Medical Topics
クロラムフェニコールによる貧血,他
R.T.
pp.92-93
発行日 1965年5月1日
Published Date 1965/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661913599
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クロラムフェニコールは,グラム陰性菌による腸管感染症,胆道感染症,呼吸器感染症,尿路感染症,さらにリケッチヤ疾患,オーム病等によく使用されている重要な抗生物質の一つです。しかし,これが貧血の中でもなおりにくいとされている再生不良性貧血をひきおこすことが明らかになり,その数もしだいに増加しているために問題になってきています。始めての報告は,すでに1948年に出ていますが,欧米では報告例のみでも数百例であるとされています。そのため欧米では,クロラムフェニコールの使用には充分の注意を要することが,常識とされています。しかし,わが国ではこれまで報告例が少なかったためか欧米程神経質ではないようです。最近次第にその報告例も増加していますので注意をうながすためにも述べてみたいと思います。
欧米の報告をみますと薬物による再生不良性貧血の原因で,最も多いのがクロラムフェニコールによるものです。クロラムフェニコール使用例のどれ位におこるかは使用総数が明らかでないので,なかなか判りませんが,ある報告によると15乃至20万例に1例とされています。一般的に大量をしかも長期間使用した場合に多いようですが,1日1g2週間位の使用でもおこっている例があり,うっかりできません。
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