看護の潮 老人を考える
社会的にみた老人の座
那須 宗一
1
1中央大学文学部
pp.23-26
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913431
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はじめに
昭和42年の老人福祉週間は“みんなで明るい老後を”をスローガンにかかげ,実施目標としては“老人と若い人が家庭・職場・地域社会で話しあい,お互いの立場を理解し,尊敬しあって協力することにつとめよう”あるいは“健康に留意し,時代感覚を身につけて,話せる老人になるように心がけよう”といった項目がうたわれていた。
ところが,この老人週間が終わって間もないついさき頃,茨城県土浦市では夫を失った60歳の内科医が,高校教師をしている長男夫婦と同居の折合いが悪くて,ついに孫二人を道連れにして自殺している。この婦人のばあい,同居の予定でいた三男を交通事故でなくしてからは,他の子ども夫婦との対話が全くなくなって,専門職をもちながら時代感覚を身につけることもできずに悲劇的な殺人と自殺を犯してしまったようである。
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