連載 公害・薬害とリハビリテーション
スモン(1960年代)
辻川 将弘
1
,
里宇 明元
1
Masahiro Tsujikawa
1
,
Meigen Liu
1
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
キーワード:
スモン
,
難病
,
薬害
,
感覚障害
,
リハビリテーション
Keyword:
スモン
,
難病
,
薬害
,
感覚障害
,
リハビリテーション
pp.883-885
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201426
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スモンの歴史
スモン(Subacute Myelo-Optico-Neuropathy;SMON)は,1960年代を中心に日本国内で多発した,キノホルムの薬害による神経疾患である.下痢や腹痛などの腹部症状が先行し,両側性に下肢の末梢部から異常知覚が出現する.その後,異常知覚の範囲が拡大・上行するとともに,歩行障害や視力障害をきたすようになる.失明にいたる例や,脳幹障害による球麻痺での死亡例も報告されている.
当初原因が掴めなかったうえ,日本各地で同時に集団発生していたこともあり,新たな感染症も疑われ,大きな社会不安をもたらした.これを受けて厚生省(当時)を中心に大規模な研究班が組織され,全国的な疫学研究・病理学的研究が行われた.スモン患者で緑舌,緑尿,緑便がみられることが報告されており,解析の結果,緑色の物質は当時頻用されていた薬剤であるキノホルムと鉄の化合物であることが判明した.
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