Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「最強のふたり」―介護を越えた人間関係の構築
二通 諭
1
1札幌学院大学人文学部人間科学科
pp.83
発行日 2013年1月10日
Published Date 2013/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552110001
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フランスで3人に1人が鑑賞したという「最強のふたり」(脚本・監督/エリック・トレダノ&オリヴィエ・ナカシュ)は,日本でも2012年秋のメガヒット作品となった.ただし,筆者はただちに共鳴できなかった.圧倒的多数が支持しているというのに,この違和感はどうしたことだろう.
本作は実話を基にしている.事故で首から下が麻痺し,日常生活すべてに介護を要する富豪のフィリップと,スラム街に住み,犯罪歴もある黒人青年ドリスが織りなすドラマである.フィリップは,財力にものを言わせて介護者を次々替えることができる.どんな気まぐれも許される身分だ.したがって,介護の仕事をする気などさらさらなく,失業手当の証明書欲しさにフィリップの面接を受けにきたドリスをあっさり介護者として雇い入れてしまう.ドリスが求めていたのは「不採用」の実績だったのだが,これまでとは打って変わって豪華な屋敷で暮らすことになったのだから宝くじに当たったようなものだ.
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