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特集 独居高齢者の生活維持への支援
独居高齢者の認知機能に関する課題と対策
Challenges and solutions regarding cognitive function in older adults living alone
湯本 晶代
1
,
諏訪 さゆり
2
Akiyo Yumoto
1
,
Sayuri Suwa
2
1川崎市立看護大学看護学部看護学科
2千葉大学大学院看護学研究院
1Kawasaki City College of Nursing
2Graduate School of Nursing, Chiba University
キーワード:
独居高齢者
,
軽度認知症
,
生活障害
Keyword:
独居高齢者
,
軽度認知症
,
生活障害
pp.669-676
発行日 2025年7月10日
Published Date 2025/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530070669
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はじめに
日本は超高齢社会に突入しており,全世帯の約半数が65歳以上の者のいる世帯である.また,核家族化や少子化など家族形態の多様化や,未婚者や離婚件数の増加など婚姻関係の変化に伴い,65歳以上の単身世帯は男女ともに増加傾向にある.国立社会保障・人口問題研究所の推計1)によれば,2050年には単身世帯が全体の44.3%を占め,そのうち65歳以上の高齢者が46.5%に達するとされている.
同時に,65歳以上の認知症および軽度認知障害(mild cognitive impairment:MCI)を有する高齢者の数も増加している.MCIとは,認知機能のレベルが年相応よりも低下しているが,基本的には日常生活を正常に送ることができる状態を指す.2022年における認知症高齢者数は443.2万人(有病率12.3%),MCIの高齢者数は558.5万人(有病率15.5%),つまり高齢者のおよそ3.6人に1人が認知症またはMCIに該当すると推計されている2).また,独居認知症高齢者数は増加し続けており,2025年には147万人,2040年には181万人に達するとされている3).認知症高齢者数に占める独居認知症高齢者の割合は2025年で22%,2040年で23%と推計されており,在宅ケアにおける対応の重要性が高まっているといえる.

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