総合リハビリテーション 46巻9号 (2018年9月)

特集 リハビリテーションとグループ療法

今月のハイライト
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 リハビリテーションの主流は,入院や外来患者に対し個別に行われるものである.一方で,患者の社会的技術の向上や居場所の確保,家族教育を行うためには集団療法が有効と思われるが,リハビリテーションの分野では,その経験の蓄積が不十分である.本特集では,さまざまな分野で集団療法を実践されている専門家に,集団療法の実践の紹介と各分野の課題を解説していただいた.

脳卒中 山川 百合子
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はじめに

 リハビリテーションのグループ療法の究極の目的は心を動かすことである.脳卒中の場合,中途障害がほとんどで,そう簡単に心を動かしたり,心を開くことはできない.グループ療法でいきなり自分の気持ちをみんなの前でお話ししましょう,ということではうまくいかない.それよりもまずは「自分の日常生活をどう営んでいくか」をメインテーマとして生活に視点をあてて,そのなかで次第に自らが語る心情を支えていくことが重要と考えられる.本稿では回復期リハビリテーション病棟の中でのリエゾン活動をしている精神科医として,最も多い病態である脳卒中に関してのグループ療法について実践例を挙げて解説する.

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はじめに

 パーキンソン病(Parkinson's disease;PD)は中脳黒質緻密部のドーパミン神経細胞の変性を主体とする緩徐進行性の疾患である.わが国のPD患者数は,2014年の厚生労働省の患者調査によると16万3千人と報告されている1).パーキンソン病の発症年齢は50〜65歳に多く,また高齢になるほど発病率が増加するため2),人口構成の高齢化が確実視されているわが国においては今後もパーキンソン病患者数は増加していくことが予想される.

 疾患由来の症状としては,四大症状(安静時振戦,無動,筋強剛,姿勢反射障害3))に代表される運動症状と,認知機能障害や抑うつ,疲労などに代表される非運動症状4)と多岐にわたる.PD患者は疾患の進行に伴い二次的な機能障害も発生し,日常生活活動や社会参加が障害されうる.PD患者の平均余命は健常高齢者と大きな差がない5)ことも報告されており,長期にわたる療養生活を強いられる可能性が高い.

 PDに対する根治的治療法は現在のところ存在しない.PD患者の健康状態や生活の質(quality of life;QOL)を維持・改善するためには投薬治療とともに,運動療法などのリハビリテーションを併用することが重要となる.PD患者に対する運動療法の有効性については,日本神経学会の「パーキンソン病治療ガイドライン2011」6)において,身体機能,健康関連QOL,筋力,バランス,歩行速度の改善に有効であるとされており,強く推奨されている.近年,軽度から中等度の重症度のPD患者に対して多職種による集中的な入院リハビリテーションを年に1回,1か月間程度実施することにより,運動機能や日常生活活動が改善し,抗PD薬の内服量が抑制されることが報告されている7).在宅で暮らすPD患者は入院リハビリテーションを行うことに対し抵抗を感じることもあり,外来リハビリテーションの担う役割は大きいと考えられる.しかし,PD患者が外来リハビリテーションにおいて運動療法などを実施できる環境は現在十分に整備されていない.PD患者に対する外来リハビリテーションは個別リハビリテーションのみで対応されている場合が多く,どのような形態で提供するのが望ましいかについても明らかではない.

 本稿では,筆者らが西大和リハビリテーション病院(以下,当院)でPD患者に対して実施している集団運動療法を併用した外来リハビリテーションプログラムについて紹介する.

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はじめに

 グループ療法とは,1対1の個別療法とは異なり,集団を対象として行われる療法であり,高次脳機能障害者を対象としたグループ療法も数多くの取り組みが報告されている.以下,高次脳機能障害を対象としたグループ療法について,これまでに報告されたエビデンスと,海外での実践例,わが国での実践例について報告する.

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はじめに

 発達障害の主要な疾患である自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder;ASD)と注意欠如多動症(attention deficit/hyperactivity disorder;ADHD)は,以前は児童,思春期の問題であると認識されていたが,近年では,成人期の当事者に対する治療の必要性が急速に深まりつつある.わが国では,ASDが先行してクローズアップされたが,有病率の高いADHDに対する支援の必要性も提唱されている.

 ASDに対する治療において薬物療法は,中核的な症状に対しての有効な薬剤は開発されておらず,薬物療法は,精神症状のために生活機能が大きく障害されている時期に対症療法として用いられるにとどまり1)心理社会的治療が重要である.2013年に実施した成人発達障害支援のニーズ調査において,烏山病院に通院している成人ASD当事者(212名)から得られた回答からは,「対人関係の維持・構築(66.3%)」,「コミュニケーション技術の習得(64.7%)」において,当事者からの高いニーズが示され2),心理社会的支援の必要性が認められた.近年では,ASDに特化した治療的な取り組みを実施する機関が増え,さらに,2018年度より40歳未満の患者に対して精神科小規模ショートケアを実施した場合,疾患別等専門プログラム加算が認められるよう診療報酬が改定されたことは,さらに社会的なニードとして認知されてきたことの反映である.

 ADHDについても,薬物療法が選択できるものの,あくまでも特性をコントロールして日常生活や仕事での支障を軽減するための一助となるものであり,投薬だけですべてを解決できるものではない.成人期のADHDに関するガイドラインでは構造化された実行スキルを高め,併存しやすい不安や抑うつに対処するための心理社会的治療を導入することで機能障害の改善を図ることが推奨されているが3),ADHDに対する心理社会的な治療は普及していない.

 このようにASD,ADHDともに心理社会的治療の重要性,必要性の認識の高まりに合わせ,昭和大学附属烏山病院(以下,当院)では2008年よりASDを中心とした発達障害専門外来・デイケアを開設し,さらに2013年よりADHD専門外来の開設と同時にADHD専門集団プログラム(専門プログラム)を実施している.よって,本稿では,当院の臨床経験を紹介しながら,専門プログラムの概要とその効果,集団療法の意義,今後の課題について概説する.

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はじめに

 全国の65歳以上の高齢者を対象とした認知症人口の推定値は2012年で15.0%に達し,65歳以上の7人に1人が認知症を有しているとされ,2025年には5人に1人になると推計されている1).急速な高齢者人口の増加に伴い,認知症高齢者の人口も増加し続けており,医療・介護の現場では深刻な社会問題となっている.

 このような実情のなか,「暴言・興奮・抑うつ・物盗られ妄想」などの認知症の行動・心理症候(behavioral and psychological symptoms of dementia;BPSD)の発生が,認知症高齢者自身やその介護者に多くの弊害をもたらしている.先行研究によれば,1事例において平均6種類近くのBPSDが存在し,BPSDが1種類しかない事例は,わずかに全体の8%のみであり,認知症高齢者のBPSDは複数の症状が重複して現れる実態を反映している報告もある2).また,BPSDは認知症の進行や死亡に影響を及ぼし3),家族の介護負担の原因となり4,5),早期の施設入所や入所日数を長期化させていることが指摘されている.

 BPSDへの対応や治療法として,『認知症疾患診療ガイドライン2017』6)においては治療の第1選択は非薬物療法であるとしている.また,認知症に対する非薬物療法の効果を支持するエビデンスが高まっているとしており,非薬物療法の代表例として「レクリエーション療法,音楽療法,回想法,認知刺激」といったアプローチ方法を挙げている.

 具体的なアプローチ方法だけでなく,介入時に個別的な形態で実施するか,集団形態で実施するかによってもさまざまなエビデンスが散見されている.

 老人保健施設古都の森(以下,当施設)では主に集団形態での介入を中心に行っている.集団形態で行うことの効果や実際の取り組みを紹介しながら概説する.

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 リハビリテーションは治療です.少なくとも私はそう確信しています.昨今,リハビリテーション治療による身体にもたらされる効果は多々判明してきています.また,実際にリハビリテーション治療に対する期待や需要は,ますます増加していると実感しています.

 治療の原理原則は,① 早期診断,早期加療です.これについては異を唱える者はいないと思います.また,② 治療に使用する薬剤であれば投与量に比例し効果が増強します.③ 同時に薬剤の力価や種類による強度に比例し効果は強く発現します.さらに必ず,④ 危険性や副作用があります.薬剤を投与する際には,効果が最大限に発揮され,かつ副作用が最小限になる容量が,一番効果が高くなります.しかし,投与量が過少であったり,そもそも薬剤の選択違いがあれば,⑤ 期待された効果は得られません.この治療における原理原則に対しても異論はないと思います.

入門講座 感覚障害とリハビリテーション・2

視覚障害 久保 寛之
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はじめに

 視覚障害は情報取得における障害である.現代の人類は,生活するうえで必要とされる情報の80%を視覚に頼っているという.視覚に困難を抱えた場合,「生活していくこと」に大きな負担がかかってくるのは当然であろう.社会生活のさまざまな面が破綻してしまうことも想像できる.その負担を少しでも軽減し,社会参加につなげていくことが,超高齢社会を迎えた本邦でも重要である.

 視覚障害の原因疾患は多岐にわたる.最近増加しているのは加齢に伴う加齢黄斑変性や緑内障などの疾患である.視覚障害原因疾患のなかで割合として以前と変わらないのは,網膜色素変性を代表とする網脈絡膜変性疾患などである(図1).眼疾患はもちろん,脳神経外科領域や神経内科,耳鼻咽喉科疾患でも視力低下や視野欠損が生じる場合もある.疾患によって困難を抱える場面は変わってくる.

 中心暗点などの視力低下によって困難を感じるのは主に読字の場面である.求心性視野狭窄によって困難を感じるのは主に移動である.病状や視覚状況によって個人差も大きく,また,技術の習得に関しても年齢や教育歴・生活歴などの影響で個人差は大きい.

 本稿では筆者らが普段,神奈川リハビリテーション病院(以下,当院)ロービジョン外来で,七沢自立支援ホーム視覚障害部門と共同で行っている検査・訓練などを紹介する.

実践講座 リハビリテーション看護・2

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はじめに

 脳と脊髄はともに多数の神経細胞と神経線維が集まって形成され,身体各部から集められた情報を処理して,それに対する反応を決定する重要な中枢的役割を行う神経1)である.排便・排尿の中枢はS2〜4にあり,それよりも中枢側の損傷で排泄障害が起こる.また,T12〜L3には膀胱弛緩と尿道括約筋収縮によって蓄尿する作用があり,損傷部位によって病態が異なる.排泄障害は感染や褥瘡などの合併症を引き起こすことがあり,脊髄損傷患者にとって大きな悩みの1つといえる.本稿では,脊髄損傷患者の排便・排尿管理の看護について述べていく.

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要旨 【背景】フレイルは可逆性であるが,改善した者の特徴を明らかにした報告は少ない.本研究では,フレイルの状態から改善した地域在住高齢者の要因を検証する.【方法】日本老年学的評価研究のデータを用いた縦断研究である.分析対象は,2010〜2011年度と2013年度の2時点ともに自記式郵送調査に回答した65歳以上地域在住高齢者で,2010〜2011年度にフレイルであった12,559名のうち,2013年度にフレイルの判定が可能であった11,323名とした.目的変数はフレイルからの改善状況とし,説明変数は基本属性,身体,心理,社会的要因,生活習慣を含む23要因としたポアソン回帰分析を男女別に行った.【結果】改善に有意な関連(p<0.05)を示した要因は歩行時間30分/日以上(男女),手段的日常生活活動(instrumental activities of daily living;IADL)自立(男女),友人と会う頻度月1回以上(男女),肉・魚摂取頻度週4回以上(女性)など15要因が示された.【結語】フレイルからの改善には,歩行時間や食物摂取頻度,社会的要因に着目することが有用であることが示唆された.

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はじめに

 レミエール症候群は上気道感染症の後に,嫌気性菌による内頸静脈の血栓性静脈炎を起こし,重症肺血栓から多発性転移性感染を来す重篤な全身感染症である1).近年では抗菌薬の発展により,罹患率が100万人に0.6〜2.3人と報告されており,forgotten diseaseとして扱われるほど稀な疾患とされている2).症状としては上気道症状や扁桃炎,咽頭炎から始まり,静脈性の遠隔感染層によりさまざまである.79〜100%が肺へ,13〜27%が骨・関節へ転移する3).レミエール症候群後に脊髄炎を呈した報告は,Parkら4)とKempenら5)の論文における2例だけであり,筆者らの知る限りリハビリテーションの経過に関する報告は見当たらない.

 今回,レミエール症候群後に脊髄炎を呈した症例に対して帰結予測を行い,アプローチを行ったので以下に報告する.

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要旨 【背景】平成30(2018)年度診療報酬改定では,外来で維持期リハビリテーションを受けている患者(外来維持期リハビリテーション患者)は介護保険下のリハビリテーション(介護保険リハビリテーション)に移行予定だが,介護保険リハビリテーションの提供量に余裕がないと,移行できない者が現れる.【目的】外来維持期リハビリテーション・外来リハビリテーションからの移行予定患者数と介護保険リハビリテーションの利用者数を二次医療圏域別に比較し,75歳以上のすべての移行予定患者を介護保険リハビリテーションで受け入れることができるかどうか検討する.【方法】東京都後期高齢者医療広域連合より匿名化後に提供を受けた医科レセプトデータ(2014年8月診療分)から移行予定患者数(A)を推計した.介護保険リハビリテーション利用者数(B)に対する介護保険リハビリテーション利用予定者数(A+B)の増加比を二次医療圏域別に算出した.【結果】増加比が最も大きかった二次医療圏域は島嶼部で1.85倍,次いで区南部で1.39倍だった.【結語】75歳以上のすべての移行予定患者を介護保険リハビリテーションで受け入れることは厳しいと考えられる二次医療圏域が存在した.

連載 職業リハビリテーション関連機関の知識

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 障害者基本法では,障害者の自立および社会参加の支援等の基本原則として,「全て障害者は,社会を構成する一員として社会,経済,文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること」,「地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと」が示されている.

 障害状況により一般の事業所に雇用されることが難しい場合でも,働くことは生活のなかで重要な要素であり,前号までに述べてきたいくつかの働く選択肢がある.

連載 災害と医療体制

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DPAT設立まで—発災直後に心のケアは必要か?

 わが国の災害時の精神保健医療活動には,1995年阪神淡路大震災から,精神科医師,看護師などの専門職からなるいわゆる「心のケアチーム」が,主に発災後に起こる精神的な不調に関する相談・診療を行ってきた歴史がある.2011年の東日本大震災においても,全国から心のケアチームが被災地に派遣され,その派遣実人数は3,307人,派遣に要した経費概算は3億9,443万円に上った.しかし当時は,明確な規定や平時からの準備体制があったわけではなかった.また従来,心のケアとは身体的な医療支援が終了して以降,中長期の寄り添いを中心とした心理社会的なニーズに対応するものが主体であるといわれてきた.

 東日本大震災で最初に心のケアチームが現地に入ったのは発災後1週間が経ってからであり,発生直後の公的な精神科医療の外部支援は皆無でその他の保健医療支援との連携体制もないに等しかった.このため東日本大震災の発災直後には,精神科病院の被災,精神疾患未治療・治療中断例の顕在化を代表とする急性期の精神科医療ニーズが大きな課題となったのである.

連載 補装具支給・判定Q & A・第3回

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A 制度利用においては,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(以下,障害者総合支援法)よりも介護保険での車椅子や電動車椅子の貸与(レンタル)が優先されます.ただし,貸与による既製品の調整では対応できない身体状況や環境要因がある場合などでは,障害者総合支援法での作製が可能です.

連載 公害・薬害とリハビリテーション

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スモンの歴史

 スモン(Subacute Myelo-Optico-Neuropathy;SMON)は,1960年代を中心に日本国内で多発した,キノホルムの薬害による神経疾患である.下痢や腹痛などの腹部症状が先行し,両側性に下肢の末梢部から異常知覚が出現する.その後,異常知覚の範囲が拡大・上行するとともに,歩行障害や視力障害をきたすようになる.失明にいたる例や,脳幹障害による球麻痺での死亡例も報告されている.

 当初原因が掴めなかったうえ,日本各地で同時に集団発生していたこともあり,新たな感染症も疑われ,大きな社会不安をもたらした.これを受けて厚生省(当時)を中心に大規模な研究班が組織され,全国的な疫学研究・病理学的研究が行われた.スモン患者で緑舌,緑尿,緑便がみられることが報告されており,解析の結果,緑色の物質は当時頻用されていた薬剤であるキノホルムと鉄の化合物であることが判明した.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 昭和6年に千家元麿が発表した『霰』(『千家元麿全集上巻』,彌生書房)には,昭和4年に千家自身が松沢病院に入院した時の体験に基づく詩が収められているが,その中の『入浴』には,昭和初期の精神科病院の浴室や患者の入浴の様子が描かれている.

 『入浴』は冒頭,「「入浴!」と廊下の隅から看護人が叫ぶと 各病室から洗面器とタヲルをさげた患者が 廊下へ飛び出して行く」,「風呂場は忽ち混雑する」と,入浴時の病棟の様子を描いた場面で始まる.この病棟では,患者が入浴の時間を心待ちにしているのである.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 「カランコエの花」(監督/中川駿)はLGBTに材を採った39分の劇映画.尺数からして筆者は学校やホールにおける補助教材,啓発素材といった役割を担う教育映画なのだろうと想像した.すなわち意表を突くとか,予想を裏切るといったことを期待すべきではないという思いをもって正対したのだ.ところが,である.鑑賞後の筆者には,凄いものを見せられたという感触が残った.凄さの正体は言語化できない.いや,むしろ安易に言語化すべきではない.胸に沁みるものは,沁みるものとしてそのまま受け止めるのもよい.

 話は飛ぶが,文部科学省は「特別の教科 道徳」の新設に当たって,(おそらく徳目主義ではなく)「答えが一つではない課題に子供たちが道徳的に向き合い,考え,議論する」ものとしてその性格を説明している.そうであるなら,本作は鑑賞者側に考えさせるというスタンスを貫いている点で「道徳」のテキストにさえなりうる.

私の3冊

私の3冊 田中 友紀

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 去る2017年10月28日(土)および29日(日)に第1回日本リハビリテーション医学会秋季学術集会が大阪大学院医学系研究科運動器バイオマテリアル寄附講座 菅本一臣教授による大会長の下,大阪市大阪国際会議場で開催された.

 その前日の27日(金)には,昼過ぎから夕方まで,指導医講習会がリーガロイヤルNCBにて2講演,規定講習会が3講演開催されたので,金曜から参加された先生もたくさんおり,会場は本会場ではなかったものの,いずれの講演も熱心に聞き入る先生方で一杯の状態であった.遠方の先生では,26日(木)に大阪入りした先生もいらっしゃるとのことであった.今までと異なり,日本専門医機構での新専門医制度の影響もあるのではないかと感じられた.また,27日はすがすがしい秋晴れとなり,第1回秋季学術集会の幕開けを祝っているかのようであった.

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1. CMT患者に対する就労・生活支援における作業療法士の役割

 神奈川県総合リハビリテーションセンター

  中川 翔次・横山  修

 [はじめに]シャルコー・マリー・トゥース病(Charcot-Marie-Tooth disease;CMT)患者には生活に困難さを抱えながらも社会参加しているという特徴がある.今回そのようなCMT患者に支援をさせていただき,経験を得たので報告する.[症例紹介]男性,診断名:CMT,障害名:四肢麻痺,家族構成:本人,妻,長男,長女.生活状況:食事,整容以外全介助.就労は在宅で週38時間のパソコン業務.[経過]X年,仕事中の肩・右上肢痛の訴えあり,生活動作,パソコン作業環境に対し介入した.以後苦痛の訴えは軽減していたがX+3年,再び同様の訴えが聞かれた.上肢を酷使する活動は困難と判断し,補装具の適合評価・申請を行った,[結果]現在も就労や日常生活動作(activities of daily living;ADL)は保たれ,大黒柱になっている.病気の進行と同時に出現する生活の困難さに対し,その都度の支援の重要性を本人と確認できた.

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 「脳と神経のしくみは複雑である」と誰しもが思っていることでしょう.医療職に就こうとしている学生にとって,「脳と神経」に関する学習は,最も難渋する分野ではないでしょうか.しかし,馬場元毅先生による本書『絵でみる脳と神経—しくみと障害のメカニズム 第4版』は,それを見事に払拭してくれます.

 本書は,「しくみと障害のメカニズム」と副題にあるように,脳と神経の構造と生理,そしてその障害のメカニズムが一冊の中で学べるところに特徴があります.解剖生理学と疾病の特徴あるいはそのメカニズムを統合し解釈していくことは,それを学ぶ学生たちにとって最も苦労するプロセスであることを,私は長年の教員生活から知っています.特に神経解剖学,神経生理学,神経学に関する教科書が別々であることから,それらの情報を統合していくことに学生たちはとても苦労するようです.有職者となり臨床に出ればそれらは徐々に自己の経験から統合されていきますが,まだ臨床経験のない学生にとって,解剖生理といった基礎科学と神経学といった臨床医学を結び付けていくことは,至難の技のようです.

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目次

文献抄録

次号予告

編集後記
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 大いに盛り上がった夏の甲子園.第100回大会の今年はレジェンド始球式が話題になりました.松井秀喜,定岡正二,金村義明,桑田真澄など「甲子園のレジェンド」が毎日交代で始球式に登板.「なんで大ちゃんいないの?」「原辰徳は?」といった声も聞かれましたが,バンビ,ドカベン香川,荒木大輔,KKコンビ,ハンカチ王子など……「あなたの甲子園のアイドル」を尋ねるとだいたいの年齢がわかっちゃいます.語りたい甲子園の思い出が誰にでもあるように,100回の歴史の中で多くの名選手,名勝負,そして奇跡が生まれました.

 「松井秀喜の始球式を星稜高校が引き当てる!」を皮切りに,第100回大会でもたくさんの奇跡が起こりました.第1回大会以来の決勝進出となった秋田県代表の金足農業の大躍進と,「ついに優勝旗の白河越えか!」と膨らむ期待.その決勝戦の始球式が過去に最も「白河超え」に近づいた伝説の決勝戦の両エース,太田浩司(三沢)と井上明(松山商)であったことも運命的です.そして閉会式に現れた虹! 第100回大会も実に思い出深い大会になりました.さて,私の甲子園のアイドルはというと,もちろん……あ,文字数が足りません.残念.

基本情報

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総合リハビリテーション
46巻9号 (2018年9月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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