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はじめに
2012年4月に児童福祉法および障害者自立支援法の一部改正が行われ,障害種別に分かれていた施設が一元化され,通所サービスも児童発達支援センターまたは事業所(福祉型・医療型)に集約された1,2).改正後であっても暫定的であり,通常使われている名称は改正前と同様であるため,ここでは発達支援センターとして記述することをお許しいただきたい.
2003年に開設したNPO法人小山こども発達支援センターリズム園(小規模施設,以下,リズム園)で,作業療法士(OT)として関係するようになった経緯と開設の趣旨について記述する.
筆者が25年の臨床現場を離れ,大学で後輩教育に勤しんでいた時,それまで臨床でともに歩んできた対象児者とその養育者が,保険証持参で大学を訪れてくる現象が生じた.訪問の目的は「わが子の状態を3か月ないし半年に1回位でよいので経過を追い,親が家庭や社会資源を活用して行えるようなリハビリテーションの指導をして欲しい」というものであった.この現象は,養育者が「居住地近辺で,安心して子育てや教育が可能な場の提供の必要性が生じる時期がきたこと」を示唆してくれているのではないかと感じた.
病院や施設でリハビリテーションが実践され,ホームエクササイズとして指導されている内容を,自宅に戻った時,どのように行ったらよいのか苦慮している現象なのではないかとも判断できた.
偶然ではあるが期を同じくして,開設寸前のリズム園の経営者と話し合う機会が訪れた.話し合いの結果,相互の考え方に合意が得られ,発達支援センターで,以下の3点の趣旨に基づき,小児期の発達遅滞に関する地域支援の一部分を行えることになった.
その趣旨は,① 親子で快適に,根気よく,元気に通える場の提供,② 対象児が生活しやすい環境を理解してくれる人材の育成,③ 県内組織の一部分(栃木県南地域)を担える施設運営であった.
養育者からの示唆は,「病院や施設で実践されている訓練は,リハビリテーションの一部分として重要である.しかし,訓練を実施しているその時に機能回復が促されてはいるが,自分ではできない状態である」ことを意味していると考えられた.これは,親子・同胞が暮らしている毎日の生活環境や教育現場では,機能回復の効果が活かされにくい現状にあることとも理解できた.
これらのことから,病院や施設で実施されているリハビリテーションを繋いでいく場の提供と,支援内容および方法の工夫の必要性を感じていた.対象児と養育者に寄り添いながら,対象児を取り巻く種々の職種と共通理解を深め,連携を強くして,対象児家族を支えられないであろうかと考え,発達支援センターに所属して取り組んでいる.
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