看護の潮 老人を考える
老人の日常生活
入浴・入浴の長所と短所を理解して
有馬 寅之助
1
1大阪市立弘済院付属病院理学診療科
pp.49-51
発行日 1967年12月1日
Published Date 1967/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913438
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日本人の風呂好きは世界的に有名であるが,また同時に入浴が熱い湯に頸までつかる高温全身浴の形で行なわれることを特徴としている。この入浴形式が,浴中・浴後の脳卒中発作と密接に関連することは一般に認められており,高度の高血圧患者の入浴については危険視されている。一方,高血圧症,脳卒中後遺症患者に対する泉浴による治療の研究が全国的に推進せられて,その有効性が確認されている。しかし,この研究は主として泉浴によるものであり,一般の淡水温浴に関しての研究は少なく,疾患老人に対する入浴の指導は未だ個々の医師・看護婦の判断にゆだねられているのが現状であろう。
入浴が,日本人の生活の中で,食事,睡眠などと同じく,最も生活に密着したものの一つである以上,疾患老人の入浴に関する,より的確な管理規準を設定することは,きわめて重要な臨床的課題の一つであるといえよう。
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