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発達障害支援とはリハビリテーションなのか?
本稿でのメインテーマは「発達障害のリハビリテーションにおけるリハビリテーション医の役割」であり,包括的発達支援チームのなかでリハビリテーション医が果たすべき役割についての見解を求められている.発達障害は生涯にわたって支援を必要とされる状態を有するものであり,医療,保健,福祉,教育,行政などがtransdisciplinary1)な支援環境を構築し,ライフステージと生活環境から導き出されるニーズに対応していく分野と言える.
「リハビリテーション」という言葉を,そしてその支援概念を発達障害にあてがう時,改めて「リハビリテーション」の定義や概念と対峙しなくてはならないと感じている.「リハビリテーション医学」は運動機能の中途障害を治療対象として発展してきた分野である.機能回復が前提であり予後予測に基づいたゴールを設定して,機能訓練や環境整備を行っている.小児リハビリテーションの最大の対象である脳性麻痺に対しても,粗大運動の発達里程をもとに予後予測が行われ,機能訓練や 日常生活動作(activities of dialy living;ADL)訓練が計画される.併存する言語発達障害に対しても機能獲得による発達促進を目的とした訓練を提供してきた経緯がある.しかし,昨今注目されている高機能群の自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorders;ASD)や注意欠如・多動性障害(attention-deficit/hyperactivity disorder;ADHD)においては,障害像の主体は社会性の心理的発達や注意機能などの偏倚であり,運動や言語などの遅滞に対する要素的機能訓練といった従来のリハビリテーション治療とは支援対象の概念が異なっている.
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