるが,技術以外のものとしては,手術部分に直接間接にふれる器具器材,術者の手,使用される液の滅菌消毒・保存・使用時の注意,および手術室の汚染などが関係すると思われる。この最後の手術室の汚染度を知るひとつの方法としては,空中細菌の状態について調査することが行なわれている。

 本院においては,昭和39年4月に手術棟が新設され手術が開始された。われわれはこの手術棟の空中細菌の状態について調査すると共に,手術室に設置されている殺菌燈の効果について実験を行なった。

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 看護をより科学的に進歩させていくためには研究することが必要であり,看護行為と直接に結びついた研究を看護研究といっている。この実験報告は空中細菌の培養報告と殺菌燈の効果の報告で,培養実験の結果を手術棟の管理運営のうえにどう生かしたかというところまで結びつけられていない点,看護研究とはいいがたいと思う。しかし,看護行為を科学的に理由づける一つの基礎研究としては意義深いものである。

 この報告からは,なぜこのような実験を行なったかの直接の動機はわからないが,学生時代のものとのことであるので,実験研究の仕方を勉強するためであったかとも思われる。学生時代には学校の教育意図で研究が組まれることがあるが,これからは直接看護にたずさわっておられる方がたであるから,ぜひ看護研究を行なっていただきたい。

英文トピックス・3

Nursing Profession in Canada
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 1969年,カナダのMontrealでInternational Council of Nursesの総会が開かれます。日本からも相当数の看護界の代表者の参加が計画されています。

 最近,開催国であるカナダの看護協会(Canadian Nurses Association)から,総会開催に関連して,カナダの看護事情を紹介する資料が送られてきましたので,その一部を抜粋して掲載しました。

スピーチリハビリテーション講座・3

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構音障害

 どんな症状を構音障害と呼ぶか

 小学校2年生の子どもが「サカナ」を「タカナ」としかいえないとしよう。このような子どもをわれわれは構音障害をもつ子どもと呼んでいる。もっと詳しくいうと,この子どもの構音障害は「サ」が「タ」に置き換わったといわれる型である。

 構音障害には大別して次の4種類がある。

脳のはなし・9

感情 千葉 康則
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〔9〕感情

 今まで書いたことで,神経系の機能の基本になるものを,反射論の立場から分解して説明したことになる。すなわち,神経系は反射によってささえられており,それには生まれつきの無条件反射と生後に形成される条件反射があり,さらに,人間では,その上に言語系がある。そうして,条件反射と言語系は,要するに,無条件反射の起こり方を調整する役割りを果たしている。そこで,脳や人間のはたらきとして今までよくいわれているもろもろの事柄は,そのような原則で説明されなければならない。

ナースのための臨床薬理・9

利尿剤の副現象 橘 敏也
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 近ごろの利尿剤には,作用の強いものがでてきた。それだけに,副作用のほうも多くなったし,また強い複雑な副現象がみられるようになった。

 この利尿剤による副現象には二つの面がある。一つは利尿効果の結果として本質的に付随するものと,もう一つは薬物に対する生体側の反応の異常として起こるものである。

てんてき

人生の扉を開くもの 会田 雄次
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 昭和19年から20年にかけてのビルマのラングーン市の陸軍兵站病院での看護婦さんの想い出である。戦地での看護婦さんのあの献身的な姿は,今の若い人には見られないのじゃないかと思われる。兵隊の心の中の看護婦さんの映像には後光がさしていた。現在の患者の中の看護婦さんの姿にそれがあるかどうか。看護婦さんだけではない。現在私たちはいろいろの権利をかち得たが,その代償に何か大事なものを失ってしまったようである。

 その一つに,あれだけの必死の努力をつくしてきたその努心という心を失ってしまったのじゃないかという気がする。こういったものを前提条件として,これからの職業ということを考えてみようと思う。

医療プリズム

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 精神衛生に対する世間の関心は,この数年,とくにライシャワー事件以来,かなりたかまってきました。しかし,ジャーナリズムが精神衛生,精神病対策を問題にするのは,必ず精神障害者による犯罪がおこり,それ精神障害者は危険だ,それ野放しだ,といった調子がつよく,必ずしも正しい関心とは言いきれないことは,まことに残念なことです。世間はやはり,精神障害者をとじこめようとする姿勢を捨てきっていないようです。

クリニック・アイ

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 前々回のこの頁に,従業員のいない内科開業医のことを書いた。ホーム・ドクター,あるいは一般医といってもよいと思うが,自分の守備範囲を守って,設備と能力以上の仕事は上級医療機関へどしどし紹介するという,すがすがしい小単位の医院を紹介した。私たち,一般医としての開業医の形態にナースが必要かどうかは,医院の機能からみた規模によってマチマチで,一概にはいえないと思う。しかし,入院設備があれば,当然ナースは必要であり,さらにその上に“臨床検査”がこなせる機能は必須条件である。もちろん,臨床検査は自分の医院(病院)でできるにこしたことはないが,地域の条件ではそうもゆかないので,共同施設の利用,商業検査屋への委託検査などいろいろとあるだろう。とにかく臨床検査の正しい成績はゼッタイに必要なのだ。

Medical Topics

医療用医薬品,他 Q
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 薬の商品特性の一つとして,生命と直結することがあげられ,背広やネックレスとはちがった扱いをすべきであることは当然であるが,現実にはこのへんの認識が,専門家,非専門家の区別なしに,十分であったとはいえない。

 いっそのこと,(悪口ついでに言わせてもらえば)効果もはっきりしないが,あぶなくもないようなものを“大衆薬”として,いわば,赤ん坊のオシャブリの扱いにし,本当の薬を“治療薬”として区別してはどうだろうかという意見もあった。せめて,“治療薬”については,薬らしく扱ってみようではないかというわけである。多少とも漫画的な誇張があるが。

ナースひとり世界を行く・9

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 ミラノにもどって,日本人の知人に逢った。久しぶりに日本語で話せた喜びは筆にすることができない。商社につとめているので,家族も皆来ていた。私よりあとに日本を去っているので,日本のことをいろいろ聞いてみた。その夜は,どうしたことか,日本へ帰りたくて,納豆と白菜がむしょうに食べたくて仕方がなかった。

グラフ 老人福祉のための総合施設

七沢リハビリテーション・センター
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 神奈川県厚木市,丹沢大山から延びる丘陵に,昨年12月,約12億円を投じて,社会福祉法人神奈川県老人福祉事業団運営による七沢リハビリテーション・センターが誕生した。脳卒中後遺症などに悩む老人の福祉のための総合施設としては全国一のものであろう。

グラフ 看護用具の工夫

改良型離被架 佐々木 忠一
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 従来の離被架では食事のさい,また書きものをする時などは離被架をはずし,サイドテーブルを使用しなければなりませんでした。それに掛けぶとんが不安定であることなどがありました。

 そのような点を一つのものですべてできるものはないだろうか,もっと広範囲に使用できないものであろうかと,考えたのがこの改良型離被架です。

グラフ 看護の跡をたずねて・7

小田原と箱根 石原 明
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 行楽地としての箱根は,今さら説明するまでもないが,小田原とならんで看護のあとが残っていることを知る人は少ない。

 小田原はかつて室町時代の末,北条氏5代の居城として栄えた地で,今も復興天守閣がそびえ昔のおもかげを伝える。

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摘みとりし茄子のむらさき爪に染む平凡に生くる我れの証しに

 〔評〕静かな歌というものは読む者の心を安らかにするものである。

 この歌の色もまたすがすがしい。

付録

看護手順 歯科
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補綴の介助

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基本情報

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看護学雑誌
31巻13号 (1967年12月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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