Japanese
English
連載 災害と医療体制
DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)
DPAT(Disaster Psychiatric Assistance Team)
渡 路子
1
Michiko Watari
1
1厚生労働省委託事業DPAT事務局
キーワード:
DPAT
,
心のケア
,
災害医療
Keyword:
DPAT
,
心のケア
,
災害医療
pp.877-879
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201424
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
DPAT設立まで—発災直後に心のケアは必要か?
わが国の災害時の精神保健医療活動には,1995年阪神淡路大震災から,精神科医師,看護師などの専門職からなるいわゆる「心のケアチーム」が,主に発災後に起こる精神的な不調に関する相談・診療を行ってきた歴史がある.2011年の東日本大震災においても,全国から心のケアチームが被災地に派遣され,その派遣実人数は3,307人,派遣に要した経費概算は3億9,443万円に上った.しかし当時は,明確な規定や平時からの準備体制があったわけではなかった.また従来,心のケアとは身体的な医療支援が終了して以降,中長期の寄り添いを中心とした心理社会的なニーズに対応するものが主体であるといわれてきた.
東日本大震災で最初に心のケアチームが現地に入ったのは発災後1週間が経ってからであり,発生直後の公的な精神科医療の外部支援は皆無でその他の保健医療支援との連携体制もないに等しかった.このため東日本大震災の発災直後には,精神科病院の被災,精神疾患未治療・治療中断例の顕在化を代表とする急性期の精神科医療ニーズが大きな課題となったのである.
Copyright © 2018, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.