総合リハビリテーション 41巻1号 (2013年1月)

特集 発達障害のリハビリテーション

今月のハイライト
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 発達障害児者のリハビリテーションは,1980年代までの知的障害を中心とした対象だけではなく,知的障害が無いか乏しい対象,いわゆる軽度発達障害をも視野に入れるようになった.特にここ10年は,高機能広汎性発達障害児者の急増,広汎性発達障害概念の拡大,発達障害者支援法の成立による意識の変化などを背景に,発達障害児者に対するリハビリテーションは,小児リハビリテーションにおける大きな柱になりつつある.

 今回の特集では,各分野の先生方に,発達障害のリハビリテーションについて,国内外の動向をふまえ,各分野の取り組み,今後の課題,展望などについてご解説いただいた.

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国内の動向

 2004年12月に発達障害者支援法が国会を通過し,2005年度から施行された.この法律は国会議員が中心となり,医療,教育,福祉,心理などの関係者が10か月にわたって検討してきた結果であった.文部科学大臣と厚生労働大臣が連名で署名した法律であり,理念法であって行政が作成したものとは異なっている.この結果として,身体障害,精神障害,知的障害に加えて発達障害が法案上も障害の仲間入りをした.この法律が施行されるまでは,例えば自閉症があっても,知的障害を伴っていないと公的扶助の対象とならなかった.知的障害を伴わなくても,対人関係面や,コミュニケーション面に課題を抱え,社会適応に困難を来す人たちが,やっと支援の対象になったわけである.役所の窓口で支援を求めれば,法律施行前と異なり,門前払いはされなくなったわけである.

 教育では2007年度から特別支援教育が正式に始まり,その対象児は「学習障害,高機能自閉症,注意欠陥多動性障害など」とされた.2002年の文科省調査では,教育上の配慮を要する児童生徒は,通常教育に6.3%いるとされ,この時点で特別支援教育に1.2%おり,計7.5%がこれらの対象と考えられた.それまでは通常学級,特殊学級,盲聾養護学校と分けられていた学校制度が,通常学級,特別支援学級,特別支援学校に代わった.この背景には,1992年から1999年まで開かれた,「学習障害に関する協力者会議」の結論があった.通常学級に在籍し,知的障害はないが学力に極端な遅れを示す生徒への対応が問題となった.知的障害がない以上通常学級に在籍すべきだが,学力に加え,行動上の問題や対人関係面で課題を抱える“発達障害”のある子どもたちが中心であった.これらの生徒に対しては,通常学級に在籍して特別支援学級に通級や,固定の通常学級への在籍などが正式に可能となった.これらを考慮して,特別支援学校,特別支援学級,通常学級の垣根を低くした.このことは明治以来の通常教育と特殊教育と言う別々に存在していた教育に接点を見出すことともなった.また盲聾養護学校在籍者のなかには重複障害者が少なくないことから,特別支援学校として異なる障害への専門性をもつ教員が在籍して,重複障害への対応を目指した.また障害児教育に一層の専門性をもたせるための教育免許状制度の変更を行った.

治療の実際 宮尾 益知
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はじめに

 児童精神神経領域において,1997年ごろまでは不定愁訴,不登校,不安/恐怖,転換症状,習癖,摂食障害などが多い主訴であった.1998年以降は,こような症状は少なくなり,むしろ落ち着きがない・興奮/衝動性が高い・友だちが作れない・知的レベルに学業成績が伴わないなどの発達障害としての症状を主訴として受診することが多くなった.

 われわれの診療は,このような主訴に対して4つの観点から子どもを評価・診断し治療を構築している.① 本来備わっている資質すなわち,発達障害かどうか.② 育ってきている養育環境,すなわち両親のもつ資質などの環境要因と子どもとの相互の関係性,すなわち家族機能.③ 成長の過程で学校などの社会との関係性のなかで獲得し成熟させていく発達.④ 思いがけず出会うさまざまな出来事や人とのかかわりであり,社会的成熟やトラウマ.このような多面的に子どもをみることから診療が始まるが,リハビリテーションに求められるところは ① であろうと思われる.

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発達障害支援とはリハビリテーションなのか?

 本稿でのメインテーマは「発達障害のリハビリテーションにおけるリハビリテーション医の役割」であり,包括的発達支援チームのなかでリハビリテーション医が果たすべき役割についての見解を求められている.発達障害は生涯にわたって支援を必要とされる状態を有するものであり,医療,保健,福祉,教育,行政などがtransdisciplinary1)な支援環境を構築し,ライフステージと生活環境から導き出されるニーズに対応していく分野と言える.

 「リハビリテーション」という言葉を,そしてその支援概念を発達障害にあてがう時,改めて「リハビリテーション」の定義や概念と対峙しなくてはならないと感じている.「リハビリテーション医学」は運動機能の中途障害を治療対象として発展してきた分野である.機能回復が前提であり予後予測に基づいたゴールを設定して,機能訓練や環境整備を行っている.小児リハビリテーションの最大の対象である脳性麻痺に対しても,粗大運動の発達里程をもとに予後予測が行われ,機能訓練や 日常生活動作(activities of dialy living;ADL)訓練が計画される.併存する言語発達障害に対しても機能獲得による発達促進を目的とした訓練を提供してきた経緯がある.しかし,昨今注目されている高機能群の自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorders;ASD)や注意欠如・多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder;ADHD)においては,障害像の主体は社会性の心理的発達や注意機能などの偏倚であり,運動や言語などの遅滞に対する要素的機能訓練といった従来のリハビリテーション治療とは支援対象の概念が異なっている.

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はじめに

 2012年4月に児童福祉法および障害者自立支援法の一部改正が行われ,障害種別に分かれていた施設が一元化され,通所サービスも児童発達支援センターまたは事業所(福祉型・医療型)に集約された1,2).改正後であっても暫定的であり,通常使われている名称は改正前と同様であるため,ここでは発達支援センターとして記述することをお許しいただきたい.

 2003年に開設したNPO法人小山こども発達支援センターリズム園(小規模施設,以下,リズム園)で,作業療法士(OT)として関係するようになった経緯と開設の趣旨について記述する.

 筆者が25年の臨床現場を離れ,大学で後輩教育に勤しんでいた時,それまで臨床でともに歩んできた対象児者とその養育者が,保険証持参で大学を訪れてくる現象が生じた.訪問の目的は「わが子の状態を3か月ないし半年に1回位でよいので経過を追い,親が家庭や社会資源を活用して行えるようなリハビリテーションの指導をして欲しい」というものであった.この現象は,養育者が「居住地近辺で,安心して子育てや教育が可能な場の提供の必要性が生じる時期がきたこと」を示唆してくれているのではないかと感じた.

 病院や施設でリハビリテーションが実践され,ホームエクササイズとして指導されている内容を,自宅に戻った時,どのように行ったらよいのか苦慮している現象なのではないかとも判断できた.

 偶然ではあるが期を同じくして,開設寸前のリズム園の経営者と話し合う機会が訪れた.話し合いの結果,相互の考え方に合意が得られ,発達支援センターで,以下の3点の趣旨に基づき,小児期の発達遅滞に関する地域支援の一部分を行えることになった.

 その趣旨は,① 親子で快適に,根気よく,元気に通える場の提供,② 対象児が生活しやすい環境を理解してくれる人材の育成,③ 県内組織の一部分(栃木県南地域)を担える施設運営であった.

 養育者からの示唆は,「病院や施設で実践されている訓練は,リハビリテーションの一部分として重要である.しかし,訓練を実施しているその時に機能回復が促されてはいるが,自分ではできない状態である」ことを意味していると考えられた.これは,親子・同胞が暮らしている毎日の生活環境や教育現場では,機能回復の効果が活かされにくい現状にあることとも理解できた.

 これらのことから,病院や施設で実施されているリハビリテーションを繋いでいく場の提供と,支援内容および方法の工夫の必要性を感じていた.対象児と養育者に寄り添いながら,対象児を取り巻く種々の職種と共通理解を深め,連携を強くして,対象児家族を支えられないであろうかと考え,発達支援センターに所属して取り組んでいる.

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TOSS(Teacher's Organization of Skill Sharing)

 教員の研究団体TOSSでは,全国で医師との研究会を積極的に行っている.

 TOSS(Teacher's Organization of Skill Sharing)とは,子どもにとって価値ある教師(教え方のプロ)になることをめざす教員の研究組織である.すぐに役立つ教育技術・指導法を開発し,自らの授業の技術を高め,教育現場で生かしていくことを目的に活動している.代表は元小学校教師の向山洋一氏である.

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 今年は1963年に誕生した日本リハビリテーション医学会が50年目を迎える大きな節目の年です.2013年6月13日から15日,昭和大学の水間正澄先生が第50回日本リハビリテーション医学会学術集会を開催します.

 現在,本学会の理事長でもある水間先生は,一言で表現するなら「スマート」という言葉がふさわしいリハビリテーション科医です.先生の柔らかな外見に相応する丁寧な立ち振る舞いは,「美しい武士」を連想させます.そして,他者に優しい人柄と十分な忍耐力,さらに果敢な決断力も併せ持っています.この感想が過ぎたものでないことは,一緒に仕事をしている皆さまであれば同意してくれるはずです.

入門講座 Narrative Based Medicine【新連載】

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はじめに

 医療においてナラティブ・アプローチが注目されるようになってきたのは,1990年代後半からであり,主として英国のグループによって,ナラティブ・ベイスト・メディスン(narrative based medicine;NBM)として提唱され1),2000年代に入って日本でも注目されるようになった2).NBM(物語と対話に基づく医療)は,GreenhalghとHurwitzによって,1998年に提唱されたムーブメントであるが,Greenhalghは後に,このNBMというタームを創出することになったいきさつを自著3)のなかで以下のように述べている.「この用語は,その時代に,EBMで頭がいっぱいになっていた医学関係の聴衆に,ナラティブというアイデアを手軽に売り込むための安っぽい宣伝文句として創案したのだと読者が考えたとしても,それは間違いとは言えない.NBMという言葉を新造したからには,この通貨がどのように流通していくのかを,私は見届けたいと思う」(訳書p108).このようにNBMというコンセプトはEBMとの関連において創出されたものであり,NBMは,EBMの医療界への急速な浸透に伴う過剰な科学性の強調や誤解に対する補完という意味合いを最初から担っていた.

 GreenhalghとHurwitzは,著書の日本語版への序1)に以下のように記している.「西洋医学においては,疾患の病態を理解し,治療法を理論的に支える妥当で確実な根拠(エビデンス)を求めることに対して,このうえもないほどの熱心な努力がなされてきた.しかしそれに比べると,臨床において患者自身の体験を理解することや,患者と良好なコミュニケーションを保つことはあまり注目されてこなかった.私たちが物語(ナラティブ)に注目するようになったのは,西洋医学におけるこのような不均衡を強く感じていたためである.」幸いなことに本邦においては,EBMとNBMは二律背反的な概念としてではなく,「患者中心の医療を実践するための車の両輪」として理解されることが定着している4)

実践講座 症例から学ぶ臨床神経生理学・第1回【新連載】

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はじめに

 臨床神経生理学的検査法には,神経伝導検査(nerve conduction study;NCS),針筋電図検査(needle electromyography;nEMG)が含まれ,末梢神経障害や筋疾患を診断する一助となることから,臨床検査として重要な役割を担っている.

 今回は上肢で施行するNCSの対象疾患のなかでも経験する頻度の最も高い絞扼性ニューロパチーである手根管症候群(carpal tunnel syndrome;CTS)1)について,検査の概要と評価について述べる.

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要旨:〔目的〕脳卒中発症2週時における退院先予測に心身機能,動作能力,活動レベルおよびその下位項目のうち,どのレベルや下位項目による予測を行うのが妥当か検討することである.〔対象〕入院となった脳卒中初発例107例とした.〔方法〕発症2週後に心身機能,動作能力,活動を評価し,社会的要因を含む患者背景項目を聴取した.心身機能評価にはmodified NIH Stroke Scale,動作能力評価にはFMS(Functional Movement Scale),活動評価にはFunctional Independence Measureの運動項目を用いた.退院先(自宅退院・転院)を従属変数とし,心身機能,動作能力,活動レベルの3つの評価尺度の合計点および各レベルの下位項目をそれぞれ独立変数とし,多重ロジスティック回帰分析を行った.〔結果〕心身機能,動作能力,活動レベルを独立変数とした回帰分析ではFMS合計点,動作能力レベルの下位項目を独立変数とした回帰分析ではFMS「歩行」が退院先に影響を与える要因として抽出された.モデルの適合度を示す赤池情報量規準は,心身機能,動作能力,活動レベルからの予測および動作能力レベルの下位項目からの予測で有意に高値であった.〔結語〕脳卒中患者の発症2週時における退院先予測には動作能力レベルからの予測が有用であり,なかでも,歩行能力評価からの予測が有用であることが明らかとなった.

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要旨:〔目的〕脳卒中片麻痺患者が移動や移乗動作を自立して行うためには,立ち上がり動作の獲得が重要課題となる.本研究では,臨床場面でみられる3種の椅子からの立ち上がり動作,① 上肢による支持のない方法(上肢支持なし),② 上肢で座面を押して立ち上がる方法(push動作),③ 手すりを引いて立ち上がる方法(pull動作)を取り上げ,各動作の難易度判定や動作獲得に必要な身体機能,移動能力との関連性を明らかにすることを目的とした.〔方法〕片麻痺患者27名を対象に各立ち上がり動作の可否から群分けを行った.機能評価として非麻痺側上下肢・体幹筋力,Brunstrom-stage,Stroke Impairment Assessment Set(SIAS),Berg Balance Scale(BBS)を,移動能力の評価として歩行速度,functional independence measure(FIM)を測定し,群間比較した.〔結果〕立ち上がり動作の難易度は,上肢支持なし,push動作,pull動作の順に高かった.非麻痺側筋力に差はみられなかったが,麻痺側機能は上肢支持なし可能群が他の2群より高かった.バランス能力は,上肢支持なし可能群,push群,pull群の順に高い項目が多く,push群とpull群間では,静的立位バランス能力に差が認められた.FIMでは上肢支持なし可能群が高い項目が多かった.〔結語〕上肢支持なしとpush動作では動的立位バランス能力や麻痺側機能の差が,push動作とpull動作では静的立位バランス能力の差が主に関与することが示唆された.

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要旨:〔目的〕本研究では,周術期消化管がん患者の手術前後における栄養指数と身体運動機能の変化と指標間の関係性について検討することである.〔対象と方法〕対象は,消化管がん患者42名(男性22名,女性20名,平均年齢61.3±11.1歳)とした.各対象者には,手術前と手術後に栄養指数として小野寺式栄養指数(prognostic nutritional index;PNI),身体運動機能の指標としてtimed“up and go”test(TUG)の2項目を測定し,各測定項目の手術前後での変化およびPNIとTUGの関係について検討した.〔結果〕PNIおよびTUGいずれにおいても,手術後に有意の低下を認めた.また,手術前後おのおのの時期においてPNIとTUGの間に有意な負の相関が認められた.〔考察〕消化管がん患者の手術前後に起きる蛋白動態変化と廃用性筋萎縮に伴う身体運動機能変化をPNIとTUGが反映した可能性が示唆された.また,手術前後各時期において,PNIとTUGは関連している可能性が明らかとなった.今後,身体運動機能に対する他要因の影響についてさらに検討する必要がある.

連載 臨床研究入門

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 「臨床研究に関する倫理指針」(以下,倫理指針)は,被験者の個人の尊厳および人権を守るとともに,臨床研究に携わるすべての関係者が遵守すべき事項を定めることにより,臨床研究の適正な推進が図られることを目的に2003年7月30日に制定された.その後,いわゆる個人情報保護関連3法(個人情報の保護に関する法律,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律,独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律)が2005年4月から施行されたことを受けて,2004年12月28日に改正されている.

 現行の倫理指針は,2004年に改正された指針のなかで,2008年7月30日を目途としてその全般に関して検討を加えたうえで,見直しを行うこととされており,それに基づき,2008年7月31日に改正され,2009年4月1日より施行しているものである.

連載 体力向上のための運動プログラム

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 慢性心不全(chronic heart failure;CHF)とは,心臓の機能障害が原因で生じるうっ血と運動制限を主体とする症候群名であり,原因疾患は何であれ,すべての心疾患の終末像の一つと考えられている.以前の治療は第一に安静であり,労作は増悪因子として長い間禁忌とされてきた.しかし,昨今ではアンジオテンシン変換酵素(angiotensin converting enzyme;ACE)阻害薬や交感神経β受容体遮断薬(beta-adrenergic blocking agent;β遮断薬)などの治療薬,心室再同期療法(cardiac resynchronization therapy;CRT)などのデバイス治療,和温療法や心筋再生治療など,CHF患者に対する多様な治療法が進歩したことにより予後の改善がなされてきた.2006年4月の診療報酬改訂により,CHF患者の心大血管リハビリテーション料算定が認められたことより,現在ではわが国でも積極的治療法の一つとして運動療法が広く行われている.そういった背景をふまえ,本稿では,CHF患者に対する運動療法プログラムについて概説する.

連載 障害者スポーツ【新連載】

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運動とスポーツの現状

 健康に日々の生活を送るため,スポーツや運動が有用であることは,周知の事実である.わが国では,2011年6月に「スポーツ基本法」が公布され,すべての国民にスポーツ権利が保障された.2012年3月には,「スポーツ基本計画」が策定され,その役割が明確となった.また,「健康日本21(第2次)」(2012年7月)の改正により健康やスポーツにかかわる環境は急速に整いつつある.

 今年は,障がい者スポーツの祭典であるロンドン2012パラリンピック競技大会が開催され,障がい者アスリートがさまざまな種目で,最高のパフォーマンスを発揮し,多くの感動とその可能性の高さを示してくれた.このパラリンピックで,日本パラリンピック委員会発表1)の日本代表選手の状況をみると,参加選手の平均年齢は,33.5±9.8歳,最高齢は64歳(卓球),最年少は17歳(水泳,ゴールボール)と幅が大きいことに気づく.また,年齢構成は,図1に示すように約25%がベテランの中高年選手である.これらをオリンピックと同様な種目に置き換えると,その年齢との関係は異なる.これは,積極的にスポーツを行うことが,障がい者の心身機能を競技という高いレベルで維持・向上させることを表しているのではないだろうか.

連載 印象に残ったリハビリテーション事例

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プロローグ

 今から約40年前,脊髄損傷(以下,脊損)患者のリハビリテーション治療を施行する時に最も難渋する問題は排尿管理であった.

 筆者は日本で卒前医学教育を終え,米国でリハビリテーション医学研修を終了し,1973年の秋に帰国し,慶應大学病院とその関連リハビリテーション病院で,リハビリテーション医学の卒後研修制度を始めた.

Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション

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 1511年に発表されたエラスムスの『痴愚神礼讃』(渡辺一夫,二宮敬訳『世界の名著17』中央公論社)は,痴愚神が狂気の讃美をするという作品であるが,『痴愚神礼讃』の63章から68章にかけては,「聖書の証言を支え柱とし基礎として,自画自賛をいたしましょう」と,『聖書』から自らの主張の裏づけとなるような記述を引用している.なかでも注目されるのは,パウロが狂気について語った次のような言葉である.「わたしはだれにもまして狂者だから,狂ったもののように語る」,「余はなんじらの目にさらに狂気と映るらん」,「神はおろかさをもって世を救おうとなさった」.

 痴愚神は,パウロが自らを「狂者」と規定したことに着目しているのだが,痴愚神はさらに,キリストにもこれと似た狂気の要素があるとして,次のように述べている.「キリストご自身も,この人間たちの痴愚狂気を救うために,みずからは神の知恵の具現であったにもかかわらず,「人の形で現われたもう」べく人間の本性を担われたときに,いわば痴愚狂気をみずからまとわれたのです」.

Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション

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 フランスで3人に1人が鑑賞したという「最強のふたり」(脚本・監督/エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ)は,日本でも2012年秋のメガヒット作品となった.ただし,筆者はただちに共鳴できなかった.圧倒的多数が支持しているというのに,この違和感はどうしたことだろう.

 本作は実話を基にしている.事故で首から下が麻痺し,日常生活すべてに介護を要する富豪のフィリップと,スラム街に住み,犯罪歴もある黒人青年ドリスが織りなすドラマである.フィリップは,財力にものを言わせて介護者を次々替えることができる.どんな気まぐれも許される身分だ.したがって,介護の仕事をする気などさらさらなく,失業手当の証明書欲しさにフィリップの面接を受けにきたドリスをあっさり介護者として雇い入れてしまう.ドリスが求めていたのは「不採用」の実績だったのだが,これまでとは打って変わって豪華な屋敷で暮らすことになったのだから宝くじに当たったようなものだ.

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1.整形外科的痙性コントロール術が歩行時の大殿筋と中殿筋の筋活動に及ぼす影響―ウェーブレット解析を用いた検討

 倉敷平成病院リハビリテーション部 戸田 晴貴

 同リハビリテーション科 石井 祐子・池田 健二・他

 本研究の目的は,痙性コントロール術が大殿筋と中殿筋の筋活動に及ぼす影響をウェーブレット解析により検討することであった.対象は65歳男性で,麻痺側下肢に対して痙性コントロール術を施行した.術前後の歩行中の筋活動を計測した.痙性コントロール術後の大殿筋と中殿筋の筋活動は,より高い周波数帯域でのパワーの向上を認めた.よって,痙性コントロール術は,大殿筋と中殿筋の質的筋活動を賦活させる可能性が示唆される.

特別支援学校の機能調査―文科省

お知らせ

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文献抄録

投稿規定

投稿および著作財産権譲渡承諾書

次号予告

編集後記
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 明けましておめでとうございます.本年も「総合リハビリテーション」をよろしくお願い申し上げます.

 年末のこと,「“埃まるけ”が,方言って知ってた?」大掃除中の姉から興奮気味に電話がかかってきました.「まるけ」とは,標準語の「だらけ」とか「まみれ」を意味する名古屋弁で,「埃まるけの棚」とか,「雪合戦で雪まるけ」,「借金まるけの人生」という使い方をします.上京してからウン十年.いまだにごくたまに「これって名古屋だけ?」という言葉や風習に出会って愕然とすることがあります.

基本情報

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総合リハビリテーション
41巻1号 (2013年1月)
電子版ISSN:1882-1340 印刷版ISSN:0386-9822 医学書院

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