統計
母性死亡の国際くらべ
西 真楠
1
1厚生省統計調査部
pp.1
発行日 1965年5月1日
Published Date 1965/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913575
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分娩ならびに妊娠,分娩および産褥の合併症による母体の死亡を簡単に母性死亡と呼んでいる。わが国の母性死亡は年々減少し,昭和38年には1701件,出産(出生+死産)10万に対し92件の割で母性死亡が発生した。国際比較も出産対の率で行なうのが好ましいが,死産の扱いが国によりまちまちであるので,出生対の母性死亡率で日本と諸外国とくらべたのが上図である。日本でも減少しているとはいえ,その速度はアメリカなどより遅いし,率もまだ相当に高い。また,1960年について母性死亡の内容をみると,日本では産褥熱や流産後の死亡はアメリカなどとトントンであるが,妊娠中毒症,出血,「その他」のなかの子宮外妊娠などは目立って高率である。これらは,日本では,病院,診療所での出産がまだ少ないことや,妊娠中絶が多いことに起因しているのではないかと思われる。
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