看護の潮 老人を考える
老人の日常生活
娯楽・まず老人の心をほぐして
小林 文成
1
1長野・楽生学園
pp.51-53
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913439
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
娯楽は自ら楽しむもの
アンドレ・ゾネットは,現代の娯楽慰安は,精神の形成力・独創力・自発性および文化的なできごとに対する関心を麻痺させたのではないか。そして大衆の間に漸次消極的な無関心という逆効果をうながしたのではないか。といっています。これはドイツのことですが,現在の日本も,まさにこの言葉どおりになっているのではないかと思われます。
ことに日本人が娯楽という場合,慰安と同一な意味に解されています。慰安すなわち娯楽といっても変だと感じる人は少ないようです。しかし娯楽は自ら楽しむもの,慰安は他人が与えるものとはっきりした区別をつけるべきではないでしょうか。娯楽は,もっぱら自分で行動したり,真剣に鑑賞するところに味わうことのできる楽しみだが慰安はあくまで受身の立場で,他人から与えられた演芸などを楽しむといった消極的なものです。したがって慰安には涙もの,母もの,または封建時代の義理人情の世界に引きいれるようなものがその大部分を占めています。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.