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はじめに
パーキンソン病(Parkinson's disease;PD)は中脳黒質緻密部のドーパミン神経細胞の変性を主体とする緩徐進行性の疾患である.わが国のPD患者数は,2014年の厚生労働省の患者調査によると16万3千人と報告されている1).パーキンソン病の発症年齢は50〜65歳に多く,また高齢になるほど発病率が増加するため2),人口構成の高齢化が確実視されているわが国においては今後もパーキンソン病患者数は増加していくことが予想される.
疾患由来の症状としては,四大症状(安静時振戦,無動,筋強剛,姿勢反射障害3))に代表される運動症状と,認知機能障害や抑うつ,疲労などに代表される非運動症状4)と多岐にわたる.PD患者は疾患の進行に伴い二次的な機能障害も発生し,日常生活活動や社会参加が障害されうる.PD患者の平均余命は健常高齢者と大きな差がない5)ことも報告されており,長期にわたる療養生活を強いられる可能性が高い.
PDに対する根治的治療法は現在のところ存在しない.PD患者の健康状態や生活の質(quality of life;QOL)を維持・改善するためには投薬治療とともに,運動療法などのリハビリテーションを併用することが重要となる.PD患者に対する運動療法の有効性については,日本神経学会の「パーキンソン病治療ガイドライン2011」6)において,身体機能,健康関連QOL,筋力,バランス,歩行速度の改善に有効であるとされており,強く推奨されている.近年,軽度から中等度の重症度のPD患者に対して多職種による集中的な入院リハビリテーションを年に1回,1か月間程度実施することにより,運動機能や日常生活活動が改善し,抗PD薬の内服量が抑制されることが報告されている7).在宅で暮らすPD患者は入院リハビリテーションを行うことに対し抵抗を感じることもあり,外来リハビリテーションの担う役割は大きいと考えられる.しかし,PD患者が外来リハビリテーションにおいて運動療法などを実施できる環境は現在十分に整備されていない.PD患者に対する外来リハビリテーションは個別リハビリテーションのみで対応されている場合が多く,どのような形態で提供するのが望ましいかについても明らかではない.
本稿では,筆者らが西大和リハビリテーション病院(以下,当院)でPD患者に対して実施している集団運動療法を併用した外来リハビリテーションプログラムについて紹介する.
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