Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
千家元麿の『入浴』—精神科病院の風呂場
高橋 正雄
1
1筑波大学人間系
pp.886
発行日 2018年9月10日
Published Date 2018/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552201427
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昭和6年に千家元麿が発表した『霰』(『千家元麿全集上巻』,彌生書房)には,昭和4年に千家自身が松沢病院に入院した時の体験に基づく詩が収められているが,その中の『入浴』には,昭和初期の精神科病院の浴室や患者の入浴の様子が描かれている.
『入浴』は冒頭,「「入浴!」と廊下の隅から看護人が叫ぶと 各病室から洗面器とタヲルをさげた患者が 廊下へ飛び出して行く」,「風呂場は忽ち混雑する」と,入浴時の病棟の様子を描いた場面で始まる.この病棟では,患者が入浴の時間を心待ちにしているのである.
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