看護学雑誌 31巻12号 (1967年11月)

看護の潮 現代医療の展開と看護

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人間主義

 医療の対象は病気でなくて人間であるということはもはや陳腐なスローガンになりさがった。

 しかしこのようなもっともらしいご託宣をふりかざしているだけで自然にいい医者やいい看護婦になれるほど世の中は甘くない。

 私たちはしばしば患者の「人間」に驚き,患者の「人間」を畏敬するのは事実であるけれども,同時に,しばしば患者の「人間」にやり切れなさを感じることも事実である。それを否定する人は偽善者に分類してもほぼ間違いがないであろう。

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各職種からナースへの注文

 司会(川上) 医療の一番原形というか,一番基本的な形は,医者対患者という形だろうと思います。これは原始的な医療でもそうだったし,現在の病院医療のなかでも,主治医というものが大切なんだろうと思うんです。しかし,医療技術が進歩してくると,一人の医者が全部やるということは,不可能です。そこで医療技術が進歩するに従って,一つ一つ職種がプロフェッショナルとして独立し分業化してきた。医師と患者という基本形ではなしに,医療チーム対患者,こういう関係になってくると思います。

 そうなるとパラメディカル・スタッフの人たちの間の関係は,今後ますます病院医療のなかで占める比重が高くなってくる。しかし,高くなってくるといっても,現実の医療のなかでは,一つ一つの職種の方が,自分の位置を確認して,しかも,チームを考えるという点でなかなかうまくいってない点が多い。

私の仕事とナースへの注文

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 私は学校を卒業してすぐ病院で働く栄養士を希望し,虎ノ門病院に実地修練生として6か月生活し,その後そのまま働くことになり,はや5年の歳月がすぎました。現在は治療食の献立作成にあたり,特別食各種と職員食を上司の記録を主体として一生懸命努力しております。この間,患者給食に関しては,医師からの指示にしたがって調整するのですから,ナースステーションとの連絡は最も密接なものであり,ナースとの連けいなしにはよいサービスはできないことを痛感します。

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衛生検査技師とは

 みなさんは衛生検査技師という職種をご存知ですか。「さあ?はい?」と一瞬返答にとまどうかたがたが多いことだろうと思います。しかし「検査技師は」といえば即座に病院の検査室で検査の仕事をしている人と答えてくださるでしょう。検査技師の正しい名称である衛生検査技師とはどんな職種であるか,以下にその概略を述べてみます。

 わが国において,衛生検査技師の先駆をなしたものは,陸海軍病院の病理試験室勤務者であるといわれます。その当時から長い間,軍関係以外の病院における臨床検査は,医師や医学生によって実施されていたのですが,医学の進歩にともない,医療内容も複雑になり,生体機能を判断するために科学的知識と技術が要求されてきました。昭和33年7月,多くの曲折を経て,衛生検査技師法が施行され,日本衛生検査技師会が誕生し今日に至っているのです。

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はじめに

 戦後大幅に強化改変された業務のうちに,看護婦の業務がある。現在では立派に体系づけられた社会の重要業務で,けっして安易なものでない。このきびしい仕事に対応するため,看護婦は広く研究を重ねなければならない。その一つに病歴という問題がある。そこで病歴整理順序と,医師,看護婦および病歴士の関係を述べて,多少なりとも看護婦の研究と業務の資としたい。

 病歴の起原は遠く「ヒポクラッテス」の昔からという人もあるが,信疑はともかく,医業が始まると,あとを追って病歴が必要となり,ついで看護記録も追加され,現在では,医師の書く記録と,看護婦の記録とあわせて病歴と見なされた。これを一堂に集めて,一貫した規定のもとに整理保管する病歴士が現われたのは,わが国では戦後のことで,欧米に比べると20〜30年ぐらいの立ち遅れがある。

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医療チームの新しいメンバーとして

 日本の医学は大変高い水準にあるが,一方医療はたち遅れているといわれてきた。それは,従来の医療が,健康障害の回復のために行なわれた技術ではあるが,障害そのものについてのみの治療に片寄り,人間の全機能ということをあまり考慮にいれていなかったからであろう。しかし,最近医療の新しい概念が生まれて「包括的または総合的な保障医療」が正しい医療の姿であるとされ,それは各種の専門職によるチーム・ワークで行なわれることが明確化された。このようななかで特に後退した機能の回復のために,また社会復帰のためのリハビリテーション医療に対する関心が高まってきたことは,医療を近代化する上にその意義は大きいと思う。

 医学的リハビリテーションは,予防医学・治療医学に次ぐ第3の医学で,障害者の身体的・精神的・社会的・職業的,あるいはさらに経済的な意味をも含めて可能な限り回復を図ることである,と定義されている。以上のことから一人の障害者の能力を最高度に発揮させるためには多くの人びとの協力が必要であり,これに関連する職種の集まりをリハビリテーションチームという。

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医学におけるX線の役割り

 昔,中国に一人の名医がいて,不治の病といわれる難病も的確な診断と適切な治療によりなおすことができたという古い話があります。彼がこのように正確な診断ができたのは,ある楓科の植物(ギバ)の葉があったからで,この葉を患者のからだに当てると,その部位の内臓を透して見ることができたということです。

 この話にある如く,臨床医学においては,人体内諸臓器を解剖することなく観察できたならば,患者に対する診断は正確無比なものとなり,ナポレオンの“不可能”という文字と同様に“誤診”という文字も辞書にはなかったと思われます。したがって医学にたずさわる人はもちろんのこと,一般の人びともこのような事柄が可能になることを願望すると同時に,この実現に努力してきたのですが,その願望への道標を発見した人がドイツの物理学者ウイルヘルム・コンラード・レントゲン(Wilhelm Konrad Roentgen)教授です。

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実現されない身分法

 一昨年から昨年にかけて,医療ソーシャルワーヵー(以下MSWerと略す)の身分法制定のための準備活動がかなり活発に行なわれた。厚生省内に非公式ではあるが,身分制度調査委員会もでき,私たちMSWerの長年の悲願もようやく達成されるかと期待された。

 中央医療制度調査会がMSWerの身分制度について検討すべきであると厚生大臣に答申を出してからすでに久しいし,同時に勧告をうけたOT・PT(作業療法士・理学療法士)は答申のでた翌々年(昭和40年)には,身分法が国会を通過している。今度はMSWerだという考えは,私たちにもつよかったし,これに対する厚生省側(公衆衛生局・保健所課)の受けとめのよさもあって委員会活動はなかなか活発であった。

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 “人間は社会的動物である”という有名な言葉がある。せんじつめれば,人間.たったひとりの力では何事もまっとうしえないのだぞということだ。世の中の機構が複雑多岐になればなるほど,そうなってくる。それと同時に,自分につながる数多くの人たちの存在をともすれば忘れがちになるのもまた道理であろう。

 いわゆるメディカルスタッフだけでもいまや30種を超えるという,いったい病院というひとつの機構をとどこおりなく運営するのに,どれだけの人手がかかっているのであろうか。

女の職場—バスガール
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 職業としての歴史は比較的新しく,昭和初期のころからと聞く。たとえばスチュワーデスなどが昨今の若い女性の瞳れの的であるように,車掌さんも当時華やかな女性の職業であった。小説の中に登場し,歌謡曲にうたいこまれてきた点では看護婦に劣らずポピュラーな存在であり,大衆的という意味ではさらに人々に親しまれていたのではなかろうか。義務教育終了程度の学力テストによって選考された後,基礎教育,実務訓練,教習とほぼ一カ月の研修を経て実務につく。接客マナーと,運転者とのチーム・ワークが仕事のポイントだという。肉体的にははたでみる以上に大変な仕事で,健康にはとくに気を使う。在職期間は平均3年,楽しみはと聞いたら「お休み!」というこたえが返ってきた。

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 栄養士は高等学校卆業後2年間の短大あるいは専門学校の養成期間を経て免許取得が認められる場合と国家の行なう資格認定試験に合格することにより認められる場合と2つの道がある。

 栄養ということが余り問題にされなかった昔はともかく科学が長足な進歩をとげている現在栄養士の活動分野は多種多様にわたっている。病院栄養士もその中の1つである。病院栄養士は朝・昼・夕の三食を扱うがゆえ朝早い勤務が一番大変である。

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 英国の“ゆりかごから墓場まで”ゆき届いた社会保障制度はあまねく知られているが その基礎ともなるべき厚生行政は充実したものである。ここにご紹介するDay Nursery(托児所・写真上)とDistrict Nurse(巡回看護婦・写真下)はその一端である。前者はとくに説明するまでもないが人種を問わずこん切なサービスが提供されている。また後者は在宅患者の看護を中心に地域の衛生管理に活躍する。保健婦とは別な領域でかなり熟練した看護婦がこの任にあたっているのだ。

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 “東京には空がない”とは余りに有名なセリフだがいまや空だけじゃない大気も水も土も草も都市からはあらゆるものが失われつつある。しかも都市に限らずより広い地域にもその魔手が伸びつつあるのだ。新たに“広域公害”と呼ばれるのがいわゆる高度成長期以後最近の公害の特徴という。

 バイジンや亜硫酸ガスによって汚濁した大気ブスブスとメタンを吐き出すドブ川殺人的騒音清掃マヒによって巨大なゴミためと化した都市は人間の生存を日々不断におびやかしているのだ。もはや“空がない”などと感傷にふれる余裕すらもない。ちなみに葛飾区では就寝中5人の者が繁殖するネズミどもにかまれ3人も入院した。現代は人間よりもネズミにとって住みよい社会になってしまっているらしいのだ。

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 稲岡さん資格は交換留学生,看護人としははじめてのことで,この9月に渡米し,1年間ニューヨーク大学看護学科で癌看護を学ぶ。アメリカではここ1年ほど前から交換留学生制度を廃止しているが,稲岡さんは当大学に現在留学生中の知人を通じて個人的に接渉し続けた。勤務(芹香院)の合い間をみて難関の英会話をものにしてしまったもちまえの努力が功を奏したわけだ。“将来のことは頭にない,ともかく目前の1年間フルに使って外の世界をみてきたい”と頼もし気に語られた。

医学と看護11月のテーマ

クモ膜下出血 祖父江 逸郎
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 クモ膜下出血は脳出血,脳塞栓,脳血栓などとともに脳卒中の中でも重要なものの一つである。血管の破綻によりクモ膜下腔に血液が流入することによっておこる一つの症候群で,頻度もけっして少なくない。レントゲン技術の最近の進歩とともにその病態が次第に明らかにされ,ことに脳動脈瘤との関係において注目されている。本稿ではクモ膜下出血の頻度,原因,診断,予後,治療などについて従来の知見を概括的に述べることにした。

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はじめに

 わが国の死亡者数の統計によれば,中枢神経系の血管損傷は死因順位の第1位をしめ,昭和26年には20.7%,昭和36年は22.4%,昭和40年は24.6%と年々増加の一途をたどっている。そのうちでくも膜下出血は比較的若年者にもみられる疾患で脳血管障害の中でもかなり特異的なものである。

 最近は脳血管撮影の進歩により,おもな原因である動脈瘤の診断も確立することができるようになり,外科的治療も可能となって,比較的佳良な経過をたどるようになってきた。くも膜下出血の発作をおこした時の症状はかなり激烈であり,患者の苦痛も著しく,経過中しばしば再発をおこしやすい。したがって臨床経過に対し看護上の影響が大きく,薬物治療と共に看護の重要性が求められる。ここでは看護の要点と注意すべき問題点を中心に述べてみる。

新連載 戦後看護史の断面を聞く・1

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 日本看護協会が戦後20年の歩みの第1部として協会史10年間を編み,いま会創立20年の祝典も華かに開かれんとしています。それに因んで本誌も,戦後看護史を多面的に掘りさげ先輩の軌跡をたどる若い次代の担い手たちの良き資料ともしていただく,看護界の先達たちの記憶と記録の連載を始めます。形式は思いきり自由に協会史の行間を埋める貴重な事象を可能な限り追求するものです。最初の登場者として前神奈川県立公衆衛生看護学院長で,協会発足後その多角的活動により看護界内外に著名な河村郁先生を,聞き手として長く厚生省で行政面から看護界にタッチされ,現在東京女子医大病院教育主事として看護教育に尽力されている小林富美栄先生をお願いしました。

連載 日本の医療を探る・8

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 開業医問題こそ,現在の医療の混乱を解く一つの鍵である。いま,開業医は医療の混迷の中で危機に直面している。

 戦後,国民皆保険,疾病の増加によって,医療機関を訪れる患者は増大した。しかし半面不思議なことに,患者の健康を守る開業医の生活の相対的低下がいちじるしく,開業医の健康や老後の保障が皆無であるといったことはどうしたことか。開業医はこの点について多くの不満をもっている。いわゆる医療費問題の根源の一つはここにある。

連載 率直なる自己・その2

専門的と人間的 松浦 美智子
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 前回のシドニーM.ジャラードの紹介を兼ねた論文に引続いて,今回は,ジャラードが“看護婦は誰に対して人間的な看護を与えることができるか”というテーマで論じた論文の紹介を兼ねながら,その内容を考察してみることにする。

ものがたり・日本の医学・事始・11

司馬凌海 しまね きよし
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■凌海の末娘,文子

 能楽の喜多流家元,喜多六平太は,明治28年に林文子と結婚した。六平太が22歳,文子が21歳であった。文子は江戸時代から続いた囲碁の家元林家の養女で,六平太と結婚したときは,方円社から三段を許されていた。方円社は明治12年に創立された囲碁界の公的機関である。それが改組されて,日本棋院となる。昭和25年に文子が75歳で死亡したとき,棋院はその生前の功を讃えて,七段位を贈った。

 文子は小さいときから変わった子どもであった。剛情で無口であった。親が教えることを,けっして覚えようとしなかった。小学校へ通うようになっても,その態度は変わらなかった。学校を無断で欠席し,どこかで時間をつぶし,夕方になって家に帰ってくることもしばしばであった。試験を知らずに,例のように,遊んでいると,病気ではないかと学校から連絡がきていた。母は文子にきびしい折檻を加えた。

Nursing Study

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看護とは,ある人間(病人であろうとなかろうと)に手助けをして,その人の健康を維持増進させあるいは健康へと回復させ,時には安らかな死に至らせてあげることに寄与する行為であり,こうしたことは,その本人が一定の強さと意志と知識を持っていれば,助けを必要としないはずのものである—V. ヘンダーソン—

 臨床面における生と死の問題は,私たち看護者に限りなく多くのものを与える。たとえその人が死に直面していない場合でも,非常に重症で両側に空洞があり,どの化学療法剤も耐性がついてしまった場合,あるいは肺手術を行なったのに反対側にシューブが起きて悪化した場合,不治の合併症を併発した場合,老人性結核で全快困難と思われる場合,あるいは真菌類の疾患に罹患した場合など,その患者さんが発する言葉の一つ一つは,私たち看護者をはっとさせ,その患者さんの質問の一つ一つは,私たち患者にその場限りの慰めや励ましを許さない。

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 毎日の看護のなかで,死をみつめ,死を考えている患者への接し方のむずかしさは,看護する者なら誰でも感じていることでしょう。一般論としては,このような患者の心理を知っていても,個々の患者のとる態度から,本当に患者が求めているものを理解すること,その上で少しでも患者の求め,苦しんでいることの解決への手助けをすることはむずかしいものである。

 この報告書を書かれた動機が重症結核患者の心理の研究と看護のあり方を探究することに置かれていると考え,非常に興味をもった。しかし読ませていただいて感じたことは,報告者が真に何を報告したいと思って書かれたのかという疑問が起こった。

英文トピックス・2

Symbol of Despair
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 日本でも,近年,保健や医療記事のためあ特別の頁をもうけた週刊誌が次第にふえつつありますが,海外の代表的な雑誌はかなり昔からほとんどこの種の頁をもっています。たとえばアメリカの週刊誌のTimeには“MEDICINE”の頁があって,かなり豊富な医療・保健関係のニュースを掲載していますし,Timeと並び称されるNewsweek誌は“SCIENCE AND SPACE”という頁で大量の保健・衛生に関する記事を読者に提供しています。

 社会の複雑化,医療の進歩と共に,この種のニュースにたいする読者の希望はますます増大しつつあります。そして最近のこれらの各雑誌の保健の頁に共通した最大の話題はいわゆる公害(Public nuisance)の問題でしょう。

スピーチリハビリテーション講座・2

難聴・脳性マヒ 神山 五郎 , 佃 一郎
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難聴

 ことばの障害者のなかに,耳が遠いために,あるいは耳が遠くなったためにことばが上手にいえないという人びとがいます。これらの人びとを「難聴」と呼んでいます。難聴のうちでもとくに程度の重い人を「ろう」と呼んでいますので,難聴というのは比較的軽い聴覚障害者という意味にも使います。

 私たちの耳の働きは他の感覚器官と比べますとかなり複雑な仕事をしております。たとえばピアノの鍵盤の88個の音の高低の聞きわけはできますし,また音が強いとか弱いとかの聞きくらべもできます。こうしたいろいろの働きを利用して,私たちはことばというものを学習していくわけです。そして学習したことばを使ってコミュニケーションを行ないます。ですから一口にいって,耳というのはいろいろな意味での心の窓口になるのです。難聴の人ではこの心の窓口がこわれていることになります。お役所の窓口業務に対する不平や不満がよくいわれております。能率の悪い,不親切な窓口ではインフォーメーションが歪んでしまったり,書類が消えてなくなることさえあります。難聴はちょうどこうした能率の悪い窓口と同じようなものです。ですから外から入ってきた音が歪んで聞えたり,音が小さくなったり,たとえ入ってきてもどんな音であるのか区別ができなかったりするのです。

脳のはなし・8

ことば(2) 千葉 康則
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〔8〕ことば──2

 人間はことばを持ったために他人との複雑な伝達が可能になり知識が集積され,意識や認識が発生し,思考能力を持つようになったことは,すでに述べた。これだけ考えると,人間はことばを持ったためにトクだけをしたように思われる。しかし,必ずしも,そうとばかりは言いきれない面もある。つまり,そこには,動物系と言語系のかかわりあいに複雑な関係が生まれ,それが必ずしも順調にかみあわないという問題が常におこってきた。

ナースのための臨床薬理・8

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 パーキンソン症候群には,脳炎,一酸化炭素中毒症の後遺症として起こるもの,はっきりと原因のわからぬもの,動脈硬化に伴うものなどがあるが,いずれも,筋肉の強剛muscle rigidity,手のふるえtremor,寡動性akinesiaを主症状とする慢性疾患である。

 患者は,これらの症状のために特有な容貌を示し,一見しただけでそれとわかる。姿勢は上体を前屈みにして,両手は肘で曲げ,手指は細かく震え,ことに指先は,丸薬をまるめるような,紙幣を数えるような震え方を示す。筋肉が硬いために,敏速な行動ができない。そのために,歩き方は極めて小股で,トボトボと歩く。字を書かせても,腕が自由にならないのと手指の震えのために,大きな字が書けず,小さい字で尻つぼみの書体となる。顔面の筋肉も硬く,表情は極めて乏しくマスク状で,特有なのは顔面が油ぎってみえる。患者の腕をとって曲げたり,伸ばしてみると,グーグーと抵抗を感じながら動く。筋肉の強剛のためである。

てんてき

患者の太陽 木村 功
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 職業病とでもいうのであろうか,テレビの仕事などをしていると,どういうわけか気管支などをやられる人が多いようである。たぶんスタジオのあまりきれいでない空気のせいなのであろう。私も元来,からだはあまり丈夫ではないのだが,2年ほど前にその方面の病気をして,2か月ほど入院したことがある。

 入院生活は,しかし,きらいではない。別に病気が好きだというわけではないが,俳優というものは,職業柄,年中人の群にとりまかれているので,たまの入院生活では,孤独な状態でいることができ,ホッとした安定した気分になれるからである。

医療プリズム

公害・明治百年 金子 嗣郎
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「鉱毒の根源を停止せず その河流を清めず 年々その毒甚大ならしめ 当局諸大臣は尚之れを見ざるがごとく 遂に人を殺して その悲惨の窮を訴うるに当り 秩序ある請願人に対し 地方官これを拒み 大臣これに面会を許さざる理由如何……(中略)これより志を改めて 政府であるからには如何にせば人民を救い得るか 如何にせば窮民を救い得るかという頭が出なければならない……」

Medical Topics

老人の正常値,他 RT
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 平均寿命が次第に高くなるとともに,老人の患者を扱うことも次第に多くなってきました。この場合には,いくつかの問題点がありますが,その一つとして老人の正常値の問題があります。病気の時には,診断の必要上,血球数.血清または血漿中の諸物質の測定などをよく行ないます。その際,これまで正常値として示されている値は,健康青壮年の平均値であり,この値を老人の場合にもそのまま適用し得るか否かが問題です。一般的に老人になると代謝の量的変化がおこることはよく知られているので,やはり老人としての正常値をきめることが必要となってきます。

 これまで老人の正常値がきまっていなかった理由について,2,3考えてみましょう。

クリニック・アイ

検査物集配係 木島 昻
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 つい先日,私は地域医師会・臨床検査センターの検査物集配係を1日だけ買って出た。運転は別に頼んで検査主任と私が同乗した。窓口で報告伝票を渡し,当日の検査物と伝票と使用注射筒をもらって,さらにそれと引きかえに新しい器具と注射筒を渡す仕事である。訪ねた医院は約40軒,走行距離約40キロ,中に30分の昼食をはさんで全所要4時間,真夏の日盛りですっかりくたびれてしまった。

ナースひとり世界を行く・8

イタリーの思い出 菅 和子
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/和を大切にする外国のナース/

 スイスも,10年前は日本と同じように看護婦不足をなげいていたという話を聞きました。どのようにしたところで,スイスの人口はそれほど多くないのですから,ずいぶんたいへんだったようです。しかし外国人を入れたり病院の数を整理したりして,今ではそんなに騒がなくてよくなったといっていました。

 日本でも,出生率がわかり,女性の労働人口がわかるのですから,不足,不足と声を大にして騒いだところでナースがぐるぐる病院から病院へたらい回しになっているだけで,絶対数が足りることはないと思うのです。看護婦不足は10年前からわかっていたことですし,紡績工場では,そのために大がかりな機械化が行なわれ,今日に至っていると聞きます。しかしナースだけはロボットではだめなんです。病院が多くなり,ますます深刻化する看護婦不足のために,インスタント・ナースの養成となると,やはり悲しい気持になります。あちらのペイが少し高いから,とふらふらトランクをさげて走り回るナースがいるとか,それを否定できない現状を見たり聞いて本当に困ったことだと思うです。

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ロスアンゼルス郡立病院:ペット数3千をほこる大病院であるが、それだけに管理の苦労がある

 クワキニ病院:ホノルルにある。アメリカでただ一つの日本人の建てた病院で、職員もほとんどが二世である。病院管理がゆきとどいている

グラフ ニュース・ハイライト

元GHQ看護課長ミス・オルト来日
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 1945年連合軍総司令部(GHQ)公衆衛生福祉部看護課長として来日,終戦直後のわが国看護界を指導し,看護制度改革の中心となったミス・オルト(Grace E. Alt)が,9月6日再び来日した。9月12日には東京厚生年金病院で,現在従事している“患者が地域社会へ復帰する間の看護”について講演。会場には厚生年金病院,日赤などのナース,看護学生約100名が熱心に耳をかたむけていた。

「白の青春」出版記念会開かれる
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 医療文芸集団(浜野創作会長・300人)か編集した5人の看護婦による手記「白の青春」は、今,職場で静かなブームをまき起こしているが,その出版記念会が9月22日夜,東京・渋谷の金属労働会館で開かれた。当日,会場には関係者,読者など100名近くの人が出席,劇団「稲の会」の長沢怜子さんによる作品朗読,執筆者の苦労談,読者の感想など活発な交流が行なわれた。

グラフ 看護の跡をたずねて・6

香港難民街と診療車 石原 明
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 ホンコンとひと口にいっても,本当は九竜半島と香港島に分かれ,香港側にヴィクトリア・シティ,九竜側にカオルン・シティと二つの大都市があって,人口の大部分はこの都会に密集している。

 第二次大戦後,ことに1949年に中国本土が毛沢東を主席とする人民共和国となってから住みよい香港をめざして,各地から難民の大群が香港におしよせた。その数は正確にはわからないが200万人をこえるという。ことに数年前の大凶作の時には食糧を求めて国境を突破し,カオルン・シティに流れこんだ数はおびただしい。大戦終了の当時約60万人といわれた香港の総人口は約20年間におよそ6倍にもふえている。これらの難民たちに住居と生業と食糧をいかに与えるかが当面の問題である。

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予防注射泣かずに受くる子となれど母より友を求めてやまず

 〔評〕子が成長するのはうれしいがいつの日かは親の心を離れてしまう。それが人生ではあるが,あわれが深い。

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伊豆

くろぐろそびえ立つ 断崖の頂で赤い月はやつれて ひとり真昼が揺りすてたブランコにのっていた

風は車の両わきを歌いながら駆け去りあるものは欠けた心の窪みにかくれおどけた口笛を吹き鳴らしたりした

付録

看護手順 麻酔科/歯科
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ぺインクリニック

基本情報

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看護学雑誌
31巻12号 (1967年11月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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