看護学雑誌 29巻5号 (1965年5月)

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 医療費上昇,ナース不足はアメリカでも共通する悩みです。PPC(Element of Progressive Patient Care)はそこを解決するものとして生れたといわれますが,早晩わが国でも取りくまれる課題でしょう。いったい看護の視点としてはこれをどう捉えればよいのか。そのアウトラインと問題点を,親しく見聞してこられたお二人に話しあっていただきました。

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はじめに

 最近,医学の進歩に伴い病院における業務の複雑化とともに,ますます高度の看護能力が要求されるようになってきた。

 しかし,現状に目を移すとき人員不足は日増しに深刻化してきており,限られた看護要員で効果的な患者中心の看護を行なうには,どうすれば良いかという問題は,私どもの最も苦慮するところである。

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 赤道下,ガボン共和国のランバレネにあってシュワィツァー病院を主宰しているシュワィツァー博士はこの1月14日で90歳の誕生日を迎えた。90歳という高齢にもかかわらず,今なおかくしゃくとして日常の診療に従事している。この世紀の偉人ともいうべきシュワィツァー博士のもとには,日本から赴いた高橋功博士夫妻が奉仕している。

 高橋博士からの来信によると,シュワィツァー博士90歳の誕生記念日はランバレネをあげての祝賀会気分であった。高橋博士の来信の一節を次に引用する。

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 東京都下清瀬町にある国立療養所東京病院の「なかよし保育園」は,わが子のため自力でナースがつくったと朝日新聞に明かるい話題として取りあげられた。昨年4月,職員組合の力で誕生したが、国も自治体からの補助もない。1年たって子どもたちの数はどんどん増加していく。患者を放って退職できない母親ナースの看護職をつらぬく意志が,増大する看護婦不足のわずかなささえとなっているのに“保育所づくり”の実態はきびしい。

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 社会の各領域にオートメ化の傾向があります.人手不足を機械で補うというだけでなくて,人間本来のより高次の能力を,自由に発揮させようとするものです.ここに紹介するオート・ナースもその試みの一つです.

 入院患者の検温検脈は恒例の行事のようになった毎日の看護業務ですが,離れた病棟で病床数の多い場合などは一日数回のそれは時間的にも労力の点からも実際には大きな負担となっています.数百床の検温検脈がたった1人で,しかも坐ったままで,一斉に短時間で出来るとしたら看護内容がどんなにか大きく向上することでしょう.東京の順天堂大学内科と三菱電機の共同研究によりこの装置を開発し,はじめて試用してみました.

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 病室は花柄のプリントカーテンやブルーと縞のスプレッド,紺のユニフォームの看護婦,紺と白縞の学生,白一色の日本とはかなり違う雰囲気.一隅に造られた暖炉の前で編物や読書をする患者は家庭にいると同じである.食事にもシスターは手厚い心配りを行なっているイギリスの看護の姿であった.

看護心理研究

看護とは 季羽 倭文子
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 看護概念の確立は看護者最大の課題として.長年多くの人びとにより研究されている問題であるが,看護心理研究会では看護とは,“看護関係の発展をはかり人間(患者および健康人)の生命力をのばすことである”という考えに立って研究をすすめている。それでは生命力をのばすとはどのような事か,看護関係の発展とはどのようなものをいうのか。

 Ⅰ 疾病に関する患者のimageと看護者の役割

連載 看護の思想

宗教としての看護 青木 茂
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〈宗教としての看護〉とは何か

 1)ここで宗教のくわしい定義はできないが一般に人間が超人間的な力をみとめて,これに対する畏敬あるいは信頼感に基づいて行なう礼拝や儀式,そのばあいの人間的感情を宗教と呼ぼう。

 このような宗教は原始人の世界観の中に根ざした深い自然への恐怖や驚異,それを表現した各種の民族神話を以てはじまり,現代におけるいわゆる「高等宗教」にまでおよんでいる人間の最も本質的な行為の一つである。しかも宗教は人間と人間との交わり(コイノニア,コムュニケーション)を離れてはあり得ないから,人間関係の基礎を形成するきわめて重要な原理となる。

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 だれがきっかけかは判然としない。しかし私自身きっかけの一人であることは確からしいが,看護業務の分析活動がさかんにとりあげられるようになり,しかもその方法をワーク・サンプリングにとられる方がずいぶんとでてきた。しかし,中にはとんでもない思いちがいをしている人もあるらしいし,少しくらい講義をしたのでは,何ともあいまいなので,誌上をかりて,その共通な疑問とすすめ方の注意,まとめ方をとりあげてみたいと考えた。以下はその要点についての解説である。

 問:ワーク・サンプリングとタイム・スタディとでは,どこがどのようにちがうのだろうか。

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はじめに

 患者が入院し,やがて退院して行くということは,ナースにとって日常茶飯の出来ごとであり,いとも事務的にことを片づけている。その平凡な事実を私どもは別な角度からもう1度見直す必要がある。古くは患者を個の物質の魂と見倣す傾向があったがPsychosomatic me—dicineの発達した今日では,入院という新しい体験に対し,病気に対する不安,ホームシック,経済的な心配,恐怖等を感じている。

 とくに,私どもが取り扱っている小児の立場から入院という大きな事件を考えてみよう。

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I.研究の動機と目的

 当院における過去5年間の先天性股関節脱臼(以下LCCと略)の受診,治療状況を見ると.治療の放置,不明というものが平均して9割位認められる(第1図),これは治療を中断したり,治療法を怠ったり,転医したものを示すが,外来でのナースによる指導が行なわれていたならばある程度防ぐことができたのではないかと思う。私たちは整形外来実習でLCCのギプス固定患者の多いのに驚きまた小児科外来では,「どうも歩き方が変ですので」と訪ずれるお母さんの多いのに直面した。肢体不自由を来す疾患のうちでLCCは1割強を占めるものであり,早期に発見し治療を行なえば完全に治るものである。またギプス固定をした患者は1ヵ月に1回巻き換えに来院するが,いろいろとわからないことを解決する機会に恵まれていない。

 以上のような問題点から,お母さんたちにLCCについての基礎的知識を与え,ギプス装用時の注意およびしつけの仕方などについて指導することにより治癒の促進を図ることを目的として研究を進めていきました。

看護・臨床検査

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臨床検査の中央化とは

 数年まえまでは,臨床検査の種類もまだ少なく,大部分の検査は医師が自分で行なっていた。しかし臨床検査の種類が非常にふえ,しかも熟練を要する検査の多くなった今日では,医師かそれらの検査を全部自分で行なうのは到底不可能であるし,またその余裕もなくなった。結局これらの臨床検査は,それを専門に行なう技術員に委せさるを得なくなり,またその方が能率的,経済的であるというので,どの病院にも中央検査室が作られるようになった。そしてそれまで診療各科の外来や病棟で行なわれていた臨床検査が,中央検査室で行なわれるようになった。

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 4月号では,酸素療法の基礎となる酸素ボンベの取りあつかい方,中央配管による酸素の使用法の解説をしたが,引きつづきそれに接続して用いる2,3の器具取りあつかい操作にふれてみよう。

看護・物理

重心 倉田 正一
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○重心とそのはたらき

 重力は物体のあらゆる部分に働くけれども,各物体は全質量の中心となる点を持っていると考えることができる。この点が重心である。もし物体がこの点で支えられるとすれば物体の位置がどうあろうと重心は変らない。形の簡単に一様な材料から成る物体の重心は容易に求められる。たとえば30cm物差しの重心は端から15cmのところの垂直面と物差しの中心を通る水平線との交点にあることはすぐ分る。図1のような三角形の板を考えた場合にはその重心はどこにあるだろうか,底辺BCに平行な多くの直線で三角形を分けてみると,各部分の重心はその中点にあることは物差しの場合と同様である。

看護・食事療法

病人の食物 宮川 哲子
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病人の食物

 食事療法とは,食物の調節によって直接疾病を予防したり,治療してゆくこと,またはその疾病にさわらないように病人の全身栄養を全うすることを目的として,それにかなうような材料を選び,調理して薬物療法あるいは理学的療法と相まって治療にあたることです。この治療食を実施するにあたっては,1)病理をよく知り,2)対症の食品を撰択し,3)疾病によっては偏食をしないように留意し,4)患者の嗜好を考慮して充分な栄養を考え,5)消化のよいものを与えるよう,6)調理の工夫をすることにあります。

精神身体医学講座・13

心身症の看護(2) 前田 重治
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1.看護面接の方法

 医師が病気の診断や治療の目的で患者と面接するさいの状況については,すでにのべてきました。看護婦のばあいには,とくに改まった面接というわけではなく,病室のベットのそばや,娯楽室,作業室などで,そのつど話し合う形をとります。ときには身体的な介助や体温測定のあいまに,ときには患者同志のトラブルがおこって病室に出かけたり,患者が自発的に相談にくるという形で行なわれることもあります。患者もとくに面接をうけているという印象をうけることはなく,自然な会話の形ですすむもので,時間もとくに限られていません。

 これらの会話の間に,看護上必要な患者の心身の状態をつかみ,医師の治療方針にもとづいて計面された看護方針にそうように透導しなくてはならないわけですから,考えてみるとかなりむづかしい仕事だといえましょう。

医学講座

輸血の適応と副作用 高橋 隆一
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1.はじめに

 現在種々の疾患の際に広く輸血が行なわれています。しかし,鉄欠乏性貧血に対する鉄,悪性貧血に対するビタミンB12のように,再生不良性貧血,白血病に対する特効薬があらわれたり,各種の凝固因子の合成が可能になれば,輸血の適応はほとんどなくなることでしょう。

 それが困難な現在では,やはり輸血にたよる以外に方法はないようです。現在輸血が過度に行なわれている傾向があり,近年種々の副作用が問題となっていますのでここにあらためて,いかなる時に輸血を行なうべきか,いかなる副作用があり,その予防,治療をいかにするべきかをまとめて考えてみたいと思います。

統計

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 分娩ならびに妊娠,分娩および産褥の合併症による母体の死亡を簡単に母性死亡と呼んでいる。わが国の母性死亡は年々減少し,昭和38年には1701件,出産(出生+死産)10万に対し92件の割で母性死亡が発生した。国際比較も出産対の率で行なうのが好ましいが,死産の扱いが国によりまちまちであるので,出生対の母性死亡率で日本と諸外国とくらべたのが上図である。日本でも減少しているとはいえ,その速度はアメリカなどより遅いし,率もまだ相当に高い。また,1960年について母性死亡の内容をみると,日本では産褥熱や流産後の死亡はアメリカなどとトントンであるが,妊娠中毒症,出血,「その他」のなかの子宮外妊娠などは目立って高率である。これらは,日本では,病院,診療所での出産がまだ少ないことや,妊娠中絶が多いことに起因しているのではないかと思われる。

看護婦さんへの手紙

感想 吉野 源三郎
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 自分のことから話しはじめるのは恐縮だが,私は文学部の出身で,大学を出てから学校の先生をやったり,本屋の編集部につとめたりして,いつのまにか年をとってしまった。いまでは別にそのことを後悔はしていないけれど,若いころには,もっとほかの専門を学んでおけばよかったのに——と考えたことが,なんどかあった。

 文学や哲学を勉強することは,きらいではなかったし,自分ひとりの楽しみとしてなら,それはそれで結構楽しくやってゆけるものである。むろんこれが仕事となると,その道の専門家としてやるまでには並みなみでない修業がいるけれど,ただそれだけの苦労なら,職業野球の選手だってやっていることで,なにごとによらず,避けることのできない段階で,不平のいえることではない。

この道

心の大らかな人びと 大嶽 康子
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 部屋の入口にノックの音がすると,それまでどんなに深い眠りにおちていても,まるで頭をなぐられでもしたように目を覚し,機械のように身仕度をととのえ,つぎの瞬間には入口にそろえておいた洗面器をもって靴をつっかけ,今一度白衣のボタンをたしかめながら病室へ急ぐ。

 2年生が一通り病室へ出た頃を見すまして3年生の明番者の部屋がノックされる。病室へいった2年生は3年生のくるまでに,すずりと筆を洗い,その日の勤務者の氏名を書く板をはずして雑巾でふき,3年生の座る机の前にそろえ,墨をすっておく。ついで患者の朝食の茶の用意のため,大やくわんの中の茶袋をとり出して洗い,湯沸器の腹にはりつける。そうすると袋は間もなくきれいに乾いてしまうからだ。やがて3年生がねむそうな顔をして出てくると,申送りが始まる。美しい筆跡で和紙に書かれた病棟日誌を宵番者が読み上げ,体温表控で一人一人の患者の容態が申送られる間も,2年生は,これから朝までにしなければならない仕事の順序を頭の中で何べんも考え,落度のないように,そして無駄なく,早くする方法を考える。それは運動会の仕度競争にも似ている。

ポイント

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 今年になって私は,アメリカの恩師友人から新しい看護教本を数冊,誕生日の贈物としていただいた。忙がしい整備されない雑用においまくられながら,その余暇をぬって,看護業務が確立され,なお前進をつづけている国の教本を手にする機会にめぐまれたそのひとときは夢の看護の国への逃避であり,3年間の海外生活をつうじて知った。アメリカ看護への追憶の時間ででもあった。

 30〜40年かかって,地道な研究と努力と先駆者のイバラの道を経て生れでたこれらの教本は,看護が生活の中より生れ,生活の中にとけこみ,最善の生活の方法が看護をつみ上げ,改善されながら今日にいたったものである。その看護のあり方は,国民生活の中に溶けこんでいるが,さらにとけこんでゆこうとする国民一丸となっての,高度な人間生活向上の大運動を含む基準の高いものだ。

患者とともに

前向きの問題意識を 小林 富美栄
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〈外人の目にうつった日本のある病院〉

 「日本の○○病院に入院した友達を見舞って,私はその病院の不潔さにまず,びっくりさせられました。友達の同室の患者のベットのまわりには,その患者の私物がいろいろと置かれていて,まるで,この病室に永住するのではないかしら,とさえ思えました。そして,時々,あの満員電車の中で体験するような不快臭が,この清潔であるべき病室に,ただよってくる。……にいたっては,いささかあきれてしまいました。

 私は,あなたに一つ,伺ってみたいと思います。この病院にも専門家である医師や看護婦がたくさんいるはずなのに,彼らはこうした事柄について,本気で考えているように私には見えないのです。なぜでしょう。

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 韓国の看護の指導のため,アメリカから招かれ,大邸病院で約1年看護顧問をしてきたマリーエ・ウーダースさん(Marie A.Wooders)が,帰国の途中日本に立ち寄った。

 ウーダースさんは,デトロイト市立レシービング(Receiving)病院で総婦長をしていたベテランナース65歳ときいてびっくりしたが,バラ色のような美しい頬いっぱいに笑みを浮かべ,気さくに本誌のインタビューに応じてくれた。

連載 新・ナイチンゲール伝・14

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 だがとうとう,ハーバートの精根が尽きはて,気力の絶えるときがやって来ました。万事休す。軍務省の改革はできないのだという動かしがたい事実が,確認される時が来たようです。ナイチンゲールにとって恐ろしい瞬間が近づいたのです。

 彼は,自分が失敗者であり敗残者であることを,彼女の前で告げなくてはならなくなりました。

続・看護英語あ・ら・かると

INTERN AND RESIDENCY TRAINING 赤松 隆
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 米国でのinternやresidency制度は,病院の機構が,私どものとは異っているので,これは直接nursingには関係ありませんが,実際の病院内の仕事の面で理解を必要とすると思いますので説明を致したいと思います。

 普通米国では,医学部を卒業すると,国家試験を受験する前に,internshipをとるわけですが,これは米国医師会(A.M.A.)の認可を受けた総合病院でのみとることができます。1年間のinternshipを終ったのち,国家試験を受け,ついで専門医になるためのtrainingに入りますが,これをresidency trainingといい,各科によりtrainingの期間は異りまして,2年から5年位の期間,trainingを受け,その後定められた期間,それぞれの科目の臨床医として病院勤務を行ない,経験をつんだ後に専門医のための試験を受けます。これに合格すると,開業した場合,あるいは病院にfull timeに勤務する場合も,収入が一般医(general practitioner)より高くなります。

医療の焦点

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 日本では,ここ3,4年来,医療費問題が医療の中心議題になっている。病院,診療所の経営が苦しいとか,国民の負担が大きいとか.いわゆる“身につまされる問題”が焦点になっている。だが,見方をちょっとかえると,こういった問題に目を奪われ,労力をさき,血道をあげている間に,ほんとうは,もっともっと前進しなければならない医療面が停滞したままになつているように思える。10年1日のように総合病院でカゼや腹痛の患者をさばいているだけが医療の本来の姿ではなくもっと医学の進歩に応じた医療の体制がたてられなければならないと思う。

 たとえば,スエーデンの病院をみると,単に数字の上からみただけでも,全病床のうち約30%が精神病棟,約40%がリハビリテーション用のベッド,総台病院が約20%,慢性疾患用ベッドが約6%となっている。

Medical Topics

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 クロラムフェニコールは,グラム陰性菌による腸管感染症,胆道感染症,呼吸器感染症,尿路感染症,さらにリケッチヤ疾患,オーム病等によく使用されている重要な抗生物質の一つです。しかし,これが貧血の中でもなおりにくいとされている再生不良性貧血をひきおこすことが明らかになり,その数もしだいに増加しているために問題になってきています。始めての報告は,すでに1948年に出ていますが,欧米では報告例のみでも数百例であるとされています。そのため欧米では,クロラムフェニコールの使用には充分の注意を要することが,常識とされています。しかし,わが国ではこれまで報告例が少なかったためか欧米程神経質ではないようです。最近次第にその報告例も増加していますので注意をうながすためにも述べてみたいと思います。

 欧米の報告をみますと薬物による再生不良性貧血の原因で,最も多いのがクロラムフェニコールによるものです。クロラムフェニコール使用例のどれ位におこるかは使用総数が明らかでないので,なかなか判りませんが,ある報告によると15乃至20万例に1例とされています。一般的に大量をしかも長期間使用した場合に多いようですが,1日1g2週間位の使用でもおこっている例があり,うっかりできません。

歴史の女性

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進歩的な教育観のもとに

 今日の教育界は,女教師の占める位置がいちじるしく向上した。そして男子教員と同じような待遇と権利を持つようになったばかりか,みづから大学を経営する女学長も幾人か出現している。そして人間としての確たる主体性を持つた女教師のめざましい活動を,数多く見ることができる時代となった。

 このような現代的時点に立って,近代日本の生んだ津田梅子(1864〜1933)をその時代において見ると,女子高等教育の開拓者,女流教育者として,その先見の明と,国際的な巾の広さにおいて,彼女はやはり,すぐれた「女傑」の一人であったといえよう。

文学

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状況説明不十分な「砂の女」

 映画「砂の女」がコンクールで多くの賞を獲得した。その映画はまだ見ていないのでなんとも言えないがさぞ風変わりな作品だったろうと思う。その原作である,安部公房の小説の方は読んだ。不思議な作品である。一体に,この作家は,奇抜な着想に基づいた作品を書く。だから,小説「砂の女」だけが風変わりなのではなくて,こうした特徴は,処女作から一貫したものなのである。

 しかし,率直に言って,「砂の女」は,それほどおもしろいとは言えない。安部公房のような作家の作品に現実的なものさしを当てて,それをどうこう批判するのは的はずれと言えないまでも,適切な評価の仕方とは言えないかも知れないが,それでも,納得の行かないものは,やはりおかしいのである。この作品では,ある男が,昆虫採集の途中で砂丘の中のくぼみに落ち,ついにそこから脱出できなくなり,さまざまの試みも無駄になるという部分が大きなスペースを占めているわけだが,その砂のくぼみから,男が脱出できないという状況設定が,どうも説明不十分のような気がする。それはそれで約束事だからとしても,その砂丘に住んでいる人たちが一体,なぜそのように不毛の土地に執着するのかがまるで理解が行かない。もう一歩ゆずって,そのような生活が現実にあったとしても,その生活の必然性が作品の上で納得が行かなければ,その作品は成功したとは言えない。

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児の写真に語らいかけて眠ることも習慣となりて吾れ進級す

〔評〕母なる勤労学生。しかも子と離れて生きるのもきびしい社会の宿命であろうか。素直な表現のうちに感動を秘めている。

付録

看護手順 眼科
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結膜下注射

包帯法

基本情報

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看護学雑誌
29巻5号 (1965年5月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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